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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第三章 少年期 出会い編 〜エルフ、猫耳、精霊〜
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魔族の街に到着

 リル姉の小屋から出発して九ヶ月が経った。

 いろんな村(全て獣族の村)を経由して、俺たちは森を抜けようとしていた。

 この九ヶ月の間にフィアちゃんとリル姉は何度もナンパされた。


 

〜〜


 うさぎ族(猫獣族と狼獣族以外の獣族は獣が付いていない)の村のあぜ道を歩いていると、俺たちと同い年くらいの少年が三人やってきた。

 その三人の真ん中にいる少年が俺の隣にいるフィアちゃんの前にやってきた。



「お、俺はビットって言います。

好きです。

大人になったら、俺の奥さんになってください」



 少年ーービットは顔を赤く染め上げて、言った。

 お、俺のフィアちゃんにこいつ、告白しやがった。

 俺は彼に苛立ちを覚えた。



「好きな人がいるから、ごめんなさい」



 フィアちゃんは頭を下げた。

 フィアちゃんーー。


 その答えを聞いたビットは膝から崩れた。

 そんな彼を残りの二人が引きずって帰っていった。


〜〜



 フィアちゃんの場合、子どもが相手だから、あんまり心配ない。

 でもリル姉にしてくるやつは大人だ。

 すごく気が気じゃない。

 


〜〜


 俺たちが夕食を食べていると、垂れた犬耳の若い男が俺たちの席に近寄ってきて、リル姉にこう言った。



「美しいお嬢さん、私と食事しませんか?」



 今、食べてんじゃん。

 見えないの?

 


「遠慮しとくよ」


「では、お話ししませんか?」



 しねえよ。リル姉がお前と話す訳ないだろ。



「無理かな。

この子たち、私が添い寝しないと眠れないからね」



 リル姉だろ? くっついて寝たいって言うの。

 いつもフィアちゃんとリル姉は俺にくっついて寝る。

 


「チッ。では、子どもたちが眠ってから、お酒をーー」


「なに言っても君とはどこにも行かないよ。

それに、もう結婚相手もいるし」


「一回くらいやらせろよ。

経験しといた方がそいつをよくしてやれる。

だから、俺にやらせろ」



 男はリル姉の手首を掴んで、言った。



「俺の嫁に触れてんじゃねえよ!」



 腹が立った俺は男にそう叫び、回転なし、尖りなしの『氷砲』を放った。

 俺の放った氷の砲弾が、額に直撃して、男は昏倒した。

 俺は男が倒れて、我に返った。


 俺は倒れた男に近寄った。

 男は目を回していて、血は出てない。

 よかった〜。死んでたらどうしようかと思った。

 そう思った瞬間、抱きしめられた。



「リョウタっ」



 俺を抱きしめたのは、リル姉だった。



「えっと、リル姉?」


「私のために怒って、魔術放ってくれたんだよね?

あんがと」



 リル姉は俺の顔を見て言った。

 そして、俺の耳に近づいてこう囁いた。



「俺の嫁って言ってくれて、嬉しかったよ」



 そう囁かれた瞬間、背中がむず痒くなった。

 リル姉はとどめに俺の頰に口づけした。

 顔が熱くなった。

 いつも顔を赤くすると、リル姉は「可愛いねー」と言って、頭を撫でてくるのに、この時は微笑んでいた。


 男は食事していた店? のおじさんが連れていった。



〜〜


 リル姉は言い寄ってくる男全員に結婚相手がいるからと言って、断っていた。

 


 そんなことを思い出していると、森を抜けた。

 目の前には草原が広がっていた。

 魔族領って名前だから、枯れ果てた大陸かと思ってたけど、草原っぽいんだな。



「うわぁ、広大だね? リョウちゃん」


「そうだね」


「よし、二人ともここからは魔物が現れやすいかんね。

気を引き締めるんだよ?」


「「うん」」


「じゃあ、『ゲンム』に向かって行くよっ」



ーー


 森を抜けてから、数時間後、『ゲンム』と言う街に着いた。


 魔族領には大きい街が五つ存在している。

 魔王城がある『スカーレット』。

 四神の名前を使った四つの街がある。

 『ゲンム』『セイロン』『シュザク』『ハクコ』。

 『ゲンム』は魔族領森林地帯を抜けて、数時間の場所。

 『セイロン』は『ゲンム』の南東。

 『シュザク』は『セイロン』の真南。

 『ハクコ』は『シュザク』の南西、『ゲンム』の真南。

 『ゲンム』『ハクコ』と『セイロン』『シュザク』は魔族領を横に三分割したとき、ちょうど分割された場所に存在している。


 五つの街には街を囲う高い壁がある。

 人亜大戦などで砦の役割を担った名残だとか、魔物対策のためらしい。


 魔族領にはこの五つの街以外にも町がある。


 今の全て、リル姉情報だ。

 リル姉は物知りだ。

 なんでそんなに知っているのか聞いたことがある。

 俺ではなく、フィアちゃんがだけど。



〜〜


「お姉ちゃんはなんでそんなに知ってるの?」



 後ろからリル姉に抱きしめられているフィアちゃんが聞いた。

 リル姉は毎晩寝る前に自分の膝の間にフィアちゃんを座らせて、抱きしめている。



「私ね、世界のどこかに私が好む魔力の匂いをした人がいると思ってたんだ。

その人を探すのには、街とかを知っておいた方がいいから、里で一番知識がある人ーールル様にたくさん教えてもらったから知識があるの」



 えっ。じゃあ、俺が転移して来なかったら、リル姉一人で旅してたってこと?

 危なすぎるだろ。

 性欲を持て余した男たちに絡まれて、薄暗い場所に連れ込まれて、レ○プされる。

 それか魔物に襲われて……。

 


「リル姉っ」



 俺はリル姉の腕にくっついた。



「どうしたの? リョウタ」


「俺が守るから」


「守る? なにから?」


「えっと、男とか魔物から」


「あんがと。

でも守ってくれるのは大人になってからでいいんだよー」


 リル姉は俺の頭を撫でて、笑顔で言った。



〜〜


 そんなことを思い出していると街の入り口に着いた。

 入り口には男性が二人立っている。


 彼らは人族とあまり変わらない容姿だから、魔人族だろう。

 魔族と呼ばれるのは、アクアさんに教えてもらった四種族と魔人族。

 魔人族は人族と容姿は変わらないけど、魔力量は桁違いに多い。

 これまたリル姉情報だ。



「あの、すいません」


 男性たちに声をかけるリル姉。


「なんだ?」

「街に入りたいのですが、

身分を証明するものを持っていないんです」

「じゃあ、銅貨九枚出してくれ」


 銅貨九枚って、九百円も取るのかよ。

 リル姉は銅貨を九枚出して、男の一人に渡した。


「今日中にギルドカードを発行して、ここに来てくれ。

そのとき、この銅貨を返すからな」


 そう言って、銅貨を受け取った男が通してくれる。


「ギルドは真っ直ぐ行くとある」


 もう一人の男が俺に教えてくれた。


「あ、ありがとうございます」

「ああ」


 男は微笑んで返事した。

 子どもが好きなんだろうな。

 そう思いながら、俺たち三人はその場を後にした。





貨幣の価値


銅貨一枚 百円

銀貨一枚 一万円

金貨一枚 百万円



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