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sence02

そして、翔一が来てほしくない日が来てしまった。今日は翔一と愛と優と美咲。そして唯が美咲の家に泊まる日だ。が…

PM1:07

「翔ちゃん!!今日は私唯ちゃんの事迎えに行かなきゃだから先に行くね?ちゃんと来なきゃダメだからね」

と、愛は言うが…

「……スー……」

翔一は堕眠をむさぼっていた。


PM3:10

「ぬ…今…何時だ?……ん?あー。あっー!!」翔一は跳び起き前日に一応準備した荷物を掴み玄関を出た。が、ここで問題が発生した。


「俺…美咲ん家わからないじゃん……」


仕方なく家に戻りメモから愛の携帯電話の番号を探し出し電話をかけた。


PM3:15分着信〜翔ちゃんの家〜

「もしもし?今何してたの?もう集合時間とっくに過ぎて…」

「家はどこだ!?俺はわからないぞ?」

「あっ…アハハハハハ…ハハハ…」

「マジか?」

その時後ろから貸してと言う声が聞こえ声の大きさが変わり翔一は顔をしかめた。

「あんたんちの裏をずっと奥に行った所よ!!わからないの?」

この時翔一は愛の最後のハハハ……の意味を理解した。なんでわからないの?の苦笑だったのだ。「そ、そんな近かったか?」


「約一キロね。わかったら早く来てねダ〜リン」

「わぁった。わかったからダ〜リンはよしてくれ。じゃっ」


PM3:18分再出発



「い、一キロってこんな長かったか?」

かれこれ十分近くそれなりに急いで走っている翔一だが目的地である豪邸と思わしき家はまったく見えてこない。「飯田……飯田って…ここらへん飯田っていう名前結構多いぞ…はぁ…」


翔一がトボトボ歩いていると前から同じ様にトボドボと歩いている人物を見つけた。翔一はこれ以上遅れたら何を言われるかわからないと、思い切ってその人物に話し掛ける事にした。


