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【普通】な俺の『普通』じゃない異世界召喚  作者: 一 一 
4章 よい子の青空学級編
144/165

104話 異世界版『桃太郎』~ヘイトver.~


 この話は地の文がないため、ちょっと見にくいかもしれません。


 また、この話で展開される『桃太郎』は、複数ある『桃太郎』のバリエーションから適宜選択し、ヘイト君が独自のアレンジを加えているため、若干皆様が知る内容とは異なる可能性があります。


“むかぁ~し、むかしのぉ、ことぉじゃったぁ~”


「何だよその話し方?」


“俺の故郷の伝統的な語り口だよ。いいから黙って聞け”


「へいへい」


“ったく。


 ……ともかく、ある村の外れに一組のおじいさんとおばあさんが暮らしておったそうな~。おじいさんは山へ柴刈(しばか)りに、おばあさんは川へ洗濯に行ったそうな~”


「スゲェな! 山にも川にも魔物はいるはずなのに、そいつらひとりずつ別々に動いたのか!?」


“そこらは低級の魔物しかおらず、おじいさんもおばあさんも若い頃は鍛えてたしな。それにきちんと武装してたから、割と平気だったんだよ。

 ちなみに、柴刈りってのは薪拾(たきぎひろ)いのことな。続けるぞ、ショタ猫。


 おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ~、どんぶらこ~と、大きな桃が流れてきたそうな~。

 おばあさんはとても驚き、今日の晩ご飯にしようと体に《身体強化》を施して、川から桃を拾い上げたそうな~”


『おばあさんスゲェ(すごい)!』


“桃を(かつ)いで家に帰ったおばあさんは、後から帰ってきたおじいさんに解体を頼んだそうな~。

 すると、おじいさんもまた包丁に手のひらをかざして鋭く強力な魔力を注ぎ込み、たったの一振りで一口大の大きさに切り分けたそうな~”


『おじいさんもスゲェ(すごい)!?』


“おじいさんとおばあさんは仲良く食べ始めたところ、何とみるみるうちに若返り、おじいさんもおばあさんも成人近い若者になったんだそうな~”


『ももがいちばんスゲェ(すごい)!!』


“突然のことに戸惑った元おじいさんと元おばあさんじゃったが、お互いを見ている内に若かりし日の情熱を思い出し、心をときめかせたそうな~。

 その日から、元おじいさんとおばあさんは何日もお互いを求め合い、愛し合ったそうな~”


「ちょい待てコラ! チビたちに何てこと聞かせて――」


『あいしあうって?』


“今夜にでも親に聞いてみろ。うまくすれば実践付きで教えてくれるはずだ”


「誰が教えるかぁ!!」


“月日は流れ、二人の間には元気な男の子が生まれたそうな~。男の子はツヒコと名付けられ、元おじいさんと元おばあさんの愛情を受けてすくすくと育ったそうな~”


「どうでもいいが、じいさんばあさんの『元』は取れねぇのか?」


“細かいことはいいんだよ、にゃん()。どうせもうすぐ出番が終わる。


 しかし! ツヒコは『あの』元おじいさんや元おばあさんの子どもで、誰よりも身体能力と武芸の才に(ひい)でていたのにも関わらず、成人しても仕事もせずに毎日家でぐーたらと過ごしておったそうな~”


「『あの』ってのを強調しすぎだろ。確かに親からしたらろくでもねぇガキだが」


“そんなある日。用事で外出していた『あの』元おばあさんが、酷い大怪我をして帰ってきたそうな~”


『えぇっ!? 『あの』元おばあさんが!?』


「だから『あの』って前置きして強調すんの止めろよ!? 何か気になるだろ!!」


“慌てて元おじいさんが介抱(かいほう)し、話を聞くところによると、どうやら元おばあさんは帰り道にこの辺りを新しく縄張りにした『鬼』たちと遭遇し、襲撃を受けたそうな~。

『鬼』たちは縄張りの周囲にある村をことごとく襲い、私欲を()やすとっても悪くて強い存在じゃったそうな~。元おばあさんの実力がなければ、逃げることもできなかったと言われておるそうな~”


『……ごくっ!』


「いや、鬼はともかくどんな女だよ、それ? 一人で複数の魔物と渡り合ったってのか?」


“それが『あの』元おばあさんだからな。純粋人種とはいえ無手で周囲を囲まれた状態から、数体の『鬼』を殺して退路を確保し、追跡を振り切って帰ったそうだぞ”


「むしろそんだけやっといて、よく魔物から家まで逃げ延びたな……」


“それを知ったツヒコは、『鬼』たちへの怒りを覚え、討伐することを決意したそうな~”


