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10話 スキル調査その1


 注意。

 途中、お食事中の方にはオススメできない描写があります。

 前回同様、ラスト付近のわちゃわちゃ、っとしたところがそうです。

 不快に思われるのであれば、その部分を読まないか、『冷徹』を使ってください。


====================

名前:平渚

LV:1【固定】

種族:日本人▼

適正職業:なし

状態:【普通】▼


生命力:1/1【固定】

魔力:0/0【固定】


筋力:1【固定】

耐久力:1【固定】

知力:1【固定】

俊敏:1【固定】

運:1【固定】


保有スキル【固定】

【普通】

『冷徹LV1』『高速思考LV1』『並列思考LV1』『解析LV1』『詐術LV1』『不屈LV1』『未来予知LV1』『激昂LV2』『恐慌LV5』

====================


 ……うん。今朝確認した時と、ステータスは変わんねぇな。


 それもこれも【普通】のせいだぞ、こんちくしょうが。


 愚痴(ぐち)は置いといて、先に気になってた部分について調べてみることにする。


「状態の【普通】の横に、(へんなきごう)がついてる、よな?」


 一応、種族の横にもついてるが、とりあえず昨日から変化があったということでそっちに着目する。


 そもそも、(これ)ってなんだ?


【固定】と同じような状態異常の(たぐい)なのか?


 この世界特有の特殊な読み方があって、何かしらの意味があるのか?


 ……わからん。


 そもそも、このステータスの記述は頭の中に浮かんでいるだけで、(じか)に触ったりいじったりすることができねぇ。


 スマホかなんかと同じように、タップすれば表示と解説が出るくらい(やさ)しい操作性だったら楽なんだが。


「……やってみるか?」


 はたと思いつき、俺は現在使えるスキルの一つ『解析』の力でステータスに干渉できるか、試してみることにする。


 具体的にスキルを使う感覚、ってのがわかんねぇから、思いつく限りの手法で探っていこう。


 何もしないよりはマシだ。


「う~~~~~っ……」


 だが、だいぶ長い時間(うな)ってみても、俺の頭に表示されるステータスに変化はなかった。


 そもそもいじれないのか、『解析』のレベルが『1』だからなのか、そこまではわかんねぇ。


 とりあえず、現時点では(これ)の謎は解けねぇ、ってことだけは確定した。これ以上の進展はなさそうだし、ひとまず後回しでいいだろう。


「じゃ、次は他のスキルだな」


【普通】とステータスの検証は難しいと判断し、今度は【普通】以外のスキルについて着目してみる。


 俺が一度【普通】を切ったことで手に入れた、複数のスキル。


 今まで放置していたが、改めてどんな効果があるのか検証してみねぇとな。


「とはいうものの……どうやりゃいいんだ?」


 俺は目を閉じたままステータスを(にら)みつけ、首を(かし)げる。


 まだステータスをいじれねぇってのは、さっきの実験でわかった。


 あとは『解析』さんの仕事がどこまでできるかに期待するしかねぇんだろうが、どうやりゃ発動するのかいまいちわかんねぇ。


 ステータスを確認する場合は、『俺自身のステータスを見る』という意識を働かせた上で、俺の体を見下ろせば頭に浮かんだ。


 じゃあ、それと同じ要領でやれば、『解析』は起動する、ってことなんだろうか?


「『解析』」


 とりあえず、わかりやすいのは口に出してみること。自分への暗示にもなり、スキルを使う、って意識を強く持つことができる。


 で、やってみた結果、できた。


====================

【普通】

 何もかもを【普通】にする。

====================


 ――説明少なっ!!??


 え、マジでこの情報量しかねぇのか?


 だったら新たにスキルを取得する度に、性能調査をかなりの時間を割いてやる必要性が出てくるぞ?


 おいおい、勘弁してくれよ『解析』さんよ~? もうちっと仕事してくんなきゃ、俺死んじゃうぞ?


 なんて挑発してみたところで、答えが返ってくるはずもなく。


 少なくとも、スキルの説明を知ることができる、って気づけたんだ。よしとしよう。


 ため息をついてから、『解析』さんの練習もかねて他のスキルについての説明を見ていく。


====================

『冷徹』

 どんな状況でも冷徹になれる。

====================


====================

『高速思考』

 思考時間が短縮される。

====================


====================

『並列思考』

 思考領域が分割される。

====================


====================

『解析』

 認識した対象の詳細を把握する。

====================


====================

『詐術』

 知能ある種族を騙す行動に補正がかかる。

====================


====================

『不屈』

 精神力に補正がかかる。

====================


====================

『未来予知』

 近い未来を予測する。

====================


====================

『激昂』

 どんな状況でも激昂する。

====================


====================

『恐慌』

 どんな状況でも恐慌に陥る。

====================


 説明を見るに、『解析』のレベルを上げれば、説明の分量が増える希望はあるな。


 レベルを上げる条件は、普通に考えれば経験値か熟練度だよな? だったら、使いまくってればレベルが上がる、ってこった。


 他のスキルについては……わかったようなわからんような、微妙な結果だったな。


『冷徹』、『激昂』、『恐慌』は、説明文を見る限りだと同系統のスキルと見てよさそうだ。


 が、『冷徹』はまだしも、『激昂』と『恐慌』なんて、使ったところでメリットがあんのか?


