3-1 二回目は年上エルフ
王竜暦2980年、十二月。
目が覚めた。
「おはよー」
横から女性の声が聞こえ、視線を向けると美人さんがいた。
めっちゃ美人。アクアさんと同レベルくらい。
彼女は、絹のような優しい金色の長い髪、エメラルドのような緑色の瞳をしている。
優しい金色の髪から、ぴょこっと尖った耳が顔を出している。
エルフ、キター!
エルフの彼女は、肌着のシャツに、灰色のパーカーという格好をしている。
ていうか、おっぱい大きいな。
巨乳以上爆乳未満。カップで言ったらGくらい。
「いきなり、知らない人にあいさつされても、
答えらんないよね。
私の名前はティリル。
この小屋の前に倒れてたから、介抱してたんだ。
君とその娘をね」
その娘?
右に視線を向けると、フィアちゃんがすやすやと眠っていた。
「その娘、妹?」
美人さんーーティリルさんが聞いてくる。
「いえ、幼馴染です」
視線をティリルさんに戻して、答える。
幼馴染という言葉を聞いた瞬間、彼女の右手が震え出す。
俺に気づかれないように、それを左手で隠した。
幼馴染に嫌な思い出でもあるのかな?
話を変えるか。
いや、その前にお礼を言った方がいいな。
「ティリルさん。
介抱してくれて、ありがとうございます」
「うん」
「ティリルさんは、この小屋に住んでるんですか?」
「そうだよ。四年くらい、一人でね」
こんな美人が一人で暮らしてるって、危なすぎるだろ。
青年がこの小屋に侵入してくる。
ベッドで眠ってるティリルさんを見つけ、近づく。
「眠っていても綺麗なんだね、ティリルさんって。
しかも、いい匂いだし。
もう我慢できないよ」
青年はそう言って、着ている服をすべて脱ぎ去り、生まれたままの姿になった。
そして、彼女の腰にまたがった。
「ティリルさんが悪いんだよ。
勘違いさせるようなことばかりして」
そう言って、青年は彼女の服に手をかけ、脱がしていく。
「ねぇ」
妄想してると、ティリルさんに声をかけられた。
「な、なんですか?」
「私のことはティリルさんじゃなくて、
お姉ちゃんって呼んでほしいんだ。
あと、敬語もやめてね」
「分かった。その、お姉ちゃんは恥ずかしいから、
リル姉って呼んでいいかな?」
「にひひ、いいよ」
笑って答えるティリルさんーーリル姉。
「それで、君の名前は?」
「ああ。僕はリョウタ。
それで、この娘はフィアーナ。
フィアちゃんって呼んでる」
フィアちゃんのことも紹介しておく。
「リョウタに、フィアね」
「うん。あの、リル姉」
「ん? どったの?」
なに、その言い方。めっちゃ可愛いんだけど。
「さっきからずっと体が重くて、
起こせないんだけど、どうしてか分かる?」
「あー、それね。
魔力が空っぽだからだよ。
ほんの少しだけ回復してるけどね」
嘘? 俺の魔力、すげえ多いのに。
「多分、転移するのに使われたんだと思うよ。
気絶する前、魔法陣を見なかった?
丸い円に文字が書かれてて、光るやつ」
魔法陣? あっ、気を失う直前に見たわ。
「見た」
「やっぱり。
多分、その魔法陣がリョウタの魔力を使って、
二人をここに飛ばしたんじゃないかな」
俺をここに飛ばすために、俺の魔力を使ったのかよ!
なんていう魔法陣なんだ!
「はぁ、魔力が回復するまで動けないのか」
「魔力を回復させる?」
「魔力を回復する液体とか飲ませてくれるの?」
「魔力回復薬のこと?
あったら、もう飲ませてるよ」
「じゃあ、どうやって回復させるの?」
「魔力供給だよ。キスしてもいい?」
ん? 今、キスをしていいか聞かれなかった?
いくら、エルフがエロフだからって、初対面の男に向かって、言うわけないだろ?
きっと、聞き間違えだ。聞き間違え。
「えっと、なんて言ったの?」
「聞こえなかったんだ?
