表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第一章 幼年期 〜今世の母は銀髪ハーフエルフ〜
10/140

1-9 マジックポーチとヒロイン遭遇のフラグ


 王竜暦2975年、九月。

 リョウタ・クールウィンド、五歳。


 この世界に転生して、五年経った。

 今では、教本に書いてあるすべての魔術が無詠唱で扱えるようになって、魔力上げをしている。

 だいぶ魔力量が増えたと思う。

 もう少しで数学書が使えるようになるんじゃないかな。




「五歳の誕生日、おめでと〜」

「元気に育ってくれてありがとう」

「おめでと〜」


 アクアさん、レオンさん、セラちゃんが祝ってくれる。

 今日なんだ、俺の誕生日。

 誕生日を祝うのは、五、十、十五の三回と決まっているから、知るよしもなかったけど。


「私からのプレゼントは、これだよ〜」


 アクアさんが巾着を渡してくる。


「この巾着は?」

「これは、『マジックポーチ』。

魔術がかけられていて、ものがたくさん入るの。

袋の中は時間の流れがないから腐らないんだよ」


 猫型ロボットのポケットかよっ!


「それでね、『マジックポーチ』には二種類あって、

容量が決まっているもの、

持っている人の魔力量で容量が決まるものがあるの。

リョウくんは魔力量が多いから後者の方だよ」

「それなら、お金かかったんじゃないの?」

「ううん、魔力量で決まる方は実力のある魔術師なら

持っているものだから

普通のものより少し値がはるくらいだよ。

ていうか、子供がお金のことを気にしちゃダメだよ」


 メッと人差し指を立てるアクアさん。


「わ、分かった。ありがとう、母さん」


 俺はなにも思わず、レオンさんに視線を向けた。


「えっと、ごめん。

僕は物じゃないんだ」


 物じゃない?


「どういうこと?」

「明日、僕についてきて」




ーー翌日ーー


「どこに行くの?」


 俺の隣を歩くレオンさんに聞く。


「森だよ」


 俺が住んでいるこの村の近くには森がある。

 森には魔物が出現するらしい。

 レオンさんは魔物が村に入ってこないように見張る仕事をしている。


「えっと、父さんの仕事を見るの?」

「うん。

戦いを見ておいた方がいいと思ってね」


 レオンさんと話していると森に着いた。




「レオン、遅えぞ」


 木に背を預けた茶髪の青年が言った。


「フィールズが早いだけだよ」

「早く終わらせて、帰りたいんだよ」

「えっと、父さん。

この人は?」

「彼はフィールズ。

僕の仕事仲間で友達だよ」


 友達ね。


「息子のリョウタ・クールウィンドです。

よろしくお願いします」

「お前、真祖をどう思う?」


 青年ーーフィールズさんは目線の高さを同じにして、茶色の瞳で見つめて、聞いてくる。

 いきなりだな。


「どうと言うのは……?」

「真祖と同じ容姿のやつが目の前に現れたら、怖いと思うか?」

「あの、まず真祖の容姿が分かりません」

「は? お前、真祖の姿知らねえのかよ」

「は、はい。

吸血鬼の親玉で、湖の騎士と戦って、

世界神に殺されたことしか知りません」

「どうして、容姿を知らなくて、

そっちだけ知ってんだよ。

まぁ、いいや。

真祖ってのは女だ」


 女性なんだ。


「女だってのも知らねえのかよ。

それで真祖は真っ白な髪と肌をしていて、

瞳が血みたいに赤い」


 白髪、白い肌、赤い瞳。

 アルビノってやつか。


「それと同じ容姿のやつが

目の前に現れたら怖いと思うか?」

「思いません。

美女、美少女だったら、むしろ幸運だなって思います」

「そうか。お前なら仲良くしてくれそうだな」

「誰と、ですか?」


 そう聞くと、頭を撫でてくるフィールズさん。


「独り言だ。気にすんな。

レオン、行くぞ」

「うん」




ーー




「お出ましだな」


 レオンさんたちについて、森の中を歩いていると、フィールズさんが呟いた。

 すると、現れる五匹の犬。

 ドーベルマンに似てるな。


「アサルトドッグだね」

「アサルトドッグ?」

「人族領にだけいる魔物だよ。

フィールズ、リョウタを頼むよ」

「分かった」


 返事を聞くと、レオンさんは腰に携えた剣を鞘から抜いて、構えを取った。

 

「グラァ!」


 アサルトドッグが五体同時にレオンさんに襲いかかる。

 その瞬間、紫の閃光が横一直線に走った。

 そして、胴体が上下に分かれるアサルトドッグたち。

 わ、ワンパン!?


「やっぱり剣聖はすげえな」

「えっと、どういうことですか?」

「レオン。お前、言ってねえのかよ?」

「うん。言う必要がないからね」


 フィールズさんがため息をつく。


「お前、自分のこと話さなすぎだろ。

俺たちが知ったの、ここへの道中だったしよ」

「ちょっと待ってください。

父さんは剣聖で、フィールズさんとは昔から友達ってことですか?」

「昔ってほどじゃないけどな、そうだな。

アクアさんが東都に用があって、俺とニーナは護衛としてついていったんだ。

そして、アクアさんがレオンを連れてきたってのが出会いだな」


 アクアさんが輩に絡まれた後に繋がるのか。


「その、ニーナさんって誰ですか?」

「フィールズの奥さんだよ」

「おい、美人って付けろ」

「分かったよ。

ニーナさんはすごく美人だよ」

「取るなよ?」


 美人って付けたら取るなよって意味分かんねえよ。


「アクア一筋だから取らないよ」

「あの、剣聖の説明してくれない?」

「帰りでもいいかな?」

「うん」




ーー




 やっと帰路につけた。

 あの後、レオンさんとフィールズさんが魔物を狩るのを見せられた。

 かっこよかったの一言に尽きるな。


「父さん、あの紫色の光って魔術?」


 森の中を歩きながら聞く。


「いや、魔術じゃないよ。

雷の精霊に力を貸してもらって、

刀身に電撃を纏わせて斬ったんだ」


 精霊。ファンタスティックだな。


「それって剣士なら使えるの?」

「ううん。

剣聖の家の者で、精霊と契約した者だけが使える」

「じゃあ、父さんは雷の精霊と契約してるんだね?」

「えっと、火と水の精霊とも契約してるよ」


 三体の精霊と契約してるって、すごっ!


「すごいんだね、父さんって」

「実力はすげえくせに、堅苦しいのが嫌いだからって、

剣聖を兄貴に譲ったんだ、このバカは」

「譲ったんじゃないよ。

僕が剣術に触れる前に、兄さんが実力を認められて、

剣聖になったんだよ」

「父さんってお兄さんがいるの?」

「うん、いるよ。

歳が十以上離れてるから、兄弟っぽくないけどね。

話してる間に出口だね」


 森を抜けると村がオレンジ色に染まっていた。

 

「それじゃあ、帰るわ。

ニーナと天使が待ってるから」

「フィールズの子どもって、娘だったよね?」

「おう。ニーナに似て、超可愛いぞ」

「じゃあ、あれは有効なんだね?」

「覚えてたのかよ」


 嫌そうな顔なフィールズさん。


「まあ、こいつならやってもいいけどよ」


 フィールズさんが頭をワシャワシャと撫でてくる。

 えっ、くれるの?

 答えの代わりに鐘の音がした。


「五時だな。帰るわ」

「うん」

「じゃあな、リョウタ。

真祖と同じやつに会ったらよろしくな」

「はい」

「レオン、また明日な」


 そう言って、フィールズさんは走っていった。


「僕たちも帰ろうか」

「うん」


 俺はレオンさんと手を繋いで、家に向かった。





第一章 幼年期 ー終ー


次章 幼年期 幼馴染編

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