毒料理
ドンドン!ドンドン!
「おい!どうした!射太子!開けろ!」
何があったか分からない俺は、かなり強めにドアを叩いていた。
ガチャ。
ドアがゆっくり開いた。
「とりあえず入れよ・・・」
家に入ると、キッチンに連れてかれた。まともな対応だった。助けてくれの一言だけだから心配したじゃないか。
(何があるんだ?)
キッチンに行くと、真下が料理を作って……料理?料理とは思えない物が目の前にあった……
怒らしたら、リ○ーンのポ○ズンクッ○ングみたいに投げてきそうだ……と思っている内に、料理が完成?したようだ。
「食べて!スゴく美味しく出来たから!」
見た目の汚さを気にせず自信満々に食べさせようとする真下であった。
「う、旨そう、だな……だから、ソラが先に食べろよ!お客様ですし」
「イヤイヤ、お前はいとこなんだから先に食べろよ……」
「ソラから!」
「射太子から!」
「ソラから!!」
「射太子から!!」
二人で、食べるのを遠慮?していると、あきれた顔でこっちを見る真下がいた。
「あ~あ!めんどくさい二人で一緒に食べたら?(怒)」
ついにキレた真下であった。
「ま、真下…・・・さん?味見しましたか?」
と、少し動揺したのか敬語で質問する俺。
「そ、そうだよな!作った人が始めに味見したほうがいいよな!」
こちらも俺ほどではないが、動揺する射太子。
「食べたよ!美味しいよ!早く食べてよ!」
真下にキレられた!ので、もう食べるしか選択肢はなかった……その時だった……
ピーンポーン♪
玄関のチャイムが鳴った。救いの神が現れたと思った。
俺達は玄関に走り、ドアを開けた!
「オッス!平子場ただいま参上!……少しオーバーだったか?」
(平子場だ!こいつなら、あの料理を食べそうだ!)
「「早く上がれよ」」
二人とも考える事は同じのようだった(笑)
早速キッチンに連れて行き、有無を言わせず、食べさせることにした。
許せ平子場よ……骨は拾ってやるからな。―――いや、骨が残るのかあれ。
「「ど、どうだ?味は?」」
俺達が聞いている内に平子場は泣き出した!?
「う、ウマイ!こんなウマイの初めて食べたぜ!」
う……ウソ……だろ?
(見た目が黒い虫みたいな物のどこにウマさがあるんだ!?)
そう思っていると、気付かない内に俺は箸を持ち、真下の料理に手を伸ばしていた。
お、おい!?本気か俺!?本気なのか!?
(ここまで来たら仕方ない!食べるしか選択肢は無い!)
「えーーーい!儘よ」
パクっ!
「う……う……う……ウマイ!ウマイぞこれ!あとは、見た目が良ければ……」
俺の率直で逝かんとも死難い感想を聞いた射太子が
「そんな……そんな見た目がかなり悪い物がウマイわけ無いだろ!お前ら……舌おかしいのか?そうか!それで舌の味覚が死んだか」
なんて言ったものだから、
「ソラも平子場君も口いっぱいに入れて食べてるのに!射太子のその言い方なに!食べもせず、人の料理に文句ばっかり言って、いとこだろうと関係ない!射太子、最低!死んでしまえば良いのに!」
マジギレしている。
止める術は無い……包丁を振り上げて今にも刺しかかるであろうオーラてきなものが見えた……見えてしまった!
ああぁこれは逝ってしまったな、頭の中で射太子死亡フラグがたったと思った。
あの目は幾度も戦場を掻い潜ってきた目だ!と素人の俺が適当に思っていると、平子場が徐に立ち上がり、真下の料理を無理やり射太子に食べさせた。
「食え!食えばわかる!」
「ウマイ……な」
「射太子やっとわかった?味は!最高なの!」
何故だろう。「味は」の部分が強調されていたきがする。
三人が話をしている時、俺は一人黙々と食べていた。
「お前は……なぜ……親友のピンチに暢気に飯を食えるんだ!?」
射太子君がキレてやがります。いや知らないよ。俺食ってるし。ウマイって言ったし。
「別にウマイんだからいいだろ!そんなことより、ピンチなんて言ったらまた真下にキレられるぞ!」
このままでは命がもたないと思った俺はとっさに話をずらした……ずらしたけども、やはり真下に聞こえていて、関係ない俺まで怒られてしまった!
なにこの拷問……いや、ウマイもの食えたんだから良いじゃないか!そうだこれぐらい……。―――でも、欲を言えば、もう少し料理の見た目がよければな……。
「そこ!反省してるんですか!」
してますしてます!もうそんなに怒らないで下さい!―――なんて言ったら怒号が帰ってくるだろうからな……。
その頃平子場は、自分の家でゲームをしていた。
(帰るの早!!)
今さらながら、平子場は、親が韓国人で、名乗る時も、いつもフルネームで名乗る。だから皆から、フルネームで呼ばれてるのだ!
稀に平と呼ぶ奴がいるが、それは偶にだが、「Hey!」と聞こえるため複雑らしい。
怒られるのに疲れた俺は、まだ怒られている射太子を置いて家へ帰った。
(というよりは、俺だけ解放されたんだけどね)
真下曰く複数人を怒るのは面倒になったとかで。解放されたのは良いけど、何故か複雑な気持ちだった。