が、近付く程に見慣れた背丈と体格、そして顔が見えた。その時トボドボ歩いていた人物も翔一に近付いてきた。


「「おう。美咲(ちゃん)の家知ってるか?」」


「「…………」」


「はぁ…」

「優も…か?」

「オレとしたことが…道に迷うとは…」

「俺もこんな近所で…」

この時翔一は優が大荷物を抱えていることに気付いた。

「まぁオレ達で探せば…」

「いや。優…その荷物は?」

「お楽しみに決まってるだろ!」

と、ニヤニヤしながら言った。

「だからまぁオレ達で探せばなんとかなるだろ?」

「優は携帯電話持ってなかったか?」

「あぁ。持ってるぜ」

「美咲か愛の電話番号は?」

「……おぉ!」

その手があったと優はポンと手を叩き電話をかけた。

PM3:58分着信〜優君

「もしもし愛ちゃん?」

「優君?今どこにいるの?」「うーん…近所なのは確かなんだと思うけど美咲ちゃんの家の近くって飯田っていう名前多い?」


「え?あぁ…えーと…えぇ。結構多いと思うわよ。でも家大きいからすぐわかると思う」

その時やることの無い翔一は大きな塀に背中を預けていた。

「わかった。まぁすぐに見付ける…はずだから待っててね」

「はーい。また後でね」


「……で?あの鈍ちん男達は?」

「近くにいるみたいだけど…飯田っていう名前が多すぎてわからないって…」

「まったく…バカね…」


PM4:00


「で?愛はなんだって?」

「ここら辺で間違いないとさ」

「よっこいしょっと。じゃあいっちょ探してみますか!」

「OK!!」



PM4:15分


「無いな…」


「ああ…この塀にそってとりあえず歩いてみたのにな…ってかまだこの塀半周もしてねぇしよ…」


「どんなデカイ家なんだよ…なぁ優…まさか…な?」

「そのまさかだったり…しないよな?」


「「ハハハ…ハハハハハハハ…」」

「行くぞ翔!!」

「言われなくとも」


この日端正な住宅街に物凄い勢いで走る高校生ぐらいの男子二人がいたというのが近所のオバサマ方の井戸端会議で話題になったという……


PM4:40分


「フゥ……ここが……正面玄関か?」


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

「えーい優!!ここが正面玄関かと聞いているんだ!」

「はぁはぁはぁ…多分…」

翔一はまだ大丈夫だがたいそう大きな荷物を背負い走った優はとても苦しい。たとえ体育の授業で凄い活躍をしていたとしても…あたり前である。


ついたと確信した所で翔一がインターホンを押しその大きな和風の…大きすぎる和風の門を開けた。すると中の様子が明らかにり、二人が感嘆の声をあげる。


「これは…ヤバいな…」

「なぁ翔…市長ってこんな金持ちか?普通…」

「さぁ?……知らないなぁ」

そんな疑問を考えつつも足を前に進める二人。


だがどこからか犬の鳴き声。と、言うよりも遠吠え。しかも一匹や二匹ではない。凄い数だと予想される。その時優に電話がかかってきた。


PM4:43分着信〜美咲ちゃん〜


「もしもし美咲ちゃん?どうしたの?」

「いやぁね?今番犬が遠吠えしたでしょ?アレらは多分翔一君とその他一名を捕獲って言うか…捕まえに行くのよ。だから気を付けてね〜。じゃっ!!」

そういうと電話は一方的に切られてしまった。

「なんだって?」

「オレはその他一名か……」

「はっ?何言ってんだよ?」

「とりあえず家まで急がないとワンちゃんに食べられちゃうぞ。だって」

「それって不味いよな…」

青ざめた顔になり始めた二人は一目散に駆け出したが、家はかなり遠い。ましてや犬が大量にやってくると言うのを聞くと更に遠く見えてくる。


「やばい…疲れた…」

しばらく走ると急に優のスピードが落ちた。

それにすぐに気付き翔一が声をかける。

「優カバン貸せ!!」

「なるべく振らない…様に頼む…」

こんな時でも中身の事を忘れない男、優。

「こんな時もかよ……ってお前渡した途端に速くなるって…」

その通りにグングンとスピードをあげていく優。そして頭だけ軽く後ろを向き笑い始めた。

「ナハハハハハハハ!バカなヤツめ!犬に食われてしまえ!」

と、言った所で急に優は足を止めた。そしてそれに気付き翔一も足を進めずに駆け足の状態になった。「どうした?優?速く行かないと食われるぞ」

「はぁ…犬…いない。騙された…」

「はぁ?」

この時翔一も足を止め後ろを向く。確かに犬は居ない。しかし鳴き声はする。

「防犯装置ってやつか?」

「美咲ちゃんにやられたな…」

「確かにな…」

普段ならば怒りそうな翔一も時間に遅れてしまった自分が悪いと心の中で納得した。



PM4:56分「翔一君達まだ来ないのかなぁ?良い加減着いてもおかしくないのに…」

「た、多分防犯装置にびっくりして帰っちゃった…とか?」

「うーん…翔一君ならまだしも優君なら有り得る…」

と、真剣に悩む美咲を見て苦笑した愛だったが、

「男が居ないから聞くけどさぁ…愛ちゃんって…翔一君のこと…好きなんだよね?」

この美咲の一言で愛の顔が一気に変わった。

もちろん真っ赤に。

「ま、まさかね!ほらっ。小さい頃からの仲だし、…翔ちゃんだってそんなこと思ってないよ」

そこで今まで椅子に座りジッとしていた唯の体がビクッっと動いた。


しかしそれに気付かず二人は話続ける。

「だって愛ちゃんさ。私といるときも絶対翔一君の事話すんだもん。それにその顔。絶対想ってる」


