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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<後編>~約束が灯す明日~
39/51

ーー第39話 「消えることのない灯」ーー

 ーーーー白い光を呑み込んだ『濁った闇』。

目の前を満たす闇を見て『黒い炎の巨人』は涙を流し、叫んでいる。


 溢れる雫と降り続く雨により、滲む『巨人の視界』。


 ”滲んだ『瞳』は見逃していた。

真っ黒に染まったはずの闇の中に浮かぶ、小さな一点の『白い闇』をーー”



 ーー白い闇が静かに大きくなっていく。


  『濁った闇』が真っ白に染まっていく……。


 滲んだ『傲慢の瞳』に映る世界も白く、真っ白に染まっていく。



「……っ!!」


「……な、に……

  ……まさかっっ……」



 そして……

巨人の中にいる『傲慢の視界』は『白い闇』に満たされたーー。




 ーー『暴食の白い闇』から小さな声が響く。



「……喰らわせる、ものかっ……」


「リリーは……喰らわせ、ないっ……!」



 小さな声は次第に大きくなる。

大きくなって『叫び』へと変わっていった。


 響く叫びが『傲慢』のもとに届く。


 ……届いた叫びが『傲慢の表情』を歪ませる。


  ……憎しみの業火が『傲慢の瞳の中』で再び燃え上がる。



「……僕は、『明日』が欲しいっ……!!」


「リリーと『二人で生きる明日』を、掴むんだっっ!!!」



 決意の言葉と共に『闇の中』から人影が飛び出てきた。

……白い翼を煌めかせて『彼』が飛び立つ。『白い軌跡』が天へと昇っていく。


 降る雨にも負けず『灰色に覆われた空』を目指し、翔け昇っていく。


 『その光』を瞳の内に捕らえられる者はいない。

彼は『憤怒の白い雷』を纏って、目に見えぬ速さを得ていたから。



 ……『白く淡い雷』が……闇の底から、天へと昇っていくーー。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー天へと昇った雷は、世界を白く照らし出す。


 自身を照らす光を『巨人』は見上げた。


 自身を照らす淡い光が『傲慢の瞳』に映る。

……映る白い光を呑み込むように、瞳の奥から『憎しみの業火』が燃え上がる。



 『黒い炎を宿した瞳』が彼をじっと見ていた。


 その憎しみが世界へと移っていく。

……彼の背後を覆う『灰色の雲』を黒く染めていく。


 『黒い雷雲』が一瞬で世界を、彼を……覆い尽くす。

黒く染まりきった雷雲から『低い唸り声』が聞こえ始めた。


 しかし『白い光』は揺らがない。……彼が動じることはない。

揺るがない彼を見つめながら、黒い怨念を込めて『傲慢』は呟く。



「……ふざ、けるなっ……」



 響く唸り声が大きくなる。

『雷雲』が黒く激しい光を帯びていく。


 ……激しい怒りを溜めていく。


 なおも『傲慢』は叫ぶ。どす黒い怨念を込めて、叫ぶ。



「ふざけるなっ!!」


「消えろっ!! 消えてしまえっっ!!!」



 怨念の叫びが、黒い怒りを呼び起こす。

世界を覆う雷雲から『黒く濁った雷』が落ちていく。


 『白い光』を消し去るために落ちていくーー。




 ーーしかし怒りは『彼』に届かない。


 『傲慢の叫び』が呼び起こすのは『黒い怒り』だけじゃないから。

……『彼女の叫び』は、彼の瞳の奥から『白い光』も呼び起こしていた。


 『黒く濁った雷』が落ちゆくとき……『白く淡い雷』もまた、落ちていく。


 落ちていