百年に一度の豪雨が毎年来ます。町を守るため、私は堤防を壊します。
「この堤防を、一部取り壊します」
私がそう告げると、会議室が静まり返った。
やがて、河川管理を任されている技師長のバルドが、恐る恐る口を開いた。
「……お嬢様。申し訳ありませんが、もう一度おっしゃっていただけますか」
「町の北側にある堤防です。あそこを低くして、川の水を西の平地へ逃がします」
「それは、つまり……」
「遊水地を造ります」
バルドは目を閉じた。
隣に座る財務官も、工事責任者も、誰もが難しい顔をしている。
無理もない。
私の父は、この十年間、洪水から町を守るために堤防を補強し続けてきた。
そして私は、領主代理になってわずか十二日目。
父が守り続けた堤防を壊すと言い出したのだから。
「お嬢様」
バルドが静かに言った。
「遊水地という方法は、私どもも存じております」
「ええ。知っています」
「ならば、なぜ今まで採用されなかったかも、ご存じでしょうか」
私は机の上に置かれた、古い図面に目を落とした。
そこには、父の筆跡で小さく書き込みがあった。
『次の乾季に再検討』
その文字は、七年前の日付の横に記されていた。
◇
私の父、エルンスト伯爵は、十年間ほとんど休むことなく働いてきた。
この地方には雨季と乾季がある。
昔は、雨季になっても川が多少増水する程度だったという。
大きな洪水は、祖父の時代に一度あったきり。
ところが十年ほど前から、雨の降り方が変わった。
最初は、百年に一度と言われる豪雨だった。
堤防が破れ、川沿いの畑が水没した。
父はすぐに堤防を修復し、以前より高く造り直した。
翌年は無事だった。
だが、その次の年には、また大雨が降った。
今度は別の場所で堤防が破れた。
父はそこも修復した。
橋が流されれば架け直し、道が崩れれば石を積み、家を失った領民には木材を配った。
父は決して、無能な領主ではなかった。
むしろ逆だ。
父がいなければ、この町はとっくに見捨てられていただろう。
けれど、洪水は待ってくれない。
一度の被害を片づけたころには、次の雨季が近づいている。
修復に人手を取られ、資金を使い果たし、新しい工事に着手する余裕がなくなる。
そうして十年が過ぎた。
昨年の雨季には、ついに町の南側まで水が押し寄せた。
市場が水没し、石橋が半分流され、百軒を超える家が被害を受けた。
父は自ら復旧工事を指揮した。
被災した領民への食料配給も、避難した家族の住まいの手配も、すべて確認した。
そして、最後の橋が仮復旧した翌朝。
執務室で倒れた。
医師の診断は、長年の過労による衰弱だった。
命に別状はない。
だが、少なくとも今年いっぱいは、領主として働けないという。
こうして、伯爵家の一人娘である私、アリシアが領主代理となった。
そして、最初に突きつけられた問題が、今年の雨季だった。
「お嬢様。今年も昨年と同じ雨が降れば、町は耐えられません」
就任初日、バルドはそう報告した。
「昨年の被害から、まだ復旧できていない箇所がございます。堤防も応急補修のままです」
「補強すれば、どうなりますか?」
「通常の雨季なら問題ありません。しかし、昨年と同じ規模となれば……」
彼は言葉を濁した。
私は続きを求めなかった。
窓の向こうには、屋根の修理を続ける職人たちが見える。
去年、町は辛うじて生き残った。
今年、もう一度同じことが起きれば。
おそらく、今度こそ立ち直れない。
◇
「遊水地の計画は、いつから存在するのですか?」
会議室で私が尋ねると、バルドは古い図面を広げた。
「最初に検討したのは七年前です。西の平地は周囲より低く、川の水を一時的に受け入れるのに適しております」
「広さは?」
「十分です。昨年と同程度の洪水なら、町の前を流れる水量の一部を逃がし、危険な水位を下げられると見込んでおります」
