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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<後編>~約束が灯す明日~
49/51

ーー第49話 「答え合わせと繋がる過去」ーー

 ーー真っ白な世界の中で二人だけの答え合わせは始まった。

静かに集中して耳を傾ける彼女と見つめ合いながら、私は語る。


「ではあなたの……『魔王の力』について話します」


「その力は『救世主』に対抗するために生まれたもの。

  強すぎる力に対して、弱き者となった魔族達の想いを束ねた力です」



「……そもそも、この世界の力の始まりは『私』でした。

死にゆく者の想いによって生まれた私は『虐げられる弱き者たち』に力を与える役割を背負って生まれた」


「この世界に生まれた私は、虐げられ消えていく七人の人へ『力』を与えました。

角が生え、『七つの大罪』という人知を超える力を持つ彼らがいたからこそ……後の世で魔族と呼ばれた『地獄に捨てられた人たち』は命の灯を繋ぐことが出来たのです」


「そうして人は『地上』と『地下』に別たれた。

これが人間と魔族の始まり……もともと彼らは同じ『人』という生き物なのです」


「実際に魔族と呼ばれたのは、力を得て見た目が変化した『大罪を受け継いだ七人』だけ。

大罪以外の『地下の人々』は一度たりとも地上に出ていません。だからこそ『地上の人』は自分達とは違う存在だと勘違いをした……」



「……大罪たちが地上に出るまでは、

  この世界の人々はかろうじて平和に過ごしていました」


「かつて地獄と呼ばれた『入口が閉じられた地下洞窟』の中でも、地下の人々は力に頼りながらどうにか暮らしていたのです。地上の人たちも、いざこざはありながらも安定して暮らしていました」


「しかし、この二つの日常には決定的に違うものがあった。

暖かい太陽や静かな月、豊かな緑や大いなる空……『自然』と呼ばれる多くのものが地下には存在しなかったのです」


「そして一番大きかったのは『怨みの感情』でした。

地下の人々は忘れなかった。自分達が受けた屈辱を。自分達を切り捨てた地上の人々を」


「……その『忘れられない怨み』と『語り継がれる自然』というものに憧れる感情が、想いから生まれた『七つの大罪の力』を強くしていった。後に、地下洞窟を封じる硬い岩を壊してしまうほどに強く大きくなっていったのです」


「時を重ねるごとに徐々に強くなっていく大罪たちの力を感じていた私は不安に襲われていました。地上と地下のバランスが崩れ、大きな争いが起こってしまうことを恐れていたのです」


「私には分かっていたから。

大きな争いが起こったら、私の意思とは関係なく役割のままに『大きな力を持つ存在』を生み出してしまうことが分かっていたから。……だから怖かったのです」



「そして『色欲』の覚醒の時が来た。

しかし、彼女の覚醒は異質でした。恨みではなく『大切な人への想い』だけで大罪の力を進化させたのです」


「……何も出来ない私の瞳の中で、覚醒した彼女は『人殺し』という取り返しのつかない罪を犯します。犯した罪に苦しみ続けます」


「だから思わず私は……

来る日も来る日も静かに涙を流し続ける彼女に教えてしまった。

彼女の罪を消すことが出来る可能性を。これから起こる争いによって生まれるであろう、大きな力を持つ存在のことを」


「人々の想いを束ねた存在のことを……教えてしまったのです」



「その後、『色欲』は私の教えを引き金に多くの罪を重ねていきます。

大切な存在である『傲慢』と共に……『時を戻す魔王』という存在に全ての希望を託して、地下の人々を人形にするという『罪』を犯していきました」


「地下の人々の想いを操作するために。

  ……確実に『時戻しの力』を得るために」


「そうして色欲と傲慢の二人が地上に出る頃には、二人を除くすべての地下の人々は『人形』になったのです。力を持った大罪たちですら例外ではありません」


「しかし皮肉なことに、争いが起こって最初に生まれたのは『救世主』でした」


「力を大きくした源である『怨みと妬みの感情』に蝕まれ呑み込まれた『傲慢』が人間たちを虐殺した結果、地上の人が虐げられる弱き者となった」


「……だからこそ『救世主』は生まれた。

地上の人々の『生きたい』という想いを束ねて、私と似た『人ではない存在』は生まれ落ちました」

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