『激昂』は理性が飛んでまともな思考ができなくなりそうだし、『恐慌』なんてそれ以上だろ? 俺が不利になるだけじゃねぇか。


『高速思考』と『並列思考』は予想の範囲内だったが、説明が簡潔すぎて何がどこまでできんのかが不明。


 特に『並列思考』は思考領域の『分割』であって、『増量』じゃねぇ。元々あった思考容量を小分けにするだけだから、過信すると痛い目を見そうだ。


 基本性能以外の力を調べるのは、『解析』さんの成長待ちだな。


『詐術』は――補正なのか?


 スキル名からして、強制的に(だま)されてくれるもんを予想していたが、当てが外れたな。


 その補正がレベルによってどれほど上乗せされるのかは、後々調べる必要アリ、っと。


『不屈』も補正か。


 しかも、精神力の補正って、思ってたもんとは違うな。精神力……つまり、物事に動じない力、ってことか?


 これも『冷徹』とかと同じで、理性や感情系に由来するスキル、って理解しとこう。


『未来予知』も、あくまで『予測』ね。


 俺が得た情報から、数多く派生する可能性を模索し、限りなく現実になるだろう未来を読む力。


 これはかなり役に立ちそうだが、近接戦闘になれば俺の身体能力のカスさを考えて、小説やマンガみたいに見切りをする、何てことは無理。


 過信するのは禁物だな。


 ――うん、ざっとこんなもんか。


【普通】のせいでスキルに対する印象は悪かったが、案外使えそうな内容もあって安心した。


 ただし、ネックが【普通】であることは変わらず、っと。


 説明が、『何もかもを【普通】にする』、ってだけだもんな。具体的に【普通】がどんな状態なのかを説明してくんなきゃ、打開策がねぇ。


 まあ、こいつだけは俺が召喚されたときからあったスキルだ。


 じっくり検証して、問題点をあぶり出して、きっちりとつき合っていかねぇとな。


「…………はぁ」


 よ~し、そろそろ覚悟を決めようか。


 いや、今までの作業も必要っちゃ必要だったんだが、実は今からやることが嫌だったから逃げてただけだったりする。


 俺がすること……それは【普通】の解除だ。


【普通】が『変化をなくす』タイプのスキルである以上、検証と問題のあぶり出しにはやっぱスキルの使用前後を何度も確認し、変化を見極めることが必要だ。


 が、俺は昨日、たった一度の検証で『ああ』なったんだ……抵抗あるに決まってんじゃねぇか。


「ええい、ままよ!」


 とはいえ、ずっとウジウジしてても始まんねぇ。


 昨日は発狂したが、結果的に死にはしなかった。


 なら、次に解除しても最悪死にはしない――はずだ。


 ……死なないよな?


 …………死んだらどうしよう。


 ――ええい! 男は度胸!


 やってやらぁ!!


「【普通】……っ、解除!」


 そして、俺はニ度目の【普通】解除に踏み切って――


「っ!? うっぷっ!?!?」


 ――直後、俺は牢屋内のクソ穴に直行した!


「うえええええ「経験値が一定値を超えました。『冷徹』がLV2になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『高速思考』がLV2になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『並列思考』がLV3になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『解析』がLV2になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『詐術』がLV2になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『不屈』がLV3になります」えええええ「経験値が一定値を超えました。『未来予知』がLV2になります」ええ!!!!! げほっ、ごほっ!!!!! おえええええ「経験値が一定値を超えました。『激昂』がLV4になります」えええええ「条件が満たされました。スキル『完全記憶LV1』を取得します」えええええ「条件が満たされました。スキル『究理LV1』を取得します」えええええ「条件が満たされました。スキル『限界突破LV1』を取得します」えええええ!!!!!!!!!! うげぇ!!!!! ごほっ、ごほっ、げほぉっ!!!!! うぼえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」


 朝に食った生ゴミの味が、臭いが、今になって鮮烈によみがえる!!


 訓練で無理をした肉体疲労が、今になって一気に襲いかかる!!


 顔を合わせた人間全員の嫌悪と憎悪の目が、今になって思い出される!!


 一日に降りかかったストレスが鉄砲水のようにあふれ出し、濁流となって俺を飲み込んでいく。


 吐いた。


 吐いて吐いて、吐きまくった。


 吐くことでしか、身体と精神(こころ)を内側から破裂(パンク)させようとする重圧(ストレス)に耐え切れなかった。


 受け止めたそのままを洗い流すように。


 誰にも届かない俺の慟哭(どうこく)とともに。


 独りの苦しさと悲しさと弱音をまとめて追い出すように。


 涙で顔を崩し、口元をゲロで汚し、胃の中が空っぽになっても吐き続けた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はっ……」


 そして。


 全身から水分が抜けきった状態のまま、俺は。


 昨日と同じく、意識を失った。




====================

名前:平渚

LV:1

種族:日本人▼

適正職業:なし

状態:空腹・ストレス過多・混乱・憔悴


生命力:1/1

魔力:0/0


筋力:1

耐久力:1

知力:1

俊敏:1

運:1


保有スキル

【普通(OFF)】

『冷徹LV2』『高速思考LV2』『並列思考LV3』『解析LV2』『詐術LV2』『不屈LV3』『未来予知LV2』『激昂LV4』『恐慌LV5』『完全記憶LV1』『究理LV1』『限界突破LV1』

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