「では、なぜ造らなかったのですか?」
バルドは少し困ったように笑った。
「造らなかったのではありません。造れなかったのです」
七年前、遊水地の候補地を調査した直後に、上流の橋が流された。
橋を直さなければ、秋の収穫物を町へ運べない。
当然、橋の復旧が優先された。
翌年は、堤防の亀裂が見つかった。
その翌年には、洪水で壊れた水車の修理が必要になった。
「遊水地の工事には、大勢の人手が必要です。水を導く場所を整え、周囲に土手を築き、排水路も掘らねばなりません」
「費用もかかりますね」
「はい。それに、既存の堤防を一部低くする必要があります」
バルドは図面の一点を指した。
「ここを越えて水が流れるようにします。ただし、想定を超える豪雨になれば、遊水地も満杯になるかもしれません」
「その場合は?」
「町を守りきれない可能性があります」
彼は私の目をまっすぐ見た。
「堤防を補強したうえで洪水が起きたなら、我々は力を尽くしたと言えます。しかし、堤防を低くして洪水が起きれば、領民はこう考えるでしょう。あの堤防を壊さなければ、助かったのではないか、と」
私は頷いた。
それは当然の疑問だ。
「お父様も、そのことを心配されていたのですね」
「はい。しかし、それ以上に……」
バルドは図面の端を指で押さえた。
「旦那様には、目の前の被害を放置することができませんでした」
私は父の筆跡を見つめた。
『次の乾季に再検討』
その下には、別の年の書き込みもある。
『橋の復旧を優先』
『南側堤防の補修を優先』
『市場の再建を優先』
父は、遊水地の価値を理解していた。
それでも毎年、目の前で困っている領民を救うことを選んだ。
そして、その判断は間違っていなかった。
「お嬢様。ですが、遊水地が必要になるほどの豪雨が、今年も降るとは限りません。堤防の補強を続けるという選択肢もございます」
「ええ。降らないかもしれません」
私は頷いた。
「ですが、十年前には百年に一度と言われた大雨が、この数年で三度も降りました」
誰も答えなかった。
「去年の雨で、町は辛うじて生き残りました。橋も家も、まだ完全には直っていません。今年も同じ雨が降れば、今度こそ町は終わります」
私は一人ひとりの顔を見渡した。
「だから、今年も百年に一度の大雨が来る。その前提で行動せざるを得ません」
「……もし、降らなかったら?」
「そのときは、何事もなく雨季を終えられたことを喜びましょう」
私は机の上の図面に手を置いた。
「ですが、降ってからでは間に合わないのです」
バルドはしばらく黙っていた。
やがて、ゆっくりと頷いた。
「……おっしゃるとおりです」
「では、教えてください。今年、昨年と同じ雨が降った場合、堤防を補強する方法と遊水地を造る方法では、どちらが町を守れる見込みが高いですか?」
彼は図面を見つめた。
そして答えた。
「遊水地です」
「では、遊水地を造りましょう」
「お嬢様。しかし、失敗すれば……」
「責任は私が取ります」
バルドが息を呑んだ。
「お父様は、十年間ずっと目の前の町を守ってくださいました。だから今、私たちには、まだ守るべき町があるのです」
私は図面に手を置いた。
「今度は、来年も再来年も、この町で暮らせるようにしましょう」
◇
もちろん、決断しただけで工事が進むわけではなかった。
まず必要だったのは、土地の所有者たちとの話し合いだった。
遊水地の候補地は、町の西に広がる牧草地と農地だった。
普段は牛を放牧し、一部では麦を育てている。
そこへ洪水の水を流すのだ。
農民たちが不安を抱くのは当然だった。
「お嬢様。町を守るためだというのはわかります」
集会所で、一人の農夫が立ち上がった。
「ですが、俺たちの畑はどうなるんです? 水が入ったら作物は駄目になります」
