小国の悩み
咲田家の会議が始まっていた。
「今回の議題は、どこの国を支援するかを決めます。」
ツネ宰相が語った。
「また、手伝い戦ですか。」
キム大臣は寂しく答えた。
咲田家は、3つの大国に挟まれているリナール地方に、沢山の国が存在している小国の1つ。
大国の戦いが起こると、リナール地方の小国達は、どちらに加勢するか考えないといけない状況になる。ただ、その判断は慎重を重ねて行われる。
なぜなら、自分が加勢している国が負けた場合、自国が滅ぼされる恐れがあるからだ。
「仕方ないではないか。咲田家は小国なのだから、大国に従わないと生きていけない。」
ヤヌルー大臣は答えた。
「手伝い戦の要請は拒否すれば良い。それよりも領地を広げましょう。」
田中将軍が提案した。
「何を考えている。兵力差を考えよ。」
怒った声でヤヌルー大臣が答えた
「兵力差はこの私、田中の戦術で破ってみせます。」
「もうよさぬか。」
咲田家当主の咲田玄白が、幹部達にうんざりした表情になった。
「今は、2つの大国から要請に、どうするかが大事だ。」
「ならば、前回勝ったスズロ家に加勢するべきです。」
キム大臣は答えた。
「いや、前回勝ったからと言って、今回も勝つとは限らぬ。
紅家に恩を売っておくのも重要かと。」
ヤヌルー大臣は言った。
「ツネ宰相は、どう思う?」
今まで黙って聞いていたツネ宰相に、玄白が聞いた。
「どちらに付いてもよろしいです。我が国にお役目は、隣国の健情家を抑えるのが役になるからです。」
隣国の健情家は、代々、咲田家を最大の敵として見ている国で、
国力の差もほぼ同じくらいで頻繁に戦っている国である。
3代前の咲田家の当主が、健情家の当主の嫁を無理やり奪って、自分の嫁にしたのが原因とされている。
健情家の当主は、自分の無念を晴らして欲しいと代々子供たちに受つけられている。
よって、何か咲田家がしようとするといつも邪魔をしたりして、なかなか勢力拡大をする事が出来ない状態にある。
「やはり、今回も健情家と戦う事になるのか。ふぅ~。」
玄白はウンザリした表情になった。
「ではどちらが勝ちそうか?」
「兵力では紅家が11万に対して、スズロ家は8万の軍勢になります。
ただ、これくらいの差であれば将軍の力関係で逆転する事も可能です。」
「結局、解らないという事か。それではサイコロで決めよう。
1~3が出たら紅家に付く、4~6が出来たらスズロ家に付く。よいな。」
「殿。お待ちを。このような重要な決定をサイコロで決めるとはいかがのものかと。」
「どうせ。やる事は一緒だし、時間の無駄だ。
これは、当主で最終決断だ。」
当主の決断に不満そうな幹部達も良い打開策が無いので、しぶしぶ当主の決断方法に賛成した。
「では参る。」
サイコロを上に上げて、地面に落ちた。
コロコロと転がったサイコロはようやく止まった。
「今回の戦は紅家に協力する事が決まった。 戦の準備をせよ。」
「ハ!」
一同揃って頷いた。




