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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第十章 青年期前半 青年エルフの復讐編
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世界神を倒す仲間について

「やっぱり転生者は甘いですね」


 構えを解いたティリルが言った。


「〈形態変化(モードチェンジ)剣銃(ブレード)〉」


 彼女がそう呟くと、拳銃の角度が九十度から百三十五度に変化し、拳銃の先から緑色のエネルギーでできた刃が伸びた。


 鳥かごの鉄格子に向かって、拳銃をダガーのように振るう彼女。

 拳銃の刃が通り過ぎると、鉄格子が音を立てながら、地面に落下した。


 目の前の鉄格子がなくなった鳥かごから出てきて、倒れているルシルに近寄っていく。


「〈形態変化・拳銃(ブラスター)〉」


 ティリルの声に反応して、元の状態に変化する拳銃。

 銃口をルシルが持っていた杖の先に向ける。


 タン!

 破裂音と共に緑色の弾丸が杖を襲い、粉砕した。


「これで大丈夫ですね」

「えっと、リル姉?」


 いつもの口調じゃないティリルに声をかける。


「ティリルじゃありませんよ」

「えっ?」

「説明したいところですが、塔が崩れてしまうので、

少しお待ちくださいますか?」

「う、うん」


 俺が返事した瞬間、ティリル(?)が消えた。




 数秒後、消えた場所に寸分違わず、現れるティリル(?)。


「おまたせしました。

では、行きましょうか?」


 目の前まで来ると、彼女は俺の肩に手を乗せた。

 すると、フッと見ている景色が変わり、凄まじく大きな樹木が現れた。



「でかっ!」

「世界樹ですからね」

「世界樹? 葉っぱを食べたら、生き返るの?」


 ド○クエみたいに。


「それはできません」


 ポーションが存在してるから、期待したんだけどな。


「世界樹ができることは二つだけです。

一つは、精霊を生み出すこと。

もう一つは、世界の均衡を保つこと」

「世界の均衡?」

「人間が絶えないように、

魔物の発生を抑えてくれているのです」


 ありがとうございます、世界樹様。


「世界樹のことは置いておいて、大事な話をしましょう」


 そう言って、地面に這っている世界樹の根っこに腰掛けるティリル(?)。


「そこ、座っていいの?」

「大丈夫です。

ティリルは幻想武具の適合者ですから」

「幻想武具……?」

「まずは座ってください」

「う、うん」


 ティリル(?)の前に移動して、草の生えた地面に腰を下ろした。


「では、話しますね」

「お願いします」

「幻想武具、別名ファンタジックウェポン。

大天使様が生み出した武具のことをそう呼びます」


「大天使様というのは……?」

「大天使様はあらゆる世界を管理されているお方たちです」

「それって、すごく偉いんじゃ……?」

「はい。一番偉い最高神様の次に偉いです」


 すごい人たちなんだな。


「話を戻しますね」

「うん」


「幻想武具は、世界を破壊から守るためのものです。

世界神を倒すには、幻想武具とその適合者が必要です」


 創造神様が言ってた仲間って、適合者のことか。


「幻想武具は六つあり、適合者も六人います。

紅輪の剣、『アマテラス』。

適合者はフィアーナ。

蒼月の刀、『ツクヨミ』。

適合者はクロネ。

翠風の弓、『クシナダ』。

適合者はティリル。

紫雷の槍、『サクヤ』と閃光の剣の適合者は

場所しか分かりません」

「後、一つは?」

「天空の杖。

これは、杖そのものが行方不明で、

適合者も不明なんです」

「それって、やばいんじゃ……?」

「大丈夫です。

世界神との戦いまでには、どちらも現れますから」

「そうなんだね。

それで、後二人の適合者はどこにいるの?」

「待ってください」


 そう告げて、目を瞑るティリル(?)。


「一人は人族領の北端、もう一人は人族領の王都にいます」


 人族領の北端って、セラちゃんがいる修道院がある場所だ。

 セラちゃんが適合者? まさかな。


「その二人を探し出せばいいの?」

「いえ、近い内に出会うことになりますから、

探す必要はありません」

「分かった。それで君はだれなの?」

「私は、幻想武具の一つ、『クシナダ』の精霊です。

私のことは、クシナダとお呼びください」


 手を胸にあてて、答えるティリル(?)ーークシナダ。


「精霊? ユキちゃんと同じってこと?」

「私なんかとは比べものになりませんっ」


 ユキが現れて、否定した。


「そうなの?」

「お恥ずかしながら、その精霊よりずっと上位の存在です」


 そりゃあ、そうか。

 世界を守れるレベルの武器、それに宿っている精霊なんだから。


「他の幻想武具にも、精霊が宿っているの?」

「はい。宿ってますよ」

「そうなんだ」

「話しておきたいことは以上なので、帰りましょうか?」

「うん。そうだね」


 そう返事して、立ち上がると、クシナダが俺の肩に触れようとしてやめた。


「転移したら、ティリルに切り替わります。

彼女は眠っているので、介抱してあげてください」

「うん。分かった。

それで、また出てくるの?」

「必要なときには、出てきます」

「ティリルか、クシナダか、すぐ判断できる部分ってある?」

「これです」


 束ねて、前に垂らした髪を触るクシナダ。

 よく見ると、優しい金色の中に緑色の毛が存在していた。

 その毛は一本じゃなくて、数十本が束になっていて、室内とかなら離れても分かるくらい。


「分かったみたいですね。

もう質問はありませんか?」

「うん。大丈夫」

「では、転移しますね」


 そう告げて、クシナダが肩に手を置いた。

 また景色がフッと変わり、聞き慣れた声が耳を刺激した。

 






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