『ツヒコが?』


「じいさんじゃねぇんだな」


“おいおい、この物語の主人公は『ツヒコ』だぞ? 当たり前だろうが。


 何はともあれ、元おじいさんはツヒコの決心を尊重し、昔使っていた武具を与え、旅の食料にと(きび)団子を渡したそうな~”


『きびだんごって?』


“故郷の一部地域で作られてたもんで、まあ保存食みてぇに思っとけ。


 意気揚々と家を出たツヒコは旅の途中、のたれ死んでいた犬人(けんじん)族のタケル(犬飼健命いぬかいたけるのみこと)に出逢ったそうな~。

 ツヒコが慌てて駆け寄り、持っていた(きび)団子を与えるとタケルは元気を取り戻し、ツヒコの仲間になると言って旅に加わったそうな~”


「……タケル、チョロすぎねぇか?」


“その後もツヒコは旅の道中、猿人(えんじん)族のモリヒコ(楽々森彦命(ささもりひこのみこと))と鳥人(ちょうじん)族のタマオミ(留玉臣命(とめたまおみのみこと))を同じような経緯で助け、なんやかんやで『鬼』の縄張り・鬼ヶ島へと向かったそうな~”


「獣人族の扱いが酷すぎんだろ! 三人中三人が餓死寸前で漏れなくアホってどうなってんだ!? それにいきなり話が適当にならなかったか、今!?」


“そういう話なんだから仕方ねぇだろ?


『鬼』たちと対峙(たいじ)したツヒコは武器を取り、勇敢(ゆうかん)に戦ったそうな~。

 時に『鬼』の攻撃を(かわ)し、時に(はじ)き、時に受け止め、『あの』元おばあさんを倒した『鬼』と互角に戦ったそうな~。

 もちろん、お(とも)となったタケル・モリヒコ・タマオミも死力を尽くしたそうな~。

 タケルは鋭い爪と牙で『鬼』を切り裂き、モリヒコは俊敏な動きで『鬼』の弱点を突き、タマオミは空中から常に距離をとって奇襲を仕掛け、『鬼』の数をどんどん減らしていったそうな~”


『がんばれツヒコたち!!』


“死闘は数時間にも(およ)び、最後に立っていたのはツヒコたち四人だけじゃったそうな~。

 周囲に積まれた『鬼』の死体を前に、ツヒコたちは互いの無事を喜び、健闘を(たた)え合ったそうな~”


『おぉ~!』


“そして、ツヒコたちは『鬼』たちのねぐらより、村人たちから奪ったという大量のお宝を持ち出し、すべて運び出してから家へ帰って、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし”


『わ~(パチパチ)!!』


「……ちょいちょい気になる部分はあったが、まあまあ面白かったんじゃねぇの?」


“そうだろう、そうだろう。俺の故郷ではガキの頃から聞かされてた物語だからな。で、どこが面白かった?”


「おじいさんとおばあさんがスゲェところ!」


“ツヒコは無視か、ショタ猫?”


「鬼とのたたかいがおもしろかったわ!」


“少なくとも女が食いつく部分じゃねぇな、ロリ兎”


「若返る力があるすごいももが、なんで川から流れてきたんだろう?」


“物語の都合上必要だったからに決まってんだろ、ショタ狐”


「おじいさんがおばあさんをやさしくかいほうしてたところ、とか」


“また渋いところに目ぇつけたな、ロリ熊”


「テメェの変な口調」


“物語関係ねぇじゃねぇか、にゃん()


「うるせぇ! じゃあテメェはこの物語の何が面白いっつうんだよ!?」


“俺? そうだな~、強いて言うなら……”


『しいていうなら?』


“親子同士で繰り広げられる凄絶(せいぜつ)かつ(みにく)い争いと、ツヒコたちがその後どうなったのか曖昧(あいまい)なところだな”


「は……?」


『……へ?』




 色々ツッコミどころは満載でしたが、仕様です。詳細は次回以降で明らかになります。


====================

名前:ヘイト(平渚)

LV:1(【固定】)

種族:イセア人(異世界人▼)

適正職業:なし

状態:健常(【普通】、【魔力減少・常】)


生命力:2004/2004(【固定】)

魔力:436/1812(【固定】)


筋力:176(【固定】)

耐久力:148(【固定】)

知力:183(【固定】)

俊敏:135(【固定】)

運:1(【固定】)


保有スキル(【固定】)

(【普通】)

(《限界超越LV10》《機構(ステータス)干渉LV2》《奇跡LV10》《明鏡止水LV3》《神術思考LV3》《世理完解(アカシックレコード)LV2》《魂蝕欺瞞(こんしょくぎまん)LV4》《神経支配LV5》《精神支配LV3》《永久機関LV4》《生体感知LV4》《同調LV5》)

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