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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第三章 少年期 出会い編 〜エルフ、猫耳、精霊〜
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3-2 姉萌えはお姉ちゃん属性には勝てない


「住んでるところの近くにある森で、

フィアちゃんと魔術の練習してたんだ」

「いつもしてるの?」


 横にいるリル姉が聞いてくる。

 今、俺と彼女は床に並び、体育座りで会話している。


「うん。ほぼ毎日。

それで、五時の鐘が鳴ったから家に帰ることにしたんだ。

フィアちゃんと手を繋いで森の中を歩いてたら、

急に足が動かなくなって、下を見たら魔法陣があって。

その魔法陣が光って、気を失ったんだ」

「なるほどねー。説明してくれてあんがと」

「うん」


 まだ眠ってるフィアちゃんの方を向いたまま返事する。

 リル姉の方に顔を向けられないからだ。

 彼女はパーカーを脱いで、上はシャツだけになってしまっているし、短いスカートを履いてるし。

 目のやり場に困るから、彼女の方を向けない。

 チラチラとは見てるけど。


 見ちゃうに決まってるだろ?

 まだだれのものじゃないどころか、自分に好意を向けてくれてる二次元レベルの美人さんが真横にいるんだよ?

 シャツに包まれた大きな胸と細くて長い綺麗な足を見ちゃうに決まってる。



「リョウタの家ってどこ?」


 体がビクッとなった。

 ちらっと見ようとした瞬間に聞かれたからだ。


「お、俺の家?」

「そ。どこにあるの?」

「人族領の東都、その近くの町」

「東都かー。人族領にたどり着いてもまだ遠いね」

「やっぱりここって魔族領?」

「うん、そうなんだー。

しかも、森林地帯の北にあるエルフの里の近く」


 魔族領。しかも森林地帯の北。

 電車も飛行機もないから、家に帰るには年単位で時間がかかる。

 数年、アクアさんたちと会えないんだな。

 俺はちょっと寂しいだけだけど、フィアちゃんはもっとなんだよな。

 まだ十歳の女の子からお母さんとの時間を奪って。

 最低だ、俺は。


 自分を責めていると頭を優しく撫でられた。


「大丈夫だよ」


 リル姉の方に顔を向けると、彼女は優しく微笑んでいた。

 

「私がちゃんと責任持って送り届けたげる。

だから、安心して?」

「うん。ありがとう、リル姉」


 俺がお礼を言うと、彼女が立ち上がった。

 いきなりどうした?


「はい。リョウタも立って」


 俺の目の前に手を差し伸べて言ってくる。


「う、うん」


 差し出されたリル姉の手を掴み、立ち上がる。

 すると、彼女が膝立ちし、抱きしめてきた。

 Gカップ(推定)おっぱいが押し付けられてる。


「り、リル姉?」

「大事な話するから聞いてね」

「う、うん」

「リョウタは賢そうだから分かるかもしんないけど、

ここからリョウタの家まで四、五年かかっちゃうんだ。

もちろん、少しでも早く帰れるように頑張るよ。

それでも、三年くらいはかかると思うんだ」


 リル姉はそこで一旦中断して、俺と顔を見合わせる。


「だから、家に帰るまでは私がお母さんだと思って、

頼ったり、甘えたりしてほしいんだ。

まだ十九だからお母さんっていうより

お姉ちゃんだけどね」


 そう言って、笑う彼女。


「それはありがたいんだけど、

甘えるのはちょっと……」

「どうして? 私には甘えたくないってこと?」

「いや、そうじゃなくて……」

「あっ、分かった。恥ずかしいんだ?

じゃあ、恥ずかしくなくなるように練習しよっか?」


 彼女は俺に頷く暇も与えず、練習を持ちかけてくる。

 そして、間髪入れずに少し後ろに下がり、両手を広げた。


「お姉ちゃんの胸に飛び込んでおいで」


 優しく微笑んで、言ってくる彼女。


「ティリルお姉ちゃんっ」


 俺は彼女に抱きついた。

 必然的に顔を胸に埋めてしまった。

 姉萌えの俺には抗えなかったよ。

 はぁ、いい匂いするし、おっぱい柔らかい。


「よしよし」


 彼女が頭を優しく撫でてくれる。




「んぅ……あれ? ここ、どこ?」


 いい匂いとおっぱい(服の上)の感触となでなでを味わっていると、聞き覚えのある声が耳に入ってくる。

 やばい、この状況。


「おはよー。私はティリル。

ここは私が住んでる小屋だよ。

小屋の前で倒れてたから、介抱してたんだ」

「リョウちゃんは!?」

「一緒だよ」

「どこにいるんですか?」


 やばい、やばい……。


「敬語は使わないでいいし、お姉ちゃんって呼んでね。

それで、リョウタはここにいるよ」


 言っちゃったー。


「リョウちゃん?」

「お、おはようございます、フィアーナさん」


 リル姉から両手と体を離し、フィアちゃんの方を向いて言った。


「なんでティリルさ……お姉ちゃんに抱きついてたの?」

「あの、その……」

「私のことが好きすぎて、抱きついちゃったんだよねー?」

「違っ。リル姉が甘える練習しよって言ったから!」

「でも、リョウタだって『ティリルお姉ちゃんっ』って

抱きつくとき言ってたよー?

それに美人って言ったり、

(つがい)になってくれたりしたのも

私のことが好きだからでしょー?」


 くっ。


「つがい……ってなに?」

「夫婦のことだよ」


 終わった。


「リョウちゃん」


 俺の名前を呼ぶフィアちゃんの声には怒りは混じっていない。

 顔をリル姉の方からフィアちゃんの方へ戻す。

 すると、彼女は涙目になっていた。


「私とお姉ちゃん、どっちが好きなのっ?」


 リル姉がいるこの状況でその質問は辛すぎるだろ。

 まあ、俺が悪いんだけど。


「フィアちゃん」


 ごめん、リル姉。本当はリル姉も好きなんだ。


「嘘だぁっ」


 えー。


「ほんとはお姉ちゃんの方が好きなくせにっ」

「なんでそう思うの?」

「だって、お姉ちゃん、綺麗だし、おっぱい大きいし、

リョウちゃんの好きなエルフさんだもんっ」

「エルフ、好きなんだ?」


 リル姉、入ってこないで。


「そりゃリル姉も好きだけど、

フィアちゃんの方がもっと好きだよ」

「なんで私が好きなのっ?」

「絶対成長したら美人になるっていうくらい可愛いし、

ほとんど一緒にいるし、は、初めてキスした相手だから」

「もうキスしたんだ? どっちからしたの?」


 リル姉、今は聞かないで。


「静かにしてて。後で教えるから」


 強い口調の小声で彼女に言う。


「分かった、分かったよ。

ちゃんと静かにしてるから」


 これでフィアちゃんに集中できる。


「ほんとに好きっ?」


 フィアちゃんが確認してくる。


「うん、好きだよ」

「じゃあ、チューしてっ」

「なっ!?」


 チュー……だと……!?

 してっていうことは俺からだよな?


「やっぱりお姉ちゃんが好きで、私はーー」

「する! するし、大好きだから泣かないで」


 危なかったぁ。

 (さえぎ)らなかったら話を聞いてもらえなくなるところだった。


 立ち上がり、ベッドの上にいるフィアちゃんの元へ向かった。




 フィアちゃんの目の前までやってきた。

 うっ、やっぱり緊張する。

 まだ十歳の女の子にキスするくらいどうってことないと思うかもしれない。

 だけど、彼女はロリコンじゃない俺が目を奪われるくらい可愛い。

 それに泣いてるから瞳がうるうるなのもあって、緊張してしまう。


「してくれないのっ?」


 涙声で尋ねてくるフィアちゃん。


「い、今するから」


 緊張してる場合じゃなかった。

 彼女の両肩に手を置く。

 キスする前に好きって言った方がいいよな?


「ふぃ、フィアたん、す、好きだよ」


 そうフィアちゃんに告げ、唇を彼女の唇に触れ合わせた。


「これで分かってくれた? 

俺がフィアちゃん、好きだってこと」

「うん。でもお姉ちゃんも好きで、

奥さんにするんでしょ?」

「う、うん。

でもフィアちゃんもちゃんと奥さんにするし、

リル姉よりもたくさん愛する。

後、はーー」

「おっぱい大きくならないかもしれないよ?」


 まだ途中なんだけど。


「大丈夫だよ」


 ニーナさん、Eカップだし。

 いや、聞いたわけでも漁ったわけでもないからな!

 ニーナさんの下着(上)が落ちてて、下着と思わず拾ったんだよ。

 なんとなくで広げたら下着で、無意識のうちにサイズを見ちゃっただけだからな!

 ちなみにアクアさんはIカップだった。

 これも偶々見ちゃっただけだから!


「それにフィアちゃんのなら小さくても好きだよ」


 十歳の女の子になに言ってんだよ。


「それで最後なんて言おうとしてたの?」

「えっ? 

えっと、は、初めてはフィアちゃんに捧げるって

言おうとしてた」

「初めて? チューの他にも初めてってあるの?」

「うん。あるよー」


 知らぬ間にベッドに上がってきていたリル姉が答える。


「ちょっ、リル姉! 静かにしててって言ったのに」

「落着したっぽいからもういいかなと思ったんだけど、

まだ静かにしてなきゃダメだった?」

「ダメじゃないけど」

「チュー以外の初めてってなに?」


 リル姉に尋ねるフィアちゃん。


「フィアってまだ来てないよね?」

「なにが?」


 フィアちゃんが聞き返す。

 すると、リル姉は彼女に近寄り、耳打ちした。


「それってなに?」

「女の子にとって大事なことだよ。

詳しくはそれが来たときに教えたげる。

それと一緒にキス以外の初めてがなにか教えるよ」

「うん」


 ほっ。リル姉のことだから、『エッチのことだよー』って答えるかと思ってひやひやしたぁ。


「それでさ、フィア」

「なに?」

「フィアに聞いてほしい話があるんだ」


 沈痛な面持ちで彼女に告げるリル姉。


「聞いてほしい話? なに?」

「これからのことについて」


 そうだったぁ。

 フィアちゃんが悲しむこと、まだあったぁ。





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