2-2 天使についていけば
「よし、描けた」
「なにこれ? うさぎさん?」
俺が描いた絵を見て聞いてくるフィアちゃん。
「違うよ。ピ○チュウっていうやつ」
「ぴかちう?」
「ピカって鳴くんだ」
「ふふっ、可愛いね」
ピ○チュウを可愛いって言うフィアちゃん、可愛いよ。
「リョウちゃん?」
無意識のうちに頭を撫でてしまっていた。
「あっ、ごめん。
いきなり撫でられたら嫌だよね?」
「嫌じゃないよ」
微笑んで、否定するフィアちゃん。
「じゃあ、もう少しだけ撫でてもいいかな?」
「うん、いいよ」
言質、ゲットだぜ。ピカーッ。
彼女の頭を撫でようとした瞬間、五時の鐘が鳴った。
「そろそろ帰るか。
家まで送るけど、
フィアちゃんの家って、どこにあるの?」
東を指差すフィアちゃん。
「あっちだよ。行こ?」
「うん」
フィアちゃんに連れられ、彼女の家に向かう。
「フィアちゃん」
「なに?」
「お父さんとお母さん、優しい?」
「うん。優しいよ」
「そっか。フィアちゃんはどっちに似てるの?」
「フィアはお母さん似だな……って、
お父さんが言ってたよ。
でもお母さんの髪、金色なの」
俯くフィアちゃん。
「ご、ごめんっ。嫌なこと聞いて」
「ううん、大丈夫だよ」
話していると、二階建ての一軒家が姿を現す。
「ただいま!」
家に着くと、大きい声で言うフィアちゃん。
すると、玄関の扉が開き、金髪の女性が出てきた。
この人、フィアちゃんとよく似てんな。
お母さんかな?
「おかえり、フィア。あら?」
笑顔で出迎えた彼女は俺に気付いた。
「リョウタ・クールウィンドです。
この度、娘さんと友達になりました。
よろしくお願いします」
「君ね、あの人が言ってた子は。
私はニーナ、フィアの母親よ。
よろしくね」
ニーナ、ニーナ。
どこかで聞いたような。
『ニーナさんはフィールズの奥さんだよ』
なるほど。
ていうことはフィアちゃんはフィールズさんの娘なんだな。
だから、あんな必死だったんだ。
「はい。あの、明日も娘さんと遊んでいいですか?」
「ふふっ、いいわよ」
「ありがとうございます。
では、失礼します。
フィアちゃん、また明日ね。バイバイ」
「うん、また明日」
見よう見まねで手を振り返してくれるフィアちゃん。
彼女に見送られ、帰路に着いた。
ーー
「お兄た〜ん」
玄関に入ると、セラちゃんが抱きついてくる。
「ただいま、セラちゃん」
「てへへ〜」
頭を撫でると嬉しそうに笑うセラちゃん。
「おかえり、リョウくん」
家の奥からアクアさんが出てきた。
「ただいま、母さん」
「ふふっ、嬉しそうな顔してる。
ていうことは、可愛い娘と友達になれたんだね〜?」
「うん。アルビノの女の子」
「ある……って、なに?」
小首を傾げるアクアさん。
可愛い。
「えっと、色素が薄い女の子」
「しきそ?」
「髪と肌が白くて、瞳が赤い、
同い年くらいの可愛い女の子」
「そっか〜。名前はなんて言うの?」
「フィアーナっていう名前で、
フィアちゃんって呼んでる」
「お嫁さんになってくれそう?」
「えっと、俺の努力次第かな」
「そっか〜。いつでも連れてきていいからね〜」
「ありがとう、母さん」