キスしてもいいかって聞いたんだよ」
聞き間違えじゃねえ。
やっぱり、エルフはエロフなんだ。
「今度は聞こえた?」
「う、うん」
「顔を赤くしちゃって、可愛い」
そう言って、頭を撫でてくるリル姉。
「それで、どうかな? いやかな?」
「い、いやじゃない。
り、リル姉は美人さんだから」
「そっか。お世辞でも嬉しいよ。あんがと」
彼女は微笑んで、お礼を言った。
お世辞じゃないです。
妻になってほしいくらい、綺麗ですよ。
ていうか、『ありがとう』の言い方まで可愛いんだな。
「それじゃあ、ちょっとごめんね」
そう言って、彼女はベッドに上がってきた。
そして、俺の頭の両わきに手を置き、おおいかぶさった。
「な、なにしてるの?」
「魔力供給だよ」
「魔力供給って、具体的になにするの?」
「キスするんだよ。
キスしてもいいかって聞いたでしょ?」
マジか。
「魔力供給したげる代わりに、
ちゃんと責任とって、私の番になってね」
「つ、番って、夫婦のことだよね?」
「うん。そうだよー」
「リル姉みたいな美人さんと夫婦になれること、
俺は嬉しいけど、リル姉は俺でいいの?」
そう尋ねると、微笑んで、俺の頰を優しく撫でる彼女。
「いいよ。
リョウタ、優しいし、可愛いから」
「い、今はそうかもしれないけど、
大人になったらーー」
リル姉に人差し指を唇にあてられ、話を遮られた。
「エルフってね、魔力の匂いが分かるの。
リョウタの魔力は好みの匂いがするんだ。
魔力の匂いが好みの異性は、好みの顔してるんだって」
そう言うと、彼女は俺の唇からあてていた指を離した。
「それじゃあ、するね?」
「うん」
俺の返事を聞いて、顔を近づけてくるリル姉。
数秒もかからずに、彼女の唇が俺のに触れた。
いい匂いするし、リル姉の唇、柔らかい。
時間がかかるかと思いきや、彼女はすぐに唇を離した。
「今ので、魔力が回復したの?」
「今のは、ただのキスだよ」
「えっ?」
「初めてのキスが魔力供給じゃいやだったから、
ただのキスに変えたんだ。
体、辛いのに、ごめんね」
「う、うん。
それはいいけど、初めてだったの? リル姉」
「うん……」
頰を赤らめて、返事するリル姉。
やばっ。こんな綺麗な女性のファーストキス、貰っちゃった。
「お、俺が初めてを貰ってよかったの?」
「さっきも言ったでしょ?
リョウタは私好みになるんだから、よかったの」
「そ、そうだね」
確定じゃないけど。
「それじゃあ、魔力供給するね。
今度はちゃんとするから、安心して」
「は、はい。お願いします」
そう俺が言うと、リル姉は微笑んで、顔を近づけてくる。
だけど、もうすぐ唇が触れ合うところで、止まった。
「少しだけ口開けてくれる?」
「う、うん」
言われるがまま、少し口を開ける。
「うん。いい感じ。
してる間、鼻で息しててね」
そう言って、リル姉は俺の唇に自分の唇を重ねた。
そして、口内に舌を入れてきて、俺の舌に絡ませてきた。
「どうかな?」
しばらくして、リル姉が唇を離し、尋ねてくる。
「気持ちよかった」
「そっか。私も気持ちよかったよ。
でも、今聞いてるのは体の状態」
体が重いからしたんだから、感想なわけがないのに。
俺のばかっ。
「若干、軽くなったかな」
「若干かー。一応、確認しとこうかな」
そう呟くと、リル姉はベッドから降りた。
「ちょっとごめんね」
そう言って、彼女は俺が履いてるズボンを下着ごと、少し下ろし、大事な場所を露出させた。
「ちょっ、リル姉!?」
「やっぱりそういう機能、まだできてないね」
そう呟き、彼女はズボンと下着を元に戻した。
「な、なんで、見たの?」
「魔力を効率的に回復するのには、
えっちするのが一番いいんだー。
それで、できるか確認しただけだよ」
魔力供給が舌絡めるキスとか、えっちって、型○世界かよ!
「でも、まだ無理みたい」
知ってます。
魔力供給してる間、反応しませんでしたから。
リル姉の舌、おっぱいの感触とか、匂いとか、あったのに。
「もう一回しよっか? キスでの魔力供給」
「フィアちゃんに悪いから、遠慮しとく」
「フィアのこと、好きなんだ?」
「う、うん」
「そっか。じゃあ、二回目は契約してからかな?
番になってくれるんだよね?」
「う、うん。俺でよければ」
そう言った瞬間、リル姉は満面の笑みになって、抱きついてきた。
「やった。嬉しいよ。
ちゃんと幸せにするかんね」
『幸せにする』って、俺が言うやつじゃね?