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第001話 運命

「ルカ! 早く起きねぇか! 畑に行く時間だぞ!」


 今日も今日とて父上の怒鳴り声がする。

 まだ日が昇り始めたばかりだというのに、日課である農作業の時間が来てしまったらしい。


 俺はルカ・アルフィス。悲運の女神シエラの加護を受けた稀少な人間であり、一応は子爵家の長男でもあった。けれども、貧乏貴族であって、朝っぱらから畑仕事を強いられる毎日を過ごしている。


「アルクはもう起きてるぞ! 早く起きねぇか!」


 父上、分かってますから。

 何なら、起こされるよりも前に目覚めてるって。


 何しろ、明け方に見た悪夢によって俺は飛び起きていたのだから。


 酷く頭が痛む。妙に現実的な夢を見たせいだろう。目が覚めた瞬間から、夢に見た世界の情報が俺の頭に流れ込んでいたんだ。


「エクシリア英雄伝? ゲームとか聞いたこともない単語なのに、俺はそれを理解しているよな?」


 ゲームという単語はエクシリア世界に存在しない。だけど、俺は夢に見ただけで、ゲームが存在する世界の情報を明確に理解していた。


 誰かがプレイしていたんだ。エクシリア世界を模倣したようなゲーム。エクシリア英雄伝というアクションRPGの全貌を俺に見せていたと思う。


「夢の最後はオマケシナリオだった……」


 本編のクリア後にオマケシナリオがプレイできた。それは物語の冒頭に繋がるプロローグ部分だったんだ。


「夢はこれから先の未来を示しているのか? 予知夢ってやつ?」


 本編の主人公は弟のアルクだが、オマケシナリオで操作するのはルカ・アルフィス。どうしてか、そのキャラクターは珍しい銀髪をした容姿だけでなく、声や名前までもが俺と同じであった。


 そもそも世界観や俺の実家まで同じ。エクシリア英雄伝がこの先の未来だという妄想を俺は否定できずにいる。


「なら、リィナって少女は誰なんだ?」


 オマケシナリオにおいて、ルカこと俺は侯爵令嬢リィナを連れ出していた。

 聖女である彼女を主人公アルクと引き合わせるため、俺は北部にある侯爵領まで彼女を迎えに行ったんだ。


「リィナは俺のことが好きだった……?」


 頭が混乱する。

 本編において弟のアルクと侯爵令嬢リィナは結ばれていたんだ。ところが、オマケシナリオというプロローグにて、確かにリィナは俺のことが好きだと言った。


「ルカもリィナのことが好き?」


 夢から覚めた今もリィナに対する感情が残っている。明らかに一目惚れであり、オマケシナリオによると俺たちは両想いらしい。


「だけど、俺たちは結ばれない運命ってこと? いや、それよりも……」


 本編のオープニングでは元気一杯に登場したリィナだが、実をいうと魔力循環不全という不治の病に冒されていたようだ。プロローグにいたリィナはもう幾ばくも生きられないような感じだった。


 しかし、悲運の女神シエラに魅入られていた俺ことルカには彼女を救う術があった。結果的に、それを行使した俺は酷い寝汗と共に目覚めることになったのだ。


 俺が困惑する原因は一つ。それは十五歳にして知らされた二年後の悲しき運命だった。


「俺はリィナのために死ぬのか?――」

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