冒険者ギルド
俺はフィアちゃん、リル姉と手を繋いで、街の中を歩いている。
「冒険者ギルドに登録する。
おすすめの宿屋を聴いて、
クエストを受けて、宿代を稼ぐ……と」
「リョウちゃん、さっきからなに言ってるの?」
今日することを声に出して確認しているとフィアちゃんが聞いてきた。
「今日することを確認してるんだよ」
「そっか」
「しなくていいのに。
二人ならまだしも、大人の私がいるんだから」
「でも、リル姉は俺の奥さんになる予定だから」
「にひひ、リョウタは優しいねー」
リル姉は笑顔で言った。
リル姉はいつも明るいな。
美人で、巨乳で、明るくて、姉属性を持っている。
最高だわ。
〜〜
「リョウタってほんと膝枕、好きだよねー」
俺に膝枕しているティリルが俺の頭を撫でながら言った。
「だって、ティリルの足、スベスベで気持ちいいからね」
「足だけ好きなんだ?」
「そんな訳ないじゃん」
「じゃあ、私の好きなとこ、全部言ってほしいな」
「整った顔、優しい金色の髪、
エメラルドみたいな緑色の瞳、
尖った耳、スレンダーな身体。
後、胸」
「後じゃなくて、一番好きなとこでしょ?」
「そ、そうだよ。
胸が一番好きだよ」
「にひひ、いっつも吸ってるもんねー?」
ティリルは笑顔で言った。
「笑うなよ。
ティリルが美人だからしたくなるんだよ」
そう言うとティリルは俺の頭をあげて、抱きしめて、口づけしてきた。
それだけで終わらず、ティリルは口内に舌を入れてきた。
「ティリル?」
「美人って言うからスイッチ入っちゃった。
だから、今からしよ?」
俺はティリルを押し倒した。
それからティリルとめちゃくちゃセーー。
〜〜
「リョウター。おーい」
気づくとリル姉が俺を呼んでいた。
「な、なに?」
「ギルドに着いたよ」
そう言われて、俺は周囲を見渡した。
周囲には建物が四つ建っている。
時計回りに冒険者ギルド、武器屋、防具屋、道具屋。
それぞれ看板がある。
ギルドは剣と杖が交差したもの、武器屋は剣と槍が隣合ったもの、防具屋は盾、道具屋は緑色の小瓶と紫色の小瓶が交差したもの。
「にひひ、興味津々だねー。
男の子らしくて、可愛い」
リル姉は笑顔で俺の頭を撫でた。
リル姉に頭撫でられるの好きなんだよな。
「二人とも早く入ろ?」
リル姉のなでなでを堪能していると、フィアちゃんが言った。
「そうだね。
リョウタ、また後で撫でてあげるかんね」
この「○○だかんね」っていうの好きだな。
ダメだ。
俺に好意を持った美人と一緒にいるから、最近悶々としてる。
そんなことを思いながら、ギルドに入った。
ギルドの中には鎧、ローブを着た人が多数いた。
エルフ、獣族、ドワーフ、魔人族。
その人たちは、長方形の机で飲み物を飲んでいたり、談笑している。
ちらちら見てると絡まれる可能性がある。
だから俺はすぐに視線を前に戻して、ギルドの中を進む。
そして、受付の列に並んだ。
列と言っても、二人だけ。
待つこと、少し。
俺たちの番になった。
受付は茶髪の犬耳の女の子。
見た目十八くらいで巨乳だ。Eくらいかな?
「こんにちは。
今日はどんな御用でしょうか?
依頼ですか? それとも登録ですか?」
犬耳受付嬢は笑顔で聞いてきた。
「登録です」
リル姉が答えた。
「登録ですね。
君たち、何歳?」
「十歳です」
「十一歳です」
俺、フィアちゃんの順で答えた。
彼女は先月十一歳になった。
「剣ができるとか、魔術が使えるとかある?」
「「魔術が使えます」」
「じゃあ、君たちも登録するね」
「「お願いします」」
「ふふっ、君たち仲良いね。
結婚の約束してたりするの?」
なんで分かんだよ?
