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第044話 俺の実力は

「倒した……?」


 実感はない。しかし、倒れ込んだマステルを見る限りは明らかだった。


『レベル36になりました』


 疑念を払拭したのはレベルアップの通知である。

 経験値が入ったってこと。それは俺がマステルを倒したことを意味していた。


『スキル【ブレイブシールド】を習得しました』


 続いてスキルの習得。ブレイブシールドはアクションゲームに必須ともいえる防御スキルだった。


 実行時に現れる光の盾は物理だけでなく、魔法攻撃をも防ぐことができる。


「何だか分からんけど、俺はまだ生きているんだな?」


 流石に違和感ありまくりだ。

 所持スキルやリィナの退魔封滅陣にて威力を増幅していたけれど、それは決して火を噴くようなことにはならない。


 烈火無双の使用制限中であった俺が、魔将軍を相手に勝利できるはずもなかったのに。


「倒せたのは前倒しとなった期間のせいか?」


 真相は不明だ。けれど、現実に倒している。


 ゲームと大きく異なるのは開始時期。魔将軍もまたレベルが上がったりするのかもしれない。二年という期間が前倒しになったことで、マステルは充分な成長が成されていない可能性があった。


「ルカ!!」


 考え込んでいると、愛しきリィナの声がした。


 全て彼女のおかげだ。

 リィナがいてくれたからこそ、俺はマステルに勝てた。駆け寄ってくる我が天使を迎えるべく、俺は両手を拡げている。


「リィナ!!」


 飛び込んできたリィナを受け止めていた。

 左肩が割と痛むけれど、今は痛みよりも勝利の実感を味わいたい。大好きな人と抱擁を交わし、生きていることに喜びを見出すだけ。


「凄いよ、ルカ! 魔将軍って魔国の主力でしょ!? 倒しちゃうなんてビックリした!」


 リィナはかなり興奮しているな。まさに惚れ直したんじゃないか?

 なにせ俺は敵将を一人倒してしまったのだから。


「退魔封滅陣のおかげだよ! あれがなきゃ倒せなかった!」


「その前から斬り裂いてたでしょ! ルカの実力よ!」


 手放しで褒めてくれるリィナ。

 本当に実感する。彼女が側にいるだけで俺は幸せなのだと。


 思えば大人の経験をしようと一人でフィオナに会いに行く予定だった。

 リィナと出会っていない世界線の俺は、きっと毎日が楽しくなかっただろうし、魔将軍に殺されていたかもしれない。


「リィナ……」


「ルカ……」


 抱き合っただけで終わるはずもなく、俺たちは御者の目も気にせずキスをしていた。


 長い時間をかけて確かめ合う。

 生きていること。愛し合っていることを……。


 背中に手を回すリィナに応えて、俺は抱きしめる腕に力を込めている。誰の目から見ても、俺たちは熱々でお似合いのカップルであったはずだ。


 まあ、何というかさ。

 今も相棒は深い眠りに就いたままなんだけど。

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