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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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『無能』と捨てられた俺、実は絶対防御の神でした

掲載日:2026/02/06

「追放された側は、実は世界を支える要石だった」 そんな王道の爽快感を、自分なりの解釈で全力で詰め込んでみました!


地味だと言われた魔法が、実は神の領域の力だったら……? 理不尽な思いをしている主人公が、最高にスカッとする瞬間を楽しんでいただければ幸いです。


もし少しでも「おっ、面白そうだな」と思っていただけたら、ぜひ最後までお付き合いください!

「マリウス、貴様はクビだ。今すぐこのSランクパーティ『黄金の黎明』から出て行け。これは決定事項だ」


王都の一等地に構えられた、豪華絢爛なギルドハウスの特別室。

シャンデリアが輝き、高級なヴィンテージワインの香りが漂うその部屋で、リーダーの勇者・タイタスは冷酷に言い放った。


彼は伝説の聖剣を無造作にテーブルに立てかけ、まるで道端の石ころを見るような目で俺、マリウスを見下ろしている。

俺はこの三年間、このパーティの「盾」として、あらゆる死地を共にしてきたはずだった。


「……本気で言っているのか、タイタス。俺がいないと、このパーティの防御は成立しない。魔王軍の軍団長クラスが放つ、因果を歪める絶技を誰が受け流すと思っているんだ?」


俺の問いかけに、魔導師のフェリシアが艶やかな唇を歪めて笑った。

彼女は宝石を散りばめた扇子で口元を隠しながら、軽蔑を隠そうともしない。


「相変わらず厚かましいわね、マリウス。あんたの魔法なんて、ただの『透明な膜』じゃない。天から降り注ぐ光の槍も、大地を砕く爆炎も使えない。地味で、見ていて退屈なのよ」


「新しく入るルカス様を見なさいな。彼は防御を固めながら、同時に千の雷を放てる『真の天才』なの。あんたみたいな『不燃ゴミ』に分け与える報酬がもったいないのよ」


戦士のヴァルモンも、大杯の酒を煽りながら鼻で笑った。


「そうだぜマリウス。お前が後ろで地味な魔法を維持してる間、俺たちは常に前線で血を流してるんだ」


「お前の結界なんて、あってもなくても変わらねえ。実際、最近の戦いじゃ、俺の自慢の筋肉が傷つくことすらなかった。それは俺の身体能力が上がり、敵を寄せ付けなくなったからだ。お前の手柄じゃねえんだよ」


――彼らは、根本的な勘違いをしていた。


俺の固有スキル『真・聖域(ホーリー・サンクチュアリ)』。

それは単なる物理的な防壁ではない。


結界の内部において、俺が「害」と定義したあらゆるエネルギー、事象、因果を完全に「無」へと変換する、絶対不可侵の領域だ。


ヴァルモンが無傷だったのは、彼の筋肉のおかげではない。

本来なら彼の肉体を塵に帰すはずだった数万度の劫火も、魂を腐らせる呪毒の霧も、俺の結界に触れた瞬間に「ただの涼風」に変質していたからに過ぎない。


「……そうか。俺の守りが『無価値な膜』だというなら、これ以上ここにいる意味はないな」


俺は静かに席を立った。

彼らが「火力こそが救済」と信じ、静止の美徳を忘れてしまったのなら、もう言葉で説明しても無駄だ。


一度、本当の「世界の無常」に直面してみるのが、一番の薬だろう。


「わかった。今日限りで俺は抜ける。……最後に一つだけ忠告だ。魔王城の周辺は、吸うだけで肺が焼ける『魔毒の瘴気』に満ちている。俺がいなくなれば、その浄化も自分たちでやるんだな」


「はっ! 脅しはよせよ。ルカス様の聖域があればそんなもん余裕だ。さあ、さっさと失せろ、無能!」


タイタスの罵声を背中に受けながら、俺はギルドを後にした。


不思議と未練はなかった。

むしろ、三年間一日も休まずに世界の理を固定し続けていた重圧から解放され、心は羽が生えたように軽かった。


翌日、俺は王都を離れ、辺境の村「ナギ」へと向かった。

そこは魔王城とは正反対に位置する、のどかな農村だ。


俺はそこで、貯め込んだ報酬で小さな古民家を買い、静かに暮らし始めた。

午前中は畑を耕し、午後は趣味の執筆活動に精を出す。


かつて命を削り合う戦場にいたことが嘘のような、穏やかな日々だった。


――しかし、平和な時間は長くは続かなかった。


俺が村に移り住んでから一週間が経った頃。

村の入り口から、けたたましい怒鳴り声と、聞き覚えのある情けない悲鳴が響いてきた。


「マリウス! マリウスはどこだ! 出てこい、マリウス!」


泥まみれになり、ボロボロになったタイタスたちが、村の広場へ転がり込んできた。

かつての輝かしいSランクパーティの面影はない。


タイタスの聖剣は折れ、フェリシアの自慢だった金髪は無残に焼け落ち、

ヴァルモンにいたっては自慢の重鎧がひしゃげ、無様に血を流していた。


俺は家の前でクワを置き、冷めた目で彼らを見つめた。


「……なんだ、珍しい客だな。魔王を討伐して、英雄として凱旋パレードの真っ最中じゃないのか?」


「ふざけるな! お前のせいだぞ、マリウス!」


タイタスが血走った目で俺に詰め寄ろうとした。

だが、俺の周囲数メートルに展開されている『真・聖域』の見えない壁にぶつかり、無様に尻餅をついた。


「お前の言った通り、あの瘴気は異常だ……!」


「ルカスの結界なんて一分も持たなかった! 敵の攻撃を防ごうとすれば魔力が底をつき、攻撃に回れば防御が疎かになる!」


「あいつも今じゃ、真っ先に俺たちを盾にして逃げ出しやがった!」


フェリシアが泣き叫びながら、俺に縋り付こうとして壁に阻まれる。


「マリウス、お願い……! 私たちの顔を見てよ!」


「呪いのせいで肌はボロボロ、夜も眠れないの! あんたがいた時は、こんな痛み一度もなかったじゃない!」


「あんたが、あんたがちゃんと説明しなかったのが悪いのよ!」


「説明はしたはずだ。君たちが聞かなかっただけだろう」


俺は淡々と告げた。


彼らは、俺の結界が「何もかもを無効化しすぎていた」せいで、

自分たちが無敵になったと錯覚してしまったのだ。


水が透明であるように、俺の守りもあまりに自然すぎて、

失うまでその恩恵に気づけなかった。


「もういい! 謝ってやる、悪かったよ!」


「だから今すぐ結界を張れ! 追っ手が、魔王軍の精鋭部隊がすぐそこまで来ているんだ!」


タイタスが指さした街道の先を見ると、

土煙を上げて魔王軍の飛行魔族と重装騎兵の混成部隊が迫っていた。


その数、数百。


タイタスたちが俺の居場所を求めて必死に逃走した結果、

魔族たちをこの平和な村まで引き連れてきてしまったのだ。


「……村の人たちに迷惑をかけるなと言いたいところだが。まあいい」


俺は指をパチンと鳴らした。


すると、俺を中心とした半径数百メートルの範囲に、

巨大な『真・聖域』が展開された。


それは村全体を包み込む、淡く輝く黄金のドームとなった。


「おお……! これだ、この感覚だ!」


「痛みが消えていく……!」


タイタスたちが歓喜の声を上げる。

結界内に満ちていた瘴気や呪いが一瞬で霧散し、彼らの傷の疼きが止まったのだ。


「マリウス、やっぱりお前は最高の盾だ!」


「よし、魔族どもを追い払ったら、特別にパーティに戻してやる!」


「報酬も少しは色をつけてやるから――」


「勘違いするな」


俺の冷たい声に、タイタスの言葉が止まった。


「この結界は、俺が許可した者しか守らない」


「そして俺は、君たちを『味方』として再登録した覚えはないんだ」


「……え?」


俺が意識を操作すると、

タイタス、フェリシア、ヴァルモンの三人の足元の地面だけが、結界の範囲外へと押し出された。


彼らはまるでベルトコンベアに乗せられたように、

村の境界線の外側――つまり、迫り来る魔族の軍勢の目の前へと放り出されたのだ。


「なっ、おい! 何をするマリウス!」


「入れてくれ! 中に入れろ!」


彼らが必死に結界の壁を叩くが、一ミリも動かない。

俺の許可がない限り、それは世界の理を隔てる絶対的な断絶だ。


「さあ、Sランクパーティの力を見せてやれよ」


「火力こそが正義なんだろ?」


「ルカスとかいう天才がいなくても、君たち三人なら余裕じゃないか」


「待て! 冗談だろ!? こんな数、防げるわけ――」


タイタスの言葉は、

最前列の魔族が放った広域爆炎魔法(エクスプロージョン)の轟音にかき消された。


ドォォォォォン!!


猛烈な爆風と炎が彼らを飲み込む。


だが、結界の内側にいる俺や村人たちには、

その熱風どころか、音さえも心地よい微風程度にしか届かない。


結界の外側では、

タイタスたちが必死に剣を振り回し、

フェリシアが悲鳴を上げながら逃げ惑い、

ヴァルモンが絶叫している。


彼らが「地味だ」と笑った魔法の不在が、

これほどまでに残酷な結果をもたらすとは、皮肉なものだ。


一時間後。


魔王軍の軍勢は、

俺が指先一つ動かさずに展開した『反転・聖域』――

結界に触れた魔力をそのまま持ち主に反射する機能――

によって、自滅するように全滅した。


広場に残されたのは、

真っ黒に焦げ、二度と立ち上がれそうにない元英雄たちの残骸だけだった。


命だけは助かっているようだが、

そのプライドも、装備も、そして冒険者としての未来も、

すべてが焼き尽くされた。


村の人々が俺を驚きと感謝の目で見つめる中、

俺は静かに家に戻った。


「さて、騒がしくなったが、執筆の続きをしないとな」


俺は机に向かい、新しい羊皮紙を広げた。

タイトルはもう決まっている。


『最強の防御スキルを持っていた俺が、

慢心した勇者パーティをクビになって

辺境でのんびり無双する話』


窓の外では、平和な小鳥のさえずりが聞こえてくる。


俺の『聖域』は、

今日も今日とて、俺の穏やかな日常を完璧に守り続けている。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!

いかがでしたでしょうか? 最後、カーテンを閉めて執筆に戻るマリウスの「やれやれ感」が伝わっていたら嬉しいです。

「ざまあ」の結末にスッキリした! マリウスのスキルの詳細をもっと知りたい! 元仲間のその後が悲惨すぎて笑える!

などなど、どんな感想でもいただけると、これからの執筆の大きな励みになります。

【読者の皆様へのお願い】

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