「はい。してます」
フィアちゃんは照れて答えた。
「いいな。その歳で彼氏がいるなんて。
あっ。仕事中なのに。
これが登録用紙です」
そう言って、受付嬢はリル姉に三枚の紙を渡した。
「代筆することもできますが、どう致しますか?」
「大丈夫です」
「では空いている席でご記入お願いします」
俺たち三人は近くの空いている席に向かった。
着くとリル姉が二つの椅子を引いてくれた。
俺とフィアちゃんは彼女にお礼を言って、椅子に座った。
「はい。後、鉛筆もね」
リル姉は登録用紙を俺とフィアちゃんに配って、ペン立てから鉛筆を出して、渡してくれた。
やっぱりリル姉は優しいお姉ちゃんって感じだな。
そう思いつつ、俺は登録用紙に目を通した。
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冒険者登録用紙
氏名 必須事項
性別 必須事項
種族
年齢
できること 必須事項
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俺はこのように記入した。
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氏名
リョウタ
性別
男
種族
人族
年齢
十
できること
属性魔術(氷が得意)、治癒魔術(中級まで)、
解毒魔術(初級まで)
算術
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人族と書いたが、心配ない。
人族は亜人が嫌いだけど、魔族領の人々はなにも言ってこない。
それどころか「大丈夫か?」とか、「魔族領は魔物が多いから気をつけてね」だとか励ましてくれたり、心配してくれる。
自分のを書き終わったので、隣にいるリル姉を見た。
彼女はすでに書き終えていて、フィアちゃんに教えていた。
だから、俺は彼女の用紙に目を通した。
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氏名
ティリル
性別
女
種族
エルフ
年齢
二十
できること
属性魔術(風が得意)、治癒・解毒魔術(中級まで)
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「あれ? リル姉って十九歳じゃなかったっけ?」
「先月で二十歳になったんだー」
嬉しそうに答えるリル姉。
「ていうことは、リル姉って八月生まれ?」
「そ。暑いのに、ゆるい風しかあてられないから、
可哀想だったんだって」
この世界も同じなんだな。
生まれて少しのときはゆるい風しかあてちゃダメって。
ちゃんと時期を考えて、子作りしないとダメだな。
この世界にゴムがあるかわからないけど。
「よし。書けたよ、お姉ちゃん」
フィアちゃんがリル姉に用紙を見せる。
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氏名
フィアーナ
性別
女
種族
ヴァンパイア(3/4)
年齢
十一
できること
属性魔術、治癒・解毒魔術(中級まで)
算術
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「えっ?
フィアちゃんってヴァンパイアなの?」
「うん、そうだよ。
お母さんがヴァンパイアで、
お父さんがヴァンパイアと人族のハーフなんだよ」
「そうなんだ」
俺って亜人ハーレムを築いてたんだな。
フィアちゃんは3/4ヴァンパイア、リル姉はエルフ、クロネちゃんは猫獣族。
セラちゃんもなんかの種族っぽいんだよな。
二次元並に可愛かったし。
「リョウタ、行くよ?」
リル姉に言われて、俺は椅子から降りた。
そして、三人で犬耳受付嬢に用紙を出しに向かった。
「はい、お疲れ様です」
受付嬢は用紙を受け取ると、長方形の金属のプレートに重ねた。
それをリル姉の目の前に置いて、彼女に針を渡した。
「この針を使って、この用紙に血液を落としてください」
「はい。分かりました」
そう言って、リル姉は左の人差し指の腹に針を刺して、血を用紙に落とした。
落とし終えると、彼女は自分の指に治癒をかけた。
数秒して、受付嬢がプレートから用紙を退けた。
すると金属のプレートにリル姉の名前、性別が書かれていた。
カーボン用紙みたいだな。
「次は、リョウタくんね」
受付嬢はリル姉から針を受け取り、俺の顔を見て言った。
針、変えるよね?
そう思ったら、彼女は針の先に小さな黒い球体をくっつけて、かがんだ。
多分、机の下にあるゴミ箱に捨てたんだろう。
そして、机の中から新しい針を出してきた。
「私がする?」
「自分でできますから」
そう言って、俺は受付嬢から針を受け取った。
俺は左手の人差し指に針を刺した。
採血とかで慣れているから怖くない。
俺は血を金属のプレートに重なっている用紙に落とした。
そこからは受付嬢がさっきと同じようにした。
そして、フィアちゃんはと言うと、リル姉がやってあげた。
「このプレートがギルドカードになります。
紛失しないようにして下さいね。
再発行するには、銅貨二十枚が必要になりますから」
そう言って、受付嬢は俺たちに金属のプレートを渡した。
二千円かかるのか。
「ギルドについて説明しますか?」
「お願いします」
「はい。
冒険者にはランクがございます……」
受付嬢は丁寧にギルドのことを説明してくれた。
整理しとくかな。
冒険者にはランクが七つある。
F、E、D、C、B、A、S。
Fスタートで、Dから討伐依頼が受けられる。
だいたいがC、B止まり、優秀な人はAになる。
Sはチート並に強い人だけがなれるランク。
ランクを上げるには決まった量の依頼をクリアすること。
その量はランクに比例して増えていく。
連続五回依頼失敗でランクが下がる。
依頼はギルドの端にある依頼ボードに貼り出されている。
受ける依頼を選んで、剥がし、受付に持っていく。
緊急依頼や定期依頼は剥がさずに受付嬢に言う。
緊急依頼は魔物の大群が現れただとか、大量発生しているだとかの早急に対処しなければならない依頼。
定期依頼はゴブリン等の繁殖力が高い魔物の討伐等の依頼。
説明を聞いた俺たちはおすすめの宿を聞き、依頼を一つ受けた。
依頼内容は薬草採取。
薬草が街を出てすぐの場所に大量に生えていた。
そのため、すぐに終わり、依頼達成した。