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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<前編>~二人の約束~
8/51

ーー第8話 「私の力で出来ること」ーー

 ーーお兄ちゃんと私は『憤怒』との戦いの後、

いつも通りの日常を過ごしていく。……表面上は何も変わらなかった、けどーー。



「……お兄ちゃん、大丈夫?」


「……リリー……? どうしたんだい……?」


「ううん……

 なんか、お兄ちゃん……辛そうだから」


「……っ! 

 ……大丈夫。僕は、元気だよ」



 ……お兄ちゃんはそんな風に言うけれど、

私には『嘘』だってわかるんだよ。ーーだって、大好きなお兄ちゃんのことだもん。



 お兄ちゃんが辛そうな理由……

おそらく原因は、埋め込まれた『憤怒』だ。


 感情を抑えようとして、苦しんでいるんじゃないかな……。


 でも、お兄ちゃんと私の未来のためには必要なこと。

……だから、それはどうにもできないんだ。



 ”ーーそのかわり、私が支える!

お兄ちゃんが苦しんでいる時は、私が代わりに頑張るっ!”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーーその後、私は色々と挑戦をした。


 一人で買い物に行ったり、ご飯を作ったり……

……今までお兄ちゃんとしていたことを『一人』でやってみたんだ。


 …………でも、なかなか上手くはいかなかった。



 ……お買い物では、

人間相手に湧いてくる怯えや怒りの感情を抑えるのに必死で、何も買えなかった。


 ……ご飯を作ることは、

お買い物が上手くできなかったから、そもそも材料がない。


 それでも……森に行ければ何とかなったけれど、

お兄ちゃんは危険だからって一人では行かせてくれなかった。



 …………結局最後には、お兄ちゃんに手伝ってもらうことになる。


 お兄ちゃんは微笑んで慰めてくれる……

”リリーの気持ちだけで嬉しいよ”って言いながら。


 ……でも私は……お兄ちゃんを、支えたいんだっ……。



 ”なんで私はこんなにも、『一人』で何もできないんだろうーー”



「ーーそれはね、あなたに『力』がないから」


「……! 

 色欲さん……? いたんだ」


「…………いつでもいるわよ。ちゃんとあなたの中にね」


「ごめんね。

 最近、あんまり話しかけてこなかったから……つい」


「……ふぅ。まあ、いいわ」


「それよりも今回のことで、よく分かったでしょう。

 ……力がないと、この世界では何もできないの」



 そして色欲さんは、

今の私にとって痛いところを突き付けてくる。



「力があれば、あなたは『一人』で何でも出来るの」


「……あなたの大切な人を支えることだって出来るのよ」


「……っ。

 それは……そう、だね」


「大切な人を支えるためには……

 ……まずはあなたが一人で生きられないとダメなの」


「……っ!」


「そして一人で生きるためには、力がいる」


「ーー圧倒的な力が。

 何もかもを手に入れられる『力』がね」



 …………お兄ちゃんを支えるための、力…………。


 ”力が、欲しい。

……お兄ちゃんと一緒に生きていくための『圧倒的な力』がーー”



「ーーふふっ。次は『強欲』ね」


「さて……後は待ちましょう。

 ……次の大罪が現れるのを」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー私の中に『強欲』が生まれて以降、

私は常に何か満たされない渇きを感じていて、ムカムカすることが増えたんだ。



「……リリー、最近また何かあったかい?」


「……! 

 ……お兄ちゃん、どうしてっ……私、おかしい?」


「……っ。

 ううん、リリー自身が大丈夫なら良いんだ」


「ただ……少し、

 笑顔が減っちゃったかな……って、思っただけだから」


「…………っ。

 ……ごめん、お兄ちゃん。……お兄ちゃんも大変なのに」


「…………! 

 気にしないで。僕は大丈夫だから」


「リリーが元気でいてくれるなら、それだけで良いんだ」


「……お兄、ちゃん……」



 …………こんな風にお兄ちゃんと、

微妙な空気になる時も……多くなっちゃった。


 でも頑張るんだっ……! ……これは、必要なことだから。



 ……お兄ちゃんも、分かってくれる……はずだから。

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