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ex.4 幼なじみ


 新キャラ登場です。


 そちらへ振り向くと、四人の女子生徒が私へ不満げな表情を浮かべ、睨みつけていました。


「さっきのあれはどういうつもり!? 何で急に、この国に協力するなんて言い出したの!?」


 出会い頭に声を荒らげたのは清水(しみず)清美(きよみ)さん。私と同い年であり、委員会では美化委員長として活動していました。


 容姿はとても洗練された美しさを持ち、かなりの男嫌いで知られている綺麗系メガネ美人さんです。


 身長が女性にしては高めで、目線の位置は私よりも上にあります。スタイルはとてもスレンダーで、髪型は日本人らしい真っ黒なセミロング。


 よく癖で触っているメガネと相まって、全体的にとても真面目できっちりしている印象を人に与えます。


 その奥にある、昔から変わらない意志の強そうな切れ長の目は、より一層細められて私への非難を明確に示していました。


 視力矯正と目つきの印象緩和を狙って、小さい頃からオシャレで柔らかい印象のある黒縁メガネをかけていますが、ついぞ後者の効果が出たところを見たことがありません。


 それ以上に特徴的なのが、かなりの潔癖性であること。自分が安心できるものでないと触れない、と周囲に明言するくらいには重症です。


 なので清美さんはこの一年間ずっと、この世界へきた時と同じ制服と、雑菌予防が目的の(ひじ)まである真っ白な手袋をいまだに着用し続けています。


 清美さん(いわ)く「『殺菌』という概念すらない国が用意した物に触るなんてとんでもない!」ということらしいです。


 彼女自身の着衣は、召喚時に取得していたユニークスキル【浄化】を使い、毎日最低五回は綺麗にしているようです。


 そうした性格もあり、戦いは汚れるから嫌、とのことで厭戦(えんせん)派に属しています。


「そうだよ~。あの人たちに協力するなんて~、この前は言ってなかったじゃない~?」


 次に間延びした話し方が特徴的な彼女は春日(かすが)暖子(のんこ)さん。


 菊澤さんほどではありませんが細身で小柄な体と、ともすれば長姫先生よりも豊満な凶器(むね)(あわ)せ持つ、口調と同様とてものんびりした一つ下の女の子です。


 見た目もいつもニコニコしていて、笑うとほっぺに出来るえくぼや、天然のゆるふわパーマがきいた茶色の長髪、それとかわいい()れ目がチャームポイントです。


 加えて、お気に入りだというデフォルメされたウサギのぬいぐるみをいつも胸元に抱いており、体部分が胸に埋まって谷間から顔だけ出ているのもインパクトがありますね。


 見た目や雰囲気がフワフワしていることが原因で、実年齢よりも幼く見られ、初対面では必ず高校生に扱われません。


 それが一因としてあるのか、暖子さんは異常なほど女児性愛者(ロリコン)を引きつける体質? をしています。


 何でも登下校中によく鼻息の荒い男性に声をかけられ、お菓子を餌に車の中に引きずり込まれそうになるんだとか。


 友人としてはとても心配で、本人によると直接的な被害は現在に至るまで受けたことはない、と申告していましたが、気が気ではありません。


 学校では文化祭実行委員長として委員会に参加し、短い期間でも大勢の人と交流を持っていました。


 争いごとをとても嫌っている性格もあってか、【融和】というユニークスキルを保有し、色んな人に使用して良好な人間関係を構築しているようです。


 そして清美さんと同じく、厭戦(えんせん)派の筆頭でもあります。


「オレも納得できねぇぞ、花蓮! いったいどういう了見(りょうけん)であんなふざけた連中の言いなりになるってんだ、あぁ!?」


 三人目の男の子っぽいしゃべり方をしたのが天満(てんま)荒井(ゆうき)さん。


 明るい金色に染めた短髪と、しっかりめに日焼けした肌が目を引く、とてもボーイッシュな同級生の女の子です。


 昔から男の子と中心に遊び回るほど男勝りで、小学生の頃からガキ大将みたいな存在でした。


 高校では男子たちを屈服させたエネルギーを陸上部の活動に注ぎ、同世代からは俊足のスプリンターとして有名になっていましたね。


 勝ち気で男の子っぽい印象が強い荒井(ゆうき)さんですが、決して女の子に見えないわけではありません。


 陸上で鍛えた肉体はとても女性らしく引き締まっており、女性が憧れる格好いい女の子と言えます。そのせいか、ずっと女の子にばかり告白されていて、困り果てた姿をよく見てきました。


 そんな彼女もまた、清美さんより険の鋭い眼光を私に浴びせ、腕組みをして仁王立ちをしています。


 ともすれば不良と間違えられる見た目で、委員会では風紀委員長をしていたのですから、人は見た目によりません。


「オレが風紀やってりゃ、見た目を誰かにうるさく言われねぇだろ?」と、理由は酷いものでしたが。


 そんな発言からもわかるように、子どもの頃からずっと他人から指図を受けるのを非常に嫌い、イガルト王国に従うことにも強く反発していて、反イガルト王国派を表明していました。


