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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第十一章 青年期前半 鬼王編 〜義妹争奪戦と剣姫覚醒〜
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セラ争奪戦 ユキ対シロ編

前回に続き、三人称視点で描いています。



 クロネたち三人が戦い始めたそのころ、ユキは銀髪ツインテールの少女ーーシロと対峙していた。

 たった今、竜巻から解放されたところで、まだなにも始まっていないが。


「貴女は普通の精霊とは違うと聞いた。

それは事実?」


 シロがユキに尋ねる。


「はい。事実です」

「じゃあ、普通じゃないところを見せて」

「分かりました」


 そうユキが返事すると、水色に輝く光の粒が彼女の周囲に現れ、彼女の体を包んでいく。

 光の粒は彼女の体を包み込むと、まばゆい光を放った。


 光が収まると、ユキの容姿が少し変わっていた。


 頭には水色の結晶でできたツノが、背中には竜の翼が、腰からは竜の尻尾がそれぞれ生えている。

 手の指先からひじ、足の指先からひざを金属の鎧のような鱗がおおっていて、指先には水色の結晶でできた鋭利なツメが生えている。

 翼の外側、尻尾、腕と足の鱗は白銀に輝いている。

 

 容姿だけでなく、服装も変わっている。

 水色のワンピースに、白の上着を羽織っていた。

 今は、白い半袖のブラウス、紺色したハイウエストのスカートという童貞を殺せそうな格好をしている。



「貴女、何者?」


 半竜化したユキを見て、シロが彼女に尋ねる。


「竜族の祖先にあたる種族と精霊のハーフで、

世界神を倒して、この世界を救ってくださる方の妻です」

「じゃあ、あの男を殺す」

「な!? どうしてそうなるんですか!」

「世界神は私たち鬼族が滅びを回避できるように、

情報や回避方法を教えてくれた。

私たちの恩人に牙をむくんだから、殺すに決まってる」

「絶対、そうはさせません!」


 ユキがそう言い放つと、彼女の両手のツメを水色のエネルギーが包み、伸びていく。

 そして、エネルギーは長い鋭利なツメになった。

 攻撃範囲を広げるためだ。


 水色のエネルギーでできたツメが完成すると、ユキは身体強化を発動させ、駆け出した。




 距離をぐっと縮めると、彼女は右手を振り下ろした。

 だが、シロに左クローの甲部分で防がれてしまう。


 ユキのツメが触れた瞬間、クローにはめ込まれた緑色の魔宝石が輝いた。

 すると、ユキとシロの間に緑がかった風のかたまりが現れた。

 そして、ユキのお腹を切り裂き、彼女を吹き飛ばした。




「『ショットクロー』」


 シロが右クローをユキに向け、呟く。

 すると、また緑色の魔宝石が輝いた。

 クローの前に、半透明の刃が三本現れ、ユキに向かっていく。


 ユキはオレンジ色のオーラーー竜力をまとわせた左腕の鱗で、半透明の刃をすべて受け止め、防ぎきった。


 竜力は身体能力、物理攻撃・攻撃魔術の威力、治癒・解毒魔術の効果を上昇させられる。

 それだけでなく、鱗の硬度、炎や冷気などの息攻撃の威力・範囲を強化できる。

 そして、竜力の一番の強みは、身体強化に効果を上乗せできるところだ。




(なに? 今さっきの攻撃。

ただ防いだようにしか見えなかったのに)


「さっきの攻撃は『カウンターウィンド』。

この爪武器ーーティグリスのスキル。

効果は攻撃が私の体のどこかに当たったら、

風が生まれて、攻撃者を切り裂き、吹き飛ばす。

効果は私の魔力がなくなるまで」


 ユキの心を読んだかのように、シロが先ほどの攻撃の説明をした。


「当たったら……っていうことは、

防いでも発動するんですか?」

「当然。貴女の近距離攻撃はすべて貴女を傷つける」


(近距離攻撃は戻ってくる。

近距離攻撃は? どうして、限定したんだろう?

まさか!?)


 ユキは右手を前に出し、魔術で氷の球を生み出した。

 そして、氷球を掴んで、投げた。


 氷球は放物線を描きながら、シロに向かっていく。


 シロがそれをクローで受け止める。

 すると、小さな風のかたまりが現れ、強風になって吹いた。

 シロの前方一メートルまで、吹いた。


(やっぱり。

あの技は遠距離からの攻撃じゃ意味をなさないんだ。

これなら、距離を保ちながら、攻撃すれば勝てる!)


