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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第十一章 青年期前半 鬼王編 〜義妹争奪戦と剣姫覚醒〜
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鬼王との謁見


 俺たちは王城へやってきた。


「これが鬼の国のお城なんだ。大きい」


 ティリルが呟く。

 彼女の言う通り、この城は大きい。

 魔王城より多い面積を占めていそうだ。


 王城を眺めていると、肩を叩かれる。

 そっちを向くと、至近距離にティリルの顔があった。


「リョウタのも大きいよ」


 耳元でそう囁く彼女。


「なにが?」

「あそこ」

「な、なに言ってんの!?」

「あはは! 顔、真っ赤」


 ティリルが俺の顔を指差して、笑う。


「リル姉が変なこと言うからだよ!

ていうか、俺のは標準だし」

「そうかもね。

でも……」


 また顔を俺の耳に近づける彼女。


「満足できるよ」

「バカ……」


「セラ様のお兄様はエルフの奥様と仲がよろしいんですね」


 案内役の青年が微笑ましく言った。

 微笑ましく見てんじゃねえよ。


 心の中で言っていると、両腕になにかが絡みついた。

 続けて、柔らかいものが当てられた。

 腕に絡みついてるのはフィアーナとクロネの腕で、当たってる柔らかいものは二人のおっぱい。


「私たちも仲良しです。ね? クロネちゃん」

「そう。リルよりも私たちの方が仲がいい」


 見せつけないで、二人とも。恥ずかしいから。


「すごいですね。

奥さんが多いのに、その全員と仲がいいなんて」

 

 夫婦になってまだ三年だもの。

 そこよりも嫁同士が仲良いところを褒めてあげて。


「あっ。早くしないと王が待ちくたびれてしまいます。

行きましょう」


 褒めてあげろよ!


 案内役の青年に連れられ、王城に足を踏み入れた。




ーー




 広い城内を移動していると、案内役の青年が止まった。

 彼が止まったのは観音開き型の豪華な扉の前。


「失礼します!」


 そう大きな声で言って、片方の扉だけを開ける青年。


「やっと来たか。もう待ちくたびれたぞ」


 部屋の中から男性が言う。

 

「遅くなってしまい、申し訳ありません」

「謝る必要はない。

この島から『スカーレット』までは距離がある。

それに忍を向かわせたのは昼だ。

次の日になっても仕方ない。

そんなことはどうでもいい。早く会わせろ」


 声からわくわくしてるのが感じられる。

 すげえ楽しみにしてたんだな。


「承知しました」


 そう返し、こっちに戻ってきて、もう片方の扉を開ける青年。


「どうぞ。お入りください」


 彼に促され、俺たち四人は謁見室に入った。




 入ると、中にいたのは金色の髪をしたガタイのいい男性、そのすぐ隣にいるクラシカルなメイド服を着た女性の二人。


 男性は座っていて、彼の前には机がある。

 机の上にはボードゲームの盤。

 ボードゲームしてたのかな?


「俺はライコウ。鬼族の長であり、この国の王だ」


 男性ーーライコウが名乗ってきた。


 この人がこの国の王様。

 家を襲った忍が王のことを口走ったこと、ついさっきの『忍を向かわせた』ってこと。

 この二つから導かれる答えは、こいつがセラの誘拐を企てたやつで、倒すべき敵ってこと。


「貴方のことなんてどうでもいい!

今すぐセラを返して!」


 声を荒げるクロネ。

 

「落ち着け、獣族の娘。

俺とゲームをしてくれれば、エリーゼの娘を返してやる」

「そのゲームってなんですか?」

「教えてやるが、

その前に、ゲームに付き合うかどうか答えてくれ」

「付き合うに決まってる」


 クロネが即答した。

 しないと、セラちゃんを返してもらえないもんね。


「そうか。付き合ってくれるか。

二代目真祖と獣神の血を引く剣姫のお前と戦うのが

楽しみだったんだ」


 ライコウが『獣神の血を引く』と言った瞬間、フィアーナの後ろに隠れるクロネ。

 そりゃ隠れるよな。

 初対面の人が自分の情報知ってるんだもん。

 しかも、クロネは男性恐怖症だから、余計怖いだろうな。


「ど、どうして知ってるの?」


 彼女がフィアーナの肩越しにライコウに尋ねる。

 フィアーナの肩に置いた手が震えてる。


「女神に教えてもらった」

「女神?」

「ああ。銀色の髪をした美しい女だった。

ヴェルガという破壊神の妻だとか言っていたな」


『世界神は正真正銘神だ。それも破壊神』


 ライコウが破壊神と発した瞬間、竜帝(エア)様のこの言葉がよぎった。


 多分、破壊神ヴェルガは世界神。

 ていうことは、ライコウは世界神からの刺客。

 なにか能力とか道具を与えられたはず。

 この島にいる間は、油断は禁物だな。


「ではゲームについて説明する。

ゲームは十人、二チームに分かれて行う。

相手の陣地にあるクリスタルを壊した方が勝ち。

又は、相手全員倒しても勝ちだ」

「倒すって殺すって意味じゃないよな?」


 ライコウは世界神からの刺客だから、敬語なしで聞く。


「ああ。そういう意味ではない。

ゲームを行う場所は最上級治癒魔術が常時発動している。

安心しろ」


 そっか。よかった。


「じゃあ、倒すってどういう意味なんだ?」

「配布するブレスレットの光がすべて消えると、

ゲームを行なっている場所の外に転移する。

ブレスレットの光は五つ。

攻撃を受けると、消える。

受けた攻撃の威力が高ければ高いほど、消える光が増える。

ルールは以上だ。

続いて、賞品について話す」


 賞品? まさか、セラが賞品じゃないよな?


「賞品はエリーゼの娘とお前の精霊以外の妻三人」

「は?」

「お前たちが勝てば、これまで通りの生活。

負けたら、エリーゼの娘は俺の妻に、

その三人は俺の(めかけ)になる」

「ふざけんな!

セラもフィアーナたち三人も俺の嫁で、宝物なんだよ!

今すぐ賞品を変えろ!」

「それは無理だ」


 言葉じゃダメだと判断し、右手に魔力を集中させる。

 すると、右の手首を掴まれた。


「落ち着いて、リョウタ」

「邪魔するなよ、リル!」

「いや! リョウタが落ち着くまで離さないから!」


 ティリルの手を振り払おうと腕を振る。

 だけど、彼女が腕を必死に掴んでいるから、振り払えない。

 多分、身体強化を使ってる。


「リョウタ一人で戦うわけじゃないんだよ。

すごく強いフィアとクロネも一緒なんだから、

負けないよ。

だから、落ち着いて」

「そうだけど、もしもがあるだろ!」

「もし負けたら、セラを連れて

義母(かあ)さんたちのところに

逃げればいいの。

フィアが使える瞬間転移なら

一瞬で逃げられるから、ね?」


 ライコウに聞こえないように囁くティリル。

 そうだよ。

 アクアさんたちのところへ瞬間転移すれば済む話じゃないか。


「落ち着いたみたいだね」

「うん」

「そっか。よかったー。

リョウタには人間をできるだけ殺してほしくないかんね」


 ティリルは微笑んで言った。


「ゲームの準備をするのに時間がかかる。

エリーゼの娘に会ってくるといい。

おい」

「はい」


 ライコウの隣に立つメイドが彼に返事する。


「こいつらをエリーゼの娘の元へ連れて行ってやれ」

「かしこまりました」


 そう返事し、メイドが俺たちの方へ向き直る。


「セラ様のお部屋にご案内いたします。

ついてきてください」


 俺たちはメイドに連れられ、謁見室を後にした。





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