 荒井(ゆうき)さんも【破戒】というユニークスキルの持ち主で、髪の色はそのスキルで染めたそうです。


「ウチもぶっちゃけ、ないわ~って思ったんだけど。面白い話はテストの凡ミスから教師の不倫まで幅広く好物だけどさ、言動が二転三転するハナっちは政治家みたいで、正直ワケわかんないだけで笑えないよね。そこんとこ、どうなの?」


 最後に、首から私物のカメラをぶら下げているのが広田(ひろた)智恵(ともえ)さん。


 地毛で明るい茶色をしたショートヘアーと、くりくりとした大きな目が魅力的な、一つ年下の活発な女の子です。


『ハナっち』とは私のことで、昔から他人のことをあだ名で呼ぶ癖があります。


 とにかくおしゃべりが大好きで、特に他人のゴシップネタを嬉々(きき)として収集する悪癖があります。


 実際、中学生の頃に担任だった男性教師の不倫現場を激写し、翌日には現像した写真片手に私たちとのおしゃべりのネタにしていました。


 今のところ、他人の秘密を悪用した脅迫などはしていないようですが、智恵さんの行動力と情報収集能力はいつも舌を巻いています。


『彼』が少ない情報から真実を導く探偵ならば、智恵さんは地道な捜査で真実を暴く刑事ですね。その関係からか、地元の中年女性と深い人間関係を築き、よく噂話に花を咲かせていたようです。


 委員会では一年生から広報委員長をしていて、定期的に発行する学校新聞の制作を手がけていました。


 とにかく情報の正確性を重視するこだわりがあり、すぐにイガルト王国から受けた教育に違和感を覚え、反イガルト王国派の意見に傾いたのだとか。


 そんな智恵さんもユニークスキル【報道】の持ち主で、私、清美さん、暖子(のんこ)さん、荒井(ゆうき)さんを見かけると、定期的に脳へ直接情報を伝えてきていました。


 内容は、どこそこの貴族が小石に思いっきりつまづいたとか、あそこにいるメイドが『異世界人(ウチら)』の食事をつまみ食いしていたとか、話のネタ程度の情報ばかりでしたが。


 彼女たちは全員、私がもっとも信頼を寄せる友人であり、【勇者】の力で守ると決めた人たちです。


 同時に、セラさんたち以外でイガルト王国への不信感を共有できた希少な『異世界人』でもあり、家が近所の幼なじみという関係でした。


 ですから、ずっと彼女たちには隠し事などはしてきませんでしたし、これからもする気はありません。


 だからこそ、私が国王陛下とのやり取りで口にした台詞が、以前彼女たちに吐露(とろ)したイガルト王国への疑惑と矛盾し、嘘を()かれた、と思われてしまったのでしょう。


「それに関しては、申し訳なく思います。ただ、あの場ではイガルト王国に従う『フリ』をした方が、私たちにとって都合がよかったんです。

 決して、清美さんたちを(ないがし)ろにしたかったわけでも、()け者にしたかったわけでもありません。私の判断で、『事前には』話さなかっただけです」


 ですから、私は特に隠し立てすることなく、清美さんたちにあれがただの演技であったことを明かしました。


「……納得のいく説明は、してくれるんでしょうね?」


「演技だったんだ~?」


「下手な言い訳じゃ、オレは納得しねぇぞ花蓮!」


「ウチもユキっちに賛成。今は抑えてるけどさ、事と次第によっちゃ、ウチらの友情に亀裂が走るかもしんないくらいには、ショック受けてるんだよね。

 よりによって、ハナっちに隠し事されるなんて、ウチら全員夢にも思ってなかったんだからね?」


 清美さん、暖子さん、荒井(ゆうき)さん、智恵さんが順番に私へ責めるような言葉を浴びせてきますが、これから説明するこちらの事情も理解してほしいものです。


 あ、『ユキっち』とは荒井(ゆうき)さんのことですよ、念のため。


 やることを終えた今に至っては、すべてを話しても問題ありません。


 それに、イガルト王国やその他の『異世界人』のために彼女たちと絶縁するなど、馬鹿馬鹿しいにも程があります。


 誤解を解くためにも、しっかりと説明責任を果たしましょう。


 一度、セラさんと長姫(おさひめ)先生と菊澤(きくさわ)さんへアイコンタクトを送り、私たちの作戦を話すことを伝えます。


 すると、セラさんは肩を(すく)め、長姫先生は小さく頷き、菊澤さんは不思議そうに目をパチクリさせて小首を傾げましたきゃわいい。


 今すぐ菊澤さんをハグして頬ずりしたい誘惑を断腸の思いで断ち切り、心の中で血涙を流しながら視線を清美さんたちに戻します。


 皆さんの反応から許可を得たと解釈し、私は幼なじみたちへ口を開きました。




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名前:水川(みなかわ)花蓮(かれん)

LV:35

種族:異世界人

適正職業:勇者

状態:健常


生命力:8400/8400

魔力:7900/7900


筋力:730

耐久力:680

知力:710

俊敏:820

運:100


保有スキル

【勇者LV3】

異界武神ことはざまいくさのかみLV1》《万象魔神よろずかたつかさのかみLV1》《イガルト流剣術LV10》《生体感知LV8》《未来把握LV5》《刹那思考LV5》

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