「被害が出た場合は、領主家が補償します」
「毎年ですか?」
「毎年です」
ざわめきが広がった。
別の農夫が尋ねる。
「水が引いたあと、畑が泥だらけになったら?」
「復旧費用も領主家が負担します。排水路と土手の管理もこちらで行います」
「そんな金があるんですか?」
私は正直に答えた。
「余裕はありません」
農民たちが顔を見合わせた。
「ですが、昨年の洪水で、町の復旧にどれだけ費用がかかったか調べました。橋の修理、道路の復旧、食料の配給、家を失った方々への支援。合わせれば、遊水地の整備費用を大きく上回ります」
もちろん、毎年同じ洪水が起きるとは限らない。
遊水地を造っても、何年も使わないかもしれない。
それでも、近年の雨を考えれば、備える価値は十分にある。
「町が水没すれば、皆さんの作物を買う商人も、道具を直す職人も、いなくなってしまいます」
私は農民たちを見渡した。
「皆さんだけに犠牲をお願いするつもりはありません。町を守るために使わせていただく土地です。だから、その負担は領地全体で引き受けます」
最初に頷いたのは、年配の農夫だった。
「……去年、息子の家が流されかけましてな」
彼は静かに言った。
「畑が少し水に浸かるくらいで、あんな思いをせずに済むなら、悪い話じゃありません」
もちろん、全員がその場で賛成したわけではない。
補償額や土地の利用条件について、何度も話し合いを重ねた。
水が入る可能性の高い場所では作付けを調整し、牧草地は乾季を中心に利用することにした。
最後には、土地所有者全員との合意が成立した。
そして、工事が始まった。
◇
乾季の空の下、町の西側には大勢の人が集まった。
石工、土木職人、農夫、荷運び人。
昨年の洪水で仕事を失っていた者も、工事に加わった。
「お嬢様! 西側の土手が完成しました!」
「排水路も予定どおりです!」
報告を受けるたび、私はバルドに確認した。
「問題ありませんか?」
「はい。技術的には予定どおりです」
彼は本当に頼りになる技師長だった。
私が知らないことも、彼は知っている。
川の流れも、地盤の性質も、どの場所にどれほどの水圧がかかるかも。
だから私は、彼の仕事に口を出しすぎないようにした。
領主の仕事は、すべてを自分で考えることではない。
必要な人材に仕事を任せ、その結果に責任を持つことだ。
工事は順調に進んだ。
しかし、最後の作業だけは、町の人々も不安そうに見守っていた。
北側の堤防。
父が何度も補強してきた、町を守るための堤防だ。
その一部を、設計された高さまで削る。
「……本当に、よろしいのですね」
バルドが尋ねた。
私は頷いた。
「お願いします」
石工たちが作業を始めた。
積み重ねられた石が取り外され、堤防が少しずつ低くなっていく。
ただ壊すのではない。
水が一定の高さに達したとき、町の反対側にある遊水地へ流れるよう、石で保護した越流部を造る。
そこから水路を通じて、広い平地へ水を導く。
遊水地の周囲には土手を設け、流れ込んだ水が民家へ向かわないようにする。
雨がやんだあとは、排水路を通じて水を川へ戻す。
父が残した図面と、バルドたちの調査を基にした工事だった。
最後の石が据えられたとき、バルドが深く息を吐いた。
「完成です」
私は新しく造られた越流部を見つめた。
「ありがとうございます」
「……礼を申し上げるのは、まだ早いかもしれません」
「そうですね」
本当に成功したかどうかは、雨が降らなければわからない。
そして、その雨季はもうすぐそこまで来ていた。
◇
工事が完成して十日後。
雨季最初の大雨が降った。
朝から降り続いた雨は、夜になっても弱まらなかった。
そして翌朝、上流の村から急使が到着した。
