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双顔の女

一時間が経ち、皆が登校してきた。するとさっきまで元気だった真下が、スゴく静かになり、射太子がはっちゃけていた。

 授業が始まっても、真下のテンションは一向に戻らず、射太子は終始元気だった。

今朝聞いた話の通りだった。


『そういえば、何の話があって、こんな早くに?』

『ああ。ミキの話だ。こいつは、中学では結構な悪だったらしくてな。こっちに来た時に、変わろうとしてたんだけど、学院でキャラを作るので精一杯だったんだ。んで、あの状況というわけさ』

 

 以上回想終わり。



 ――――――放課後になった。

 俺達は、将棋部の部活へ行った。……俺達はとはどういうことか。

 俺の後ろには学校に来て元気になった射太子と怯える真下がいた。

 (あんなにくっついていて、皆に変な事思われるんじゃないか?)

 とりあえず何故いるのか話を詳しく聞くと、真下も将棋部に入りたかったらしい。


 ガラガラガラ


 将棋部の活動場所。

 ドアを開けると、俺達以外の全12人の部員がいた。

 その中には平子場もいた(笑)アイツも将棋部員である。

 平子場はいつもHRが終わると部室に向かって走って行くから、俺達より絶対早い。


「遅いぞ~♪イチャイチャしてたのか?(笑)」

 平子場が楽しそうに俺達に言い放った。

《そんなわけ無い!》俺達は三人同時に言った。

 そんなよく分からない話は足早に終わらせ、顧問の先生に真下の入部を申請した。

 呆気なく承諾されてた。

 もう少しなにか一悶着あったほうが良かったと思ったのは秘密だ。


 真下は将棋のルールを知らないそうだ。

 そんなので、よく入ろうと思ったと思うよ。

 なので、基本ルールを教えてやることにした。

 俺ってなんて良い奴なんだろうか。自惚れんな。

「まず、王将が取られると負けになるんだ」

「王将ってのはどれ?」

「これだ。王将と縦に書いてあるだろ?それで、自分が王将の時に相手は玉将を取られると負けになるんだ。駒の進み方は同じなんだが」

「チェスのキングみたいなもの?」

 チェスはルールを知らないため、返事は出来なかったが、話を続けよう

「王将は左右、前後、斜めの全てのマスに1マス移動出来るんだけど、金は左右の斜め下は動けず、銀は左右と後ろには動けない、桂馬は2つ前の左右どちらかにしか移動出来ないんだ」

 真下は緊張してたのか、長々とした説明を聞いたからか、まるで頭から煙が出てきているようにぼーっとしていた。

 俺は持っていた水筒で頭を冷やしてやった。ひんやりとした水筒の外装はちゃんと真下の頭を冷やしてくれたそうだ。

 (お茶は熱く沸騰してしまったが)

「ハッ!ビックリし!……しました……」

 一瞬、はっちゃけ真下が出かかっていたが、皆を見ると元に戻り、また射太子の後ろに行った。

(隠れたと言った方が良いかもしれない)


 真下の頭から煙が出てきていた時に射太子は平子場と将棋を打っていた。

「王手!」

 背後に居る真下のことは放置です。

(よっぽど自由が欲しかったんだな射太子)

 


 そんなこんなで!二時間が経過した。

「分かっ……たよな?」

「はい……分かりました」

 俺は今日の部活中の二時間全てを、王将、金、銀、桂馬について教えていた……。

 スゴくね?二時間だぜ?二時間経ってやっと動かし方だぜ?しかも四つだけ!ある意味天才だぜ。チェスも似たような遊びだとは聞いたが、それを応用してくれもしなかった。

 ったく。疲れた。

 これでとりあえず誰かと一勝負して落ち着けると思っていたのに

「そろそろ終わりだー片付けろーー早くしろよーー」

 なんて先生が言うから、結局俺は真下に四つの駒の動かし方を教えていただけになってしまった。


 一度も打てなかった俺が、落ち込みながら靴箱を目指していると、

「そんなことで、落ち込むなよ♪」

 相変わらず元気な射太子が言ったのに対し、

「そ、そうだよ……落ち込んでないで……元気……出したら?」

 こちらも変わらず物静かだった。いや、怯えていたというほうが正しいだろう。

「まぁ~そうだな!明日もあるしな!明日も……ある?明日も俺が教えて、また出来ない……そして、また次の日も……あと何日出来ないんだろう?……もういいよ……諦めるよ」

 俺はネガティブなことをいっている内に、学校から出ていた。

 そして、周りの俺達以外がいなくなると、

「疲れた~!よっし!遊ぼうよ!」

 なんともいきなりだが、射太子の家にいる時に見た、あの元気な真下に戻っていた。

 それとは逆に、射太子は静かになっていた。


「今日の俺達を見て、分かっただろ?ミキは、恥ずかしがりなんだけど、ソラは俺の親友だからって、なんとか大丈夫らしいんだが、慣れるのには時間がかなりかかるし、すごいよ……」

 長々と射太子は説明してくれた。(忘れているかも知れないが、ソラは俺の名前で、ミキは真下の名前だからな)


 家に帰るまで真下は終始元気だった。

 テンションが一気に上がったせいか、道中から俺のことをソラと呼んでいた。まるで、古くからの友達。つまりは幼馴染のように。


 家の前で別れた俺は、家に帰り、一休みするつもりだったんだがケータイにメールが来た……お隣さんからだ。

[助けてくれ!]

 とりあえず、射太子の家に行った。

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