 勝機を見出したユキは腕を胸の前で交差させた。

 そして、氷のナイフを指の間に、左右三本ずつ出現させ、両手を広げるように腕を振るい、ナイフを投げた。


 今回は竜力を全身にまとって、腕を振るったため、氷のナイフは高速で飛んでいく。


「『ショットクロー・ダブル』!」


 シロの声に反応して、両方のクローの魔宝石が輝いた。

 そして、左右合わせて六本の刃が飛んでいき、すべてのナイフを撃ち落とした。


(危なかった。えっ!?)


 驚くシロ。

 驚いて当然だ。

 気づけば、氷の砲弾が迫ってきているのだから。

 氷の砲弾は先が尖り、回転している。


 この氷の砲弾はユキが放ったものだ。

 ナイフはこの砲弾を確実にあてるためのものだったのだ。




「ーーッ!」


 氷の砲弾をかわそうとしたが、左腕にもろにくらい、シロが声にならない叫びを上げる。

 彼女の腕はギリギリ繋がった状態になったが、すぐに治癒が発動し、元どおりになった。

 

 腕が治ったのはいいが、彼女の腕は血で赤く染まっていて、ブレスレットの光も残り二つになってしまった。




「はぁはぁ、今度は私のターン」


 息を乱しながらそう言って、シロが右腕を上げる。

 すると、右クローの魔宝石が輝き、右手に緑がかった風のかたまりが現れた。

 かたまりは形を変えていき、円盤状になった。


「『風円斬』」


 そう言って、シロは右腕を振り下ろすようにし、風の円盤を放った。

 風の円盤はユキに向かって、飛んでいく。


 風の円盤があと少しであたるというタイミングで、ユキは背中の翼を使い、飛んでかわした。


(こういう技はあたるまで襲ってくるっていうのが決まり)


 この情報はリョウタのアニメ知識から得たものだ。


 なにもないときは、いつもリョウタの魔力でできた空間にいるユキ。

 その空間には花畑と大きな図書館が存在している。

 図書館にはリョウタの記憶が載った本がたくさん置かれている。

 その中にはアニメやゲームの記憶が載った本もある。

 ユキはその本にはまってしまい、暇さえあれば読んでいる。


(やっぱり)


 ユキが振り向くと、案の定風の円盤は方向転換して、彼女の元へ向かおうとしていた。


(対処法は、放った敵に向かう!)


 そう心の中で言い、ユキは背中の翼を使って、シロに向かって飛んでいく。

 それを追って、風の円盤も飛んでいく。


(引っかかった)


 シロが心の中で呟く。

 そう。風の円盤は罠である。

 いや、今罠になったと言った方が合っているだろう。

 どういうことかと言うと、ユキが追尾型の攻撃を知らなければ攻撃に、知っていれば自分の元へ向かわせるための罠になるということだ。


 シロは両手を前に出し、くっつけた。

 すると、両方のクローの魔宝石が輝いた。

 魔宝石に応じて、シロの周囲に風がいくつも巻き起こり始める。

 風は彼女の両手に集まっていき、強くなっていく。


 風が暴風のかたまりとなったとき、シロが技を放とうしているのに、ユキが気づいた。

 だが、気づくのが遅すぎた。

 もうよけられる距離ではないし、シロの技は完成に至っているのだから。

 

「奥義『斬撃嵐虎弾』!」


 シロが技の名前を叫び、暴風のかたまりを放った。

 放たれたかたまりはトラの形になり、ユキに向かっていく。


 よけられないと判断して、ユキは顔の前で腕を交差させ、防御態勢に入った。


 防御態勢に入った瞬間、彼女に風のトラが直撃し、暴風のかたまりに戻って、飲み込んだ。

 すると、暴風のかたまりはその場にとどまり、ユキの体を切り裂いていく。


 少しすると、暴風のかたまりはゆるい風になって、ユキを解放した。

 解放されたユキは地面に倒れ込むように着地した。


 体を起こした彼女の服は所々切り裂かれ、その切れ目から血に濡れた肌が露出している。


『ブルーチームズプレイヤー5、ゲームオーバー。

転移魔法陣を展開します』


 ユキの左腕に装着されたブレスレットが告げ、彼女の足もとに魔法陣が描かれていく。


「どうして……?」

「私の奥義は手数の多さが売り。

その奥義をくらったんだから、

ゲームオーバーになって当然」


 シロがそう言い終えると同時に、魔法陣が完成した。


『テレポート』


 ブレスレットの音声に反応して、魔法陣がまばゆい光を放った。


 光が収まると、ユキの姿は見えなくなっていた。





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