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最弱職《記録者》の俺、戦えないけど失敗ログで戦場を支配する  作者: 神崎ユウト


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5/17

第5話 コウイチの記録は、他人にも効いた

 合同依頼だと聞いた時、正直、気が重かった。


 俺は、また余計な視線を浴びることになると分かっていたからだ。


「気にするな」


 リナはいつも通り、淡々としている。


「どうせ結果が出る」


「……そうだと、いいんですけど」


 依頼内容は、渓谷に現れた中型魔獣の群れ。

 数は五体。

 地形が複雑で、これまで何度か失敗が出ている。


 参加パーティは三組。

 俺とリナ、それに別の二パーティ。


 視線は、やはり集まった。


「……記録者?」

「なんで連れてきてんだ?」


 聞こえないふりをして、魔導板を起動する。


 ――条件照合、開始。


 地形。

 風向き。

 時間帯。

 過去ログ。


「リナ、最初に来るのは左奥。

 二体、ほぼ同時」


「了解」


 即答だった。


 他のパーティのリーダーが、怪訝そうな顔でこちらを見る。


「おい、作戦は?」


「もう決まってる」


 リナは剣を抜く。


「突っ込むだけじゃない。

 “来る順番”が決まってる」


「は?」


 説明する時間はなかった。


 魔獣が動く。


 ――来た。


「今!」


 リナが駆ける。

 予測通り、左奥から二体。


 迎撃。

 討伐。


 残り三体が、動揺する。


「次は右。

 一体遅れる」


「分かった」


 右側に陣取っていた別パーティが、慌てて動く。


「ちょ、ちょっと待――」


 だが、遅れた一体が単独で突っ込んできた。


「今だ!」


 リナの声に合わせ、別パーティの攻撃が決まる。


 魔獣は倒れた。


 残り二体は、包囲され、数分で終わった。


 静寂。


「……被害、ゼロ?」


 誰かが呟く。


 他のパーティの冒険者たちが、俺を見る。


「……今の、全部予測?」


 俺は、少しだけ迷ってから答えた。


「過去の記録と条件が、ほぼ一致してました。

 だから……」


「だから、当てた?」


 言葉に詰まる。


「……はい」


 しばらく、誰も何も言わなかった。


 やがて、一人が小さく笑った。


「冗談だろ……

 記録者って、こんな使い方あったのかよ」


 別の冒険者が、腕を組む。


「偶然だろ。

 たまたま条件が重なっただけだ」


 ――そうだ。

 世界は、すぐには変わらない。


 リナは何も言わず、俺の肩を軽く叩いた。


「十分だよ」


 ギルドに戻る道中、他パーティの一人が追いついてきた。


「なあ」


「……はい」


「次も一緒にやること、あるかもな」


 それだけ言って、去っていった。


 評価も、ランクも、変わらない。


 でも――


「コウイチ」


 リナが言う。


「もう、“私だけの秘密”じゃなくなった」


 胸の奥が、静かに熱くなる。


 最弱職《記録者》。


 まだ、誰も認めてはいない。


 それでも――

 確実に、

 “効いている”。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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