「お嬢様! 上流では一晩中激しい雨が降り続いています! 川の水位が急上昇しています!」
私はすぐに避難の指示を出した。
遊水地が完成したからといって、洪水への備えを怠るわけにはいかない。
町の低い場所に住む人々を高台へ移し、家畜も安全な場所へ誘導する。
遊水地周辺の農民にも、あらかじめ決めていた避難場所へ移動してもらった。
そして私は、バルドとともに川を見下ろす監視所へ向かった。
雨は激しかった。
川は茶色く濁り、恐ろしい勢いで流れている。
「昨年の水位まで、あとどれくらいですか?」
「このまま増水すれば、間もなく到達します」
バルドは水位標を見つめていた。
その顔は険しい。
私は彼の隣に立った。
「怖いですか?」
「……はい」
彼は正直に答えた。
「私どもが何年も考えてきた計画です。計算もしました。工事も確認しました。ですが、実際に洪水が来ると……」
「ええ」
私も怖かった。
もし遊水地が機能しなければ。
もし想定を超える雨が降れば。
もし、私の決断が間違っていたら。
町は失われるかもしれない。
父が十年間守り続けた町が。
そのときだった。
「技師長!」
監視員が叫んだ。
「越流部に水が到達しました!」
私たちは一斉に川を見た。
茶色い水が、低く造り直した堤防の上を越え始めていた。
最初は細い流れだった。
それが次第に太くなり、勢いを増していく。
水は導水路へ流れ込み、西の平地へ向かった。
「入った……」
バルドが呟いた。
「遊水地に、水が入りました!」
だが、まだ安心はできない。
川の水位は上がり続けている。
上流から流れてくる水の量が増え続ければ、遊水地に水を逃がしても、川の水位は上がる。
そして遊水地にも限界がある。
「川の水位、まだ上昇中!」
監視員の報告が響いた。
バルドは水位標から目を離さなかった。
「西側の水位は?」
「上昇しています! 遊水地の外周土手に異常はありません!」
「よし。引き続き監視を!」
私は手すりを握りしめた。
十分が過ぎた。
二十分が過ぎた。
川は荒れ続けている。
川の水位も、まだ少しずつ上がっていた。
「……バルド」
「はい」
「遊水地がなければ、今ごろどうなっていたのでしょう」
彼は川を見つめたまま答えた。
「正確にはわかりません。ですが、あちらへ流れている水が、すべて町の前を通っていたはずです」
私は遊水地へ向かう濁流を見た。
あれほど大量の水が、もし町へ向かっていたら。
考えるだけで恐ろしかった。
さらに時間が過ぎた。
やがて、水位標を見つめていた監視員が声を上げた。
「技師長! 川の水位の上がり方が鈍くなっています!」
バルドが身を乗り出した。
「確かか!」
「はい! 先ほどまでより、明らかに遅くなっています!」
だが、彼はまだ喜ばなかった。
「観測を続けろ!」
雨は降り続いている。
川の流れも激しい。
それでも、川の水位は以前ほど上がらなくなっていた。
そして、さらにしばらくして。
「……止まった」
バルドが呟いた。
「え?」
「川の水位です。先ほどから、ほとんど変わっていません」
私は水位標を見た。
水面は激しく揺れている。
けれど、目盛りを確認している監視員たちの報告は一致していた。
川の水位は、ほぼ横ばいになっていた。
「遊水地が……」
「はい。増えた水の一部を、受け止めています」
バルドの声が震えた。
「お嬢様。計画どおりです」
そのとき、上流から新しい報告が届いた。
「上流の雨脚が弱まり始めました!」
バルドが顔を上げた。
「上流の水位は?」
「まだ高いですが、上昇は落ち着きつつあります!」
私たちは、再び川を見つめた。
すぐに水位が下がったわけではない。
上流からの水は、まだ流れてきている。
遊水地にも、次々と水が入っている。
それでも、町の堤防には余裕が残っていた。
さらに時間が過ぎたころ。
監視員が叫んだ。
「川の水位、低下を確認!」
バルドが水位標へ駆け寄った。
「もう一度確認しろ!」
「間違いありません! 下がっています!」
バルドは何度も目盛りを確かめた。
そして、私の方を振り返った。
「お嬢様!」
彼の目から、涙がこぼれた。
「守れました! 私たちの計画が、町を守りました!」
私は、思わず手すりを握りしめた。
遊水地には、まだ余裕がある。
町を守る堤防にも、十分な高さが残っている。
そして上流からは、雨が弱まり続けているという報告が届いていた。
私は川を見た。
父が十年間戦い続けてきた川。
毎年のように町を傷つけ、人々の暮らしを奪ってきた川。
その水が、今は私たちの造った遊水地へ流れている。
町へ押し寄せるはずだった水が、誰も住んでいない平地に広がっていく。
私はようやく、深く息を吐いた。
「……よかった」
それ以上の言葉は、すぐには出てこなかった。
◇
三日後、雨が上がった。
遊水地には大量の水が残っていたが、町は無事だった。
市場も、橋も、家々も。
昨年は泥水に沈んだ通りを、今年は子供たちが走っている。
商人たちは店を開き、職人たちはいつもどおり仕事を始めた。
避難していた人々も、次々と家へ戻っていった。
もちろん、遊水地にした土地では作物の被害が出た。
私は約束どおり補償金の支払いを指示し、排水と農地の復旧作業を始めさせた。
土地所有者たちには、バルドから水位と今後の作業予定を説明してもらった。
「お嬢様」
集会所で、以前話をした年配の農夫が声をかけてきた。
「うちの畑、見事に水浸しですわ」
「申し訳ありません。復旧は必ず……」
「いやいや、文句じゃありませんよ」
農夫は笑った。
「息子の家は無事でした。孫たちも、今朝から元気に走り回っとります」
そして、少し照れくさそうに頭をかいた。
「畑が水に沈んだのを見て、こんなに嬉しかったのは初めてです」
周囲の農民たちも笑った。
私も、つられて笑ってしまった。
◇
翌朝。
私は父の寝室を訪ねた。
父は寝台の上で、窓の外を眺めていた。
以前より少し痩せたけれど、顔色はよくなっている。
「アリシア」
「お父様。ご報告があります」
「雨が降ったそうだな」
「はい。昨年と同じくらいの大雨でした」
父の表情が曇った。
「……町は?」
私は微笑んだ。
「無事です」
「橋は?」
「無事です」
「市場は?」
「いつもどおり営業しています」
「民家は……?」
「洪水による浸水被害はありませんでした」
父は何も言わなかった。
ただ、私の顔をじっと見つめている。
「お父様。遊水地が、計画どおりに働いてくれました」
「……そうか。うまくいったのか」
「はい。バルドたちが、素晴らしい仕事をしてくれたんです」
私は父の手を取った。
「お父様が計画していた遊水地が、町を守ってくれたんです」
父はゆっくりと目を閉じた。
「そうか……」
長い沈黙があった。
やがて、父の頬を一筋の涙が伝った。
「……ようやく、守れたのか」
その声を聞いた瞬間、私も涙をこらえられなくなった。
「はい。守れました」
父は十年間、洪水と戦ってきた。
何度も堤防を直し、橋を架け直し、領民の暮らしを立て直してきた。
その努力がなければ、私が引き継ぐ町など残っていなかった。
「お父様」
私は父の手を強く握った。
「お父様が十年間守り続けてくださった町を、今年も守れました」
父は涙を拭いながら、小さく笑った。
「……よくやった、アリシア」
その一言が、何より嬉しかった。
窓の外から、町の鐘の音が聞こえてきた。
市場が開く時間を知らせる、いつもの鐘だ。
去年の雨季には、聞くことのできなかった音。
私は父の手を握ったまま、微笑んだ。
今日も、この町にいつもの朝がやってきた。