「そ、そんなこと…」


「じゃあさ…アタシが翔一君の彼女になっても…良い?」


「…………」


「私がなる!!」

二人はビクリと体を起こし唯を見た。

長い髪の毛が軽く波打っていた。


「じゃあ…唯ちゃん!!アタシと勝負ね!アタシが勝つか。唯ちゃんが勝つか。愛ちゃん。ちゃんと見ててね!」

「う、うん……」

実は唯が翔一を想っているなどとは全然知らずに愛はびっくりしていた。

「今日どれだけ翔一君に近付けるか…美咲ちゃんには負けない!」

「ほお。言ってくれるわね。」



ここでガチャリと扉が開き、見知った顔が二つ出てきた。

「オ〜ッス。遅れて悪いね!って…美咲ちゃんと…アナタが唯ちゃん?もしかして喧嘩?どうしたの?愛ちゃん?」

「ちょ、ちょっと…」

と、顔を下に向けた。

美咲と唯も顔を赤く染めて、椅子に座った。

「おい。優…お前体でかいんだからさっさと退けよ!」

「おっ。悪い悪い」


「お〜暖かいなぁ…って…」

そして唯の存在に気付き、近付いてうつ向いている顔をのぞき込み、愛に質問した。

「この娘が唯って娘?」

愛は顔が赤いのが恥ずかしいのかうつ向きながら首を縦に降った。

「そっか。初めまして?それとも会った事あったかな?」

と手を差し出す翔一。それに合わせて唯も手を差し出し顔を上げた。

身長は愛が一番小さく、一番大きい…と言うよりも標準ぐらいなのが美咲。

そして唯が愛よりほんの少し小さいぐらいだと翔一は感じた。目は二重(ふたえ)でくっきりしていて整った顔立ち。何よりも黒い髪の毛が大和撫子の雰囲気を出している。

「私…貴方と同じ組でした…」


「あっ…ご、ごめん…」

と翔一は顔をしたに向けた。

「私、大宮唯と申します。よろしくお願いします」翔一は急に深ぶかと頭を下げられ戸惑いつつも、

「あ、あぁ。こちらこそよろしく」

と笑顔で返した。

ここで優が今まで自己紹介をすることを忘れていたのか唯に自己紹介をした。

「お、オレは、優だ。」翔一は急に深ぶかと頭を下げられ戸惑いつつも、

「あ、あぁ。こちらこそよろしく」

と笑顔で返した。

ここで優が今まで自己紹介をすることを忘れていたのか唯に自己紹介をした。

「お、オレは、優だ。楠木優。よろしくね。唯ちゃん。」

「はい。」

と唯に笑顔で返されニヤけていた。が…

「何に男共はニヤニヤしてるのかしら?」

「ちょ…美咲ちゃん…」

危ない美咲を愛はとめようとしたのだが、暴走モードの美咲は止まらない。

「美咲!!俺はニヤけてなんか…」

「うーん…まぁ翔一君は許してあげる。でも…」

と、優を美咲が睨みつける。

優はまるで蛇に睨まれた蛙の様にピクリとも動かなくなった。

「お、お待ちください美咲様…オレ…ワタクシはニヤけて等おりません。」

「ふっ。そのような戯れ事を…見苦しい!!腹を斬れ!!」

「お許しを〜…」

と優が美咲に土下座をしたのを見て唯は目を白黒させている。翔一と愛は苦笑しながら目で合図をする。

「そろそろ美咲を止めろよ愛。」

「だね。」

昔から一緒に遊んでいた。幼馴染みだけに出来る技である。「はい。美咲ちゃん。そろそろ可愛そうだから優君のこと許してあげて?」

「う、愛ちゃんが言うなら…」

愛の一言により美咲の優イジリはここに終局を迎えた。しかしここで新たな問題が生まれる。


「じゃあ晩御飯は…」

との翔一の一言からである。


「「(アタシ)が作る!!」」

美咲と唯が新たな火種を…いや、むしろ翔一が火種を撒いた。

「あー。じゃあさ…女の子で作って男は部屋の掃除。これでどう?」

争いが起きては困ると優が口を開いた。

しかし…


「ご飯の前に掃除をしたらホコリが舞うからダメ」

と、愛が言い、男の子はじっとしてて。と続け、その凄い女の子の勢いに

「「はい」」

としか言えなくなった男子両名。




一色即発かと思われたが何事もなく始まった料理。

その料理中に男子の密談が始まった。

「なんか…美咲ちゃんと唯ちゃんの間…天気悪くないか?」

「確かに…」

優の一言におおいに頷く翔一。この二人はあの二人の戦いを知らない。

しかし美咲と唯が争いを起こしている事は晩御飯後に翔一以外が知っているというものに変わる。

その理由は晩御飯中に…


「はい。翔一君。これアタシが作ったの!食べて?美味しいから」

「いえいえ。翔一君。これは私が作ったのよ。食べてくださる?美咲さんのより美味しいですわ」

と、明らかに美咲と唯が翔一に作った物を食べさせようとしていたからである。

苦笑を浮かべながらも翔一は二人の作った物に箸をつける。

しかしどちらも何を作ったのかわからない。

美咲の皿の方は黒い灰の塊で、唯の皿の方はお湯の中に肉が沈んでいるだけだ。

その黒い塊を食べた直後に翔一は水を飲み、お湯を一口飲んだ後に愛の作った味噌汁を飲んだ。

「「どう(ですか)?」」

二人の質問攻めにあった翔一は

「自分一人では良い答えが出ない」

と、優にも食べさせるよう勧めた。そして案の定…

「「さぁ優君。さぁさぁ。」」

何故かこういう時にそろう二人の言葉に圧されて箸をつけ、水を飲み、味噌汁を飲んだ。

そして二人の厳選結果が出揃い、翔一が口を開いた。

「えーと、二人とも?…その…うん。愛から料理を教えて貰おう」


その後日愛は二人から質問攻めにあっていたらしい…

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