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EX-8 フィアーナvsミオ 

執筆開始 2019年 3月19日

執筆終了       4月 2日


「絶対、許さないから」


 フィアーナが怒りのこもった低いトーンで、ミオに言った。

 すると、金属製の槍が四本、フィアーナの周りに出現した。

 続いて、赤いオーラがその槍を包む。

 槍を包み込むと、オーラが燃え盛る炎に変わった。

 

 フィアーナが右手を前に出す。

 すると、炎をまとった槍が順番に一本ずつ、ミオに向かって、放たれた。

 

 放たれたと同時に、新しい槍が出現し、瞬時にオーラが変化した炎をまとって、放たれる。

 それが何度も繰り返されて、炎をまとった槍の雨となって、ミオを襲う。


 必死に槍の雨をかわすミオ。

 でも、槍が多すぎて、すべてはかわせずに、刺さっている。



 フィアーナを見ると、大きめの火球が彼女の両隣、胸下くらいの高さに出現していた。

 その二つの火球から太めの赤い光線が放たれた。


 赤い光線はミオに向け、放たれたため、彼女の位置で交差するようになっている。

 

「『オーバードライブ』」


 光線をかわせないと判断したのか、ミオは『オーバードライブ』をまた発動させて、残像が生まれるほどの凄まじい速度で、赤い光線があたらない位置に移動した。



 赤い光線がミオの真横を通り過ぎたと同時に、彼女の全身の発光が消えた。

 すると、次の瞬間、フィアーナがミオの背後に現れた。

 フィアーナは、紫電がほとばしる黒い金属製の大きなハンマーを手にしている。


 フィアーナがミオの頭を狙い、ハンマーを振るう。

 その瞬間、ミオが振り返るけど、攻撃を防ぐまでは至れず、もろに受けた。


 フィアーナがもう一度、ミオに向かって、ハンマーを振るう。

 ミオはふらつきながら、それを両手で防ぐ。


 攻撃を防がれたけど、フィアーナは引かず、何度もハンマーを振るう。

 それに対して、ミオは両手で攻撃を防ぎ、耐えている。




 少しすると、ミオの目の前で爆発が起きた。

 その爆風で、ミオが後方に飛ばされ、フィアーナとの距離が開いた。

 このために、ミオは魔術で故意に爆発を起こしたんだと思う。



「ADF魔法陣、展開」


 吹き飛ばされたミオがそう発すると、魔法陣が彼女を中心として、展開していく。

 魔法陣はフィアーナとクロネの位置まで広がると、展開をやめて、輝き出した。


 魔法陣が輝き出すと、フィアーナは全身を包むオーラが消え、立ち上がったクロネはオーラと獣化が解けてしまう。

 それと同時に、二人は力が抜けたように、地面に座り込んでしまった。



「全然、力が入らない。

ミオちゃん、なにを発動させたの?」


 持っていたハンマーまで消えて、武器を失ったフィアーナが少し顔をゆがめて、ミオに尋ねる。


「展開した範囲内の亜人の特性と魔力操作を

無効化する魔法陣です。

説明しなくても理解していると思いますけど、

真祖、その眷属にも効果があるんです」


 そうフィアーナに答えると、ミオは彼女との距離を詰める。



「その刀で私を殺すの?」

「いえ。少しお返しをするだけです」


 フィアーナにそう答えると、ミオは彼女の左腕の上方に刀を突き刺した。

 フィアーナが顔をゆがめて、痛みに喘ぐ。


「フィアーナ!」

「来ないで!」


 俺がフィアーナのもとに駆け出そうとした瞬間、彼女が叫んだ。

 血液で真っ赤になった袖の上から傷口を押さえて、苦しそうにしながら、叫んだ。


「私は大丈夫だから、逃げて!」


 そうフィアーナが言うと、ミオが俺に狙いを定めるように見てきた。


 すぐにユキが目の前に来て、抱きしめるように俺を抱える。

 そして、地面を蹴り、白銀の翼をはためかせ始めた。




ーー




 ユキが俺を抱え、飛び始めて、少しすると、ミオが背中と足裏から火を噴射し、飛んで、追ってきた。


「ユキちゃん! 今すぐ戻って!

フィアーナとクロネが危ないから!」

「ミオはこっちに向かってきているのに、

どうして、フィアたちが危ないんですか?」


 必死に翼をはためかせているユキが尋ねてくる。


「無力化された二人を置いていったら、

通りかかった男や魔物に犯されるから!」

「あの場には、人間はほぼ来ませんし、

魔物も大量発生の時期以外はいませんから、

大丈夫です」


 大丈夫って言われても、心配だ。



 フィアーナたちを心配していると、追ってきているミオがこっちに左手を向け、その手に火球を出現させる。

 

「ユキちゃん。

ミオが『火弾』で、俺たちを落とそうと狙ってる」

「わかりました」


 ユキがそう返した瞬間、ミオが火球を放った。

 その火球に対して、ユキは右に逸れ、かわした。



 ユキが火球をかわすと、ミオは自分の周りに六つの火球を出現させて、回転させる。

 その火球を一つずつ、連続で放ち始めた。

 

 連続で放たれるのは六つだから、なんとかかわせるか。

 でも、補充するだろうな。


 俺の予想どおり、ミオは一つ目の火球を放つと、すぐに火球を補充した。


 火球の数量が六つからミオの魔力残量次第になり、逃げきれる可能性がないことを理解させられる。


 それでも、ユキはあきらめず、縦横無尽に飛び、連射される火球をかわしていく。

 

 

 気づけば、一つの火球が目の前に迫ってきていた。

 ユキに伝えるひまもなく、火球が彼女の左翼に直撃する。


「きゃっ!」


 火球が直撃した瞬間、ユキが声を上げる。

 

 直撃すると、火球は爆ぜた。

 爆発の威力が高くて、ユキはバランスを崩し、墜落し始める。

 

 墜落する中、ユキは守るように俺を強く抱き、地面に自分の背中を向ける。

 ユキたん、優しすぎるだろ。


 数秒くらいで、俺たちはちょっとした森に突っ込んでいく。

 反射的に目をつむると、その一、二秒後に強い衝撃が来た。




 落ち着いてきて、目を開き、ユキの顔を見る。

 すると、彼女はすごく痛そうにしていた。


 すぐにユキの上から退き、彼女の痛みが治まるのを待つ。


「リョウタ様、ごめんなさい。

ちょっと動けそうにありません」


 ユキが申しわけなさそうに言ってくる。


「ずいぶんと手間をかけさせられましたが、

追い詰めましたよ」


 ユキに返事しようとした瞬間、ミオの声が左側から聞こえた。

 そっちを見ると、ミオが立っていた。


「リョウタさん、覚悟してくださいね」


 目が合うと、ミオは俺に微笑んで、そう言った。






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