不安一杯の助丸
助丸は、健情家の領地に向けて進む行軍の中にいた。
助丸の心の声:(´Д`)
(もう~戦か~。 はぁ~俺の人生もここまでか。)
うな垂れている助丸をポンと肩を叩いた。
「助丸。今更落ち込んでも仕方がないんだよ。
こうゆう時こそ、元気を出さないと。」
「リーンは良い性格だよなぁ。前向きで、しかも俺なんかより剣の腕は強いし~。」
「カカカ。確かに助丸は弱いもんな。」
「笑うなよ。シュタイン。」
「毎回、良く生き残ったなぁ~と感心してしまう。」
ニヤニヤしながら、シュタインは言った。
「俺は運だけは良いからな。」
ムキになって助丸は言い返した。
「それにしても、助丸。その竹の武器なんだ?」
「これ? まぁ。 俺用に改造しようと思って作ったんだ。」
「リーン。違うぜ。こいつ。お金が無いから槍を売ったんだよ。」
「違う。」
「じゃ~なぜないんだ?」
「それは・・・」
「そらな。こいつ大事な槍を売ったんだ。」
「まあまあ。それにしても、竹の棒が普通の槍より長いじゃないか?」
「リーチが長くなるから有利だし、上から叩いて相手を退却させようと思っているんだ。」
「俺に当てるなよ。」
「解っているよ。」
「そういや。ルーチェの奴見たか?」
「一昨日に見たっきり、見てないなぁ。」
「あいつ。戦があると解って逃げ出したんじゃないか?」
「奴ならあり得るな。」
「まあ。いない奴の事を気にしてもしょうがないか。
それよりも気になってたんだが、ムハラ様の周りにいる奴らは何だ?」
リーンが村長の息子ムハラの周りにいる装備が良い連中の事を聞いた。
「あいつらか?あいつらは傭兵らしいぜ。村長が息子のために雇ったらしい。」
「村長はムハラ様に甘いからな。」
「あいつら信用出来るのか? 途中で裏切ったりしないよな?」
「もう~助丸は直ぐに心配になるんだもなぁ。疲れるぜ。」
「だって、強い奴がいきなりこっちに襲って来たら怖いじゃないか。」
助丸は口を尖らせて言った。
「こいつの言っている事は、ごもっともな心配さ。」
後ろから助丸の首に腕を掛けた男が言った。
「なんだよ。」
突然の声の主にビックリする3人だった。
「気にしない、気にしない。敵ではないからよ。」
「てめぇ~。俺らと殺るつもりか?」
シュタインが剣を抜いて、謎の男に威嚇をした。
「おいおい。喧嘩はご法度じゃなかったっけ?」
「シュタイン。落ち着け。喧嘩をしたら軍令で処罰されてしまうぞ。」
リーンは必死になったシュタインをなだめた。
仕方なく、シュタインは剣を元に戻した。
「元気だね~。うん。うん。」
「何か気に入らね~こいつ。」
「俺が聞きたい事があってね。村長の息子事で。」
「ムハラ様の事?」
「助丸。そいつの事は無視していろ。」
シュタインは腕を組んで、態度が悪くなった。
「でも、困っていそうだし、話していると気分が紛れるから。」
「ケッ。」
さらに不機嫌になったシュタインだった。
「ありがとう。ありがとう。君。良い奴だね。」
バンバン助丸の肩を叩いた。
「ムハラ様のためなら、死んでも良いと思っている?」
「ハァ? あいつのために死ねるかって。」
「あれ? 無視するんじゃなかったの?」
「ふん」
シュタインは拗ねてしまった。
「シュタインの言ったように、ムハラ様のために死ねるかと言えば、
死ねないね。」
「何で? 村長の息子で皆に愛されているんだろ?」
「あなたは、彼の事を知らなすぎる。彼はとにかく我がままで、
自分の重い通りにならないと気が進まない性格なんだ。」
「良くいるよね~ そう奴。」
「そうそう。 この間の戦も危なくなったら、一番先に逃げて部下を盾にする奴だしなぁ。」
「ほぉ。そりゃ。最低の奴だなぁ。じゃ~誰も彼を止めれる奴はいないんだなぁ?」
「嫌。基本的に村長には逆らえない感じだなぁ。」
「なるほど、そうなんだ。」
「傭兵さん。どうしたら生き残れますか?」
男に助丸は突然聞いて来た。
咲田家の作戦会議では、主だった幹部達が集まて軍議を始めていた。
「今回はどうゆう戦いを行いますか?」
ツネ宰相が皆に聞こえる声で尋ねた。
「わが軍は、健情家より騎馬隊の数が多いので、平地の戦いをした方が良いと考えます。」
田中将軍が1つ案を出した。
「そんな事は、向こうも解っている。どうやっておびき寄せるのだ。」
ヤヌルー大臣は、イライラしながら聞いた。
「それは、囮の部隊を先行して敵を釣ればよかろう。」
「今まで、そう簡単に釣れた事がないでしょ。」
「それよりも、干拓要塞をどうやって落とすかが重要なのでは?」
ツネ宰相が話に入って来た。
「平地でどんなに打撃を与えても、結局、要塞に篭って時間が過ぎてしまうパターンが多かったではありまんか。」
干拓要塞は、健情家の要の要塞で、両側が岩で覆われて、前方には道があるが少ない人数しか通れないので、出て来た所を集中攻撃されてしまう事が多かった。
また、後方に別の要塞があるので、物資や兵などの補給も行えて長い間戦う事が可能だった。
「では別のルート。シシ森を抜ける方はどうだ。」
田中将軍が言った。
「前回もそう言って、シシ森に行ったのに返り打ちにあったばかりではないか。」
ヤヌルー大臣は、机をドンと叩いて言った。
「この前は、天候が雨だったので、行軍のスピードが遅くなり、伏兵に捕まったのです。もし、天候が晴れていたら容易くシシ森を突破出来ました。」
「そなたは、自分が負けた事を認めぬのか。」
「二人とも過去の話を蒸し返すな。大事なのは今だ。」
当主、玄白が二人をなだめた。
「ガル。そなたの意見は?」
先ほどまで黙っていた。ガル将軍がゆっくり喋り出した。
「この戦は、時を掛けるのが上策です。」
「時間を掛けてどうするんだ?」
「時間が過ぎるのを待てば、紅とスズロ家の戦いが終わり、兵を無駄にせず終了する事が出来るからです。」
「そうかもしれぬが、健情家は関係なくこちらに攻撃してくるぞ。」
「ですから。こちらの有利な地。つまり、桶平地に陣取れば良いのです。」
「なるほど。敵が平地に来れば、我が軍の騎馬隊で蹴散らす事も出来ると言うわけだな。」
玄白は感心して頷いた。
「よし。この方法でいいな?」
田中将軍はガル将軍の方を睨みつけていた。
「ハ」
「ツネ。今、我が軍はどの辺りだ?」
「ちょうどベリア森を通っている頃かと。」
「桶平地まで後1日か。」
助丸一行
「なぜ? 傭兵だと思ったのだ?」
「それは見れば解ります。 至る所に傷がありますし、意外と筋肉質ですし、何より手の平が私達農民と違うからです。」
「フフフ。良く分かったな。 結構、見破れないと思ったんだがな。」
リーンとシュタインは、ビックリした表情で見合った。
「なぜ? アイツの事を聞く?」
「まあ。情報収集は基本だからな。依頼主の情報だけでは解らない事が沢山ある。
おかげで、良い情報が聞けた。」
「傭兵さん。俺の質問の答えは?」
「どうすれば生き残れるかって話か。腕に自信が無ければ強い奴の近くにいる事だな。
相手をどんどん倒してくれるし、相手が逃げて行く事が多いからな。手柄を上げやすい。」
「傭兵。お前はバカか?俺らは持ち場が決まっているから、勝手に移動出来ないだぜ。」
シュタインはバカにした表情で言った。
「もちろん。知っている。 だが、混戦などになれば、誰にも解らないって、
自分の事で精一杯になるんだから。 まぁ。大きな国になれば、記録係りみたいのがいて、
誰が手柄を上げたのかを記録する所もあるけど、ここはそんな余裕が無いから、平気だって。」
何か言いたそうなシュタインだったが、傭兵の男の説明に反論する事が出来なかった。
「強い人がいない時は?」
強い眼差しで、傭兵の男を見つめる助丸。
「そうだなぁ。逃げるタイミングを見誤らない事かなぁ。」
アゴに手をやりながら答えた。
「逃げるタイミング?」
「勝手に逃げたら、上官から殺されるかもしれないし、手柄を意識し過ぎて突っ込み過ぎたら、
帰って来れずに死んでしまう奴が非常に多い。
だから、優秀な指揮官見分ける方法の1つに、攻める時は攻め、
不利になれば退却出来る指揮官は優秀だ。」
「すごい。傭兵さん。さすが戦の経験が多いと説得力が違うな~」
手を叩いて褒める助丸に対し、傭兵の男も少し照れていた。
「もっと色々教えてよ。」
「まぁ。色々あるが、口で言っても理解しずらいから、後は実践で磨くしかないな。」
「え~~~~」
助丸は、残念そうな顔をした。
「いや~貴重なお話ありが」
リーンが喋っている途中で、左肩に矢が刺さった。
!!!!!
「リーン。大丈夫か。」
助丸はリーンの状態を確認しようと近づいた。
「敵襲。右側から敵の攻撃だ。」
沢山の矢が助丸達を襲った。




