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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第二章 幼年期 幼馴染編 〜俺のヒロインはアルビノちゃんだった〜
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2-4 天使を家に


「えいっ」


 フィアちゃんの手から現れる火の槍。

 俺が魔術で作った土の壁に向かって飛び、突き刺さる。

 そして、小さく爆ぜて消えた。


「やった! やったよ、リョウちゃん。

無詠唱で〈火槍〉発動できたよ」


 嬉しそうに報告してくる。


「うん。見てたよ。

頑張ったね」


 俺が頭を撫でると「えへ」と微笑む彼女。

 

「今ので中級最後だったよね?」

「うん。そうだよ。

明日から上級教えてね?」

「上級教える前に勉強した方がいいかな」

「勉強? なんの勉強するの?」

「理科かな」

「りか?」


 小首を傾げるフィアちゃん。可愛い。


「理科っていうのはね。

木が大きくなるにはなにが必要だとか、

水がなにでできてるとかを勉強するんだよ」

「今言ったの全部、リョウちゃん知ってるの?」

「うん。一応ね」

「リョウちゃん、すごいね」


 笑顔で俺を褒めてくる。


「すごくないよ、全然。

勉強した人なら知ってることだから」

「そうなの?

でも私と同い年なのにいろんなこと知ってるから

すごいと思うよ」


 それは転生したからだよ。


「ねぇ、リョウちゃん」

「ん?」

「リョウちゃんが知ってること、全部教えて?」


 全部って、えろいことも教えるの?


「ダメ?」


 上目遣いで聞いてくるフィアちゃん。


「いいよ」

「ありがと、リョウちゃん」


 笑顔でお礼を言われた。

 もうこの娘、前世天使だっただろ?


「勉強するには机が必要だから、

俺の家行こっか?」

「えっ? リョウちゃんのお家行くの?」


 フィアちゃんの表情が暗くなる。


「嫌かな?」

「嫌じゃないよ。

でも私は髪と瞳が真祖と同じ色だから」


 アクアさんが嫌がると思っているのか。


 雪のように白い髪に触れて、優しく撫でる。


「大丈夫だよ。

フィアちゃんの話しても嫌な顔しないし、

連れておいでって言ってたから」

「ほんと?」

「本当だよ。

だから、行こ?」


 撫でるのをやめて、手を差し出す。


「うん」


 フィアちゃんが差し出した俺の手を握る。

 握った手を握って、俺は彼女と俺の家に向かった。




ーー



「ただいまー」


 玄関に入って、帰宅を知らせる。


「おかえり〜」


 数秒後、家の奥からアクアさんが出てきた。


「あれ? セラちゃんは?」

「お昼寝してるよ。

それで、後ろに隠れてる子はだれかな〜?」

「友達のフィアちゃんだよ。

ほら、フィアちゃん」

「う、うん」


 そう返事して、頭だけをぴょこっと出すフィアちゃん。

 

「フィアーナ・ブラッディーナです」

「私はリョウくんのお母さんのアクアだよ〜。

よろしくね、フィアちゃん」


 アクアさんはしゃがんで、フィアちゃんと目線を合わせて、笑顔で言った。

 フィアちゃんは頰を赤らめた。


「う、うん」

「ふふっ、可愛い」

「気持ち悪くないの?」


 微笑むアクアさんに尋ねるフィアちゃん。


「どうして?」

「髪白いし、瞳が血の色だから」


 フィアちゃんが答えると、アクアさんは彼女の頭を撫でた。


「気持ち悪くないよ。

髪は雪みたいで綺麗だし、

瞳もルビーみたいで、私は好きだよ」

「あ、ありがとう」


 照れながら、言ったフィアちゃんをアクアさんが抱きしめた。


「も〜、フィアちゃん可愛い〜。

リョウくんが好きになるのも分かるよ〜」

「リョウちゃんが?」

「そうだよ〜。

部屋にこもって、『フィアたん、可愛いよ〜』って

言いながらーー」

「ここ、玄関だから!

だから家の中入ろ」

「そうだね〜。話の続きはリビングでね」




ーー




「ちょっとセラちゃん見てくるね」


 リビングに来ると、アクアさんがそう告げて、二階へ向かった。


「フィアちゃん、座ろ?」

「うん」


 二人並んで、ソファに腰掛ける。


「リョウちゃんのお母さん、気持ち悪がらなかったね」

「だって、アク……母さんは半分エルフだからね」

「そうなの?」

「うん。そうだよ」


 そう返事すると、セラちゃんを抱えたアクアさんがリビングに入って来た。


「お待たせ〜」


 そう言って、セラちゃんを降ろす彼女。

 降ろされたセラちゃんは俺の元へ駆け寄ってきて、抱きついた。


「おかえり、お兄たん」


 笑顔で言うセラちゃんが可愛くて、反射的に銀色の髪を撫でた。


「うん、ただいま」

「てへへ」


 すげえ嬉しそう。

 でもすぐに変わってしまう彼女の表情。

 見たことのないフィアちゃんを視界に入れたからだ。


「フィアちゃん、名前」

「う、うん。

フィアーナだよ。よろしくね」


 フィアちゃんの名前を聞くと、なにかを考える始めるセラちゃん。

 なにを考えてるんだろ?


「なんて呼べばいいの?」


 呼び方を考えてたのか。


「フィアお姉ちゃんって呼べばいいよ」


 納得した表情をして、セラちゃんはフィアちゃんに抱きついた。

 

「フィアお姉た〜ん」


 笑顔を向けるセラちゃんに対して、フィアちゃんは戸惑っている。


「セラちゃん、お名前言わないと」


 アクアさんがセラちゃんに言う。


「セラだよ」

「よろしくね、セラちゃん」

「うんっ」


 これなら毎日連れてきても大丈夫だな。



「フィアお姉たん」

「なに?」

「フィアお姉たんはお兄たんのこと、好き?」


 ちょっとセラちゃん!?


「好きだよ」


 フィアちゃんは、セラちゃんじゃなくて、俺の顔を見て、言った。

 こんな可愛い娘に言われちゃった。

 すげえ嬉しい。

 待て。嬉しがるのはまだ早い。

 相手は六歳だぞ。きっと今の『好き』はライク。

 でも、頰、赤くして、言ったんだよな。

 



 それから、夕方まで三人で遊んだ。

 フィアちゃんが帰ろうとしたら、セラちゃんが帰らないでと泣いていた。

 なんとか宥めて、フィアちゃんに帰ってもらった。

 一人だと心配なので、アクアさんについていってもらった。




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