EX-9 vsミオ
執筆 2019年 4月 3日〜12日
「リョウタさん、覚悟してくださいね」
ミオが微笑んで、言ってくる。
「リョウタ様、ダメです。
逃げてください」
立ち上がり、ユキのそばからミオの方に向かって、足を進め出すと、ユキが言ってくる。
「逃げないよ。
苦痛を与えられたみんなの仕返しを
しないといけないから」
「やめてください!
仕返しするなんて、危険すぎます。
お願いですから、逃げてください」
ユキが必死に止めようと、言ってくる。
それを無視して、足を進めるのを再開する。
「リョウタ様!」
ユキが叫ぶように俺の名前を発するけど、それも無視して、足を進め、ユキを背にして、ミオと対峙した。
ーー
「大切な妻たちの仕返しをするために
私に挑むんですね。
いいでしょう。受けてあげます」
ミオがそう告げてきた。
「ですが、普通に戦闘を行うと、
あなたが不利すぎるので、
攻撃、防御なし、人間のできる範囲での回避ありで、
三十秒、待ってあげます」
この条件なら、仕返しができる。
「準備が整って、構えた瞬間から
カウントを開始します」
完全になめられてるな。
弱いから、仕方ないか。
準備もなにもないから、早速、両手を前に出し、ミオに向ける。
「構えたので、カウントを開始します」
ミオがそう告げたと同時に、左手に魔力を集め、使い慣れた『氷砲弾』を構築する。
すぐに構築が終わり、先端の尖った氷の砲弾に回転をかけて、放つ。
放った瞬間に、同じ手で新しい氷の砲弾を生成して、放つ。
それを繰り返して、連続で氷の砲弾を放っていく。
氷の砲弾をかわすミオを視界に入れながら、右手を彼女の足に向け、魔力を集める。
「魔力よ。紫電となりて、かの者を穿て」
ミオに聞こえないように小声で、すばやく詠唱すると、右手から紫電が放たれた。
予測していたのか、ミオは軽く跳んで、紫電をかわした。
ミオの足が地面につくと同時に、左手の魔力を使って、彼女の足もとに白銀の冷気を発生させる。
冷気はミオの両足を凍らせ、地面に縫いつけた。
「魔力よ。
泥沼となりて、かの者の足もとに現れ、
動きを封じよ」
間髪いれず、小声で、すばやく詠唱する。
すると、集めておいた右手の魔力が消費され、ミオの足もとに泥沼が出現した。
泥沼は凍りついたミオの両足を飲み込み、彼女の動きを封じた。
「魔力よ。
高温の火柱となりて、かの者の足もとから噴き出し、
飲み込め」
両手に魔力を込めて、詠唱する。
すると、両手に込めた魔力が消費されて、ミオの足もとから真っ赤な火柱が噴き出し、彼女を飲み込んだ。
火柱の維持分と合わせて、魔力をどんどん供給し、火柱の温度を上げていく。
「もっと熱く、もっと熱く!
ミオを溶かし尽くせるくらい、高温になれ!」
そう叫びながら、全力で火柱に魔力を注ぐ。
全力で魔力供給し始めて、しばらくすると、真っ赤になった金属の足が火柱から出てきた。
「うそだろ……?」
そう呟いた次の瞬間、金属で構成された骸骨のようなロボットが火柱の中から現れた。
デデンデンデデンという有名な曲が頭の中で再生された。
「不死身かよ」
俺がそう呟くと、ロボットーーミオが刀を出現させ、右手でその柄を握った。
すると、彼女はこっちに向かって、駆け出した。
氷の壁を出現させて、ミオの邪魔をする。
でも、氷の壁を斬られ、人間が通れる穴を作られて、突破されてしまう。
次々と氷の壁を出現させながら、後退し始めたけど、ユキの顔が視界に入った瞬間、足が止まった。
ユキを置いていけないと思ったからだ。
「リョウタ様、前!」
前を見ると、ミオが立っていた。
俺と目が合った瞬間、ミオが刀を振り上げた。
反射的に目を瞑る。
みんな、ごめん。
目を瞑って、少し経ったけど、痛みが一向に来ない。
「えっ?」
目を開けると、高温の炎を凝縮したような剣の刃がミオの胸から生えていた。
その剣の刃は、金属と化した彼女の胸を赤熱させていっている。
「フィアっ」
ユキがミオの背後を見て、発した。
フィアーナがミオを突き刺しているのか?
ミオは持っている刀を捨てて、両手で剣の刃を掴み、押し戻そうとする。
でも、刃の熱に両手を溶かされて、押し戻せないみたいだ。
少しして、ミオの手がほとんど溶けると、彼女の目にあたる部分の赤い光が消えた。
目の光が消えたミオはうなだれて、動かなくなった。
ミオが動かなくなって、十数秒すると、彼女の赤くなっている胸から剣が抜かれた。
剣が抜かれたことで、ミオが倒れそうになる。
その瞬間、銀色に輝く魔法陣が彼女の足もとに現れて、その体を沈めた。
「リョウちゃんっ!」
ミオの体が沈みきった同時に、彼女の背後にいたフィアーナが駆け寄り、抱きついてくる。
「ありがとーー」
フィアーナに唇を奪われて、言葉をさえぎられた。
「ちゃんと守れて、よかったっ」
唇を離すと、フィアーナは俺を抱きしめて、涙まじりの声で言った。
家に帰る道中、フィアーナに駆けつけられたら理由を聞いた。
ADF魔法陣の効果が数分で切れたし、クロネの愛刀ーーツクヨミのスキル『加速』を使ったから、駆けつけられたらしい。
家に帰ると、クロネ、リル、ユキ、セラにキスされた。
お知らせ
この作品はこの回をもちまして、終了して、
ノクターンで新しく投稿します。
理由としては、修正したいところが多いこと、
性的な内容も書いていきたいというものです。
この作品の読者のみなさん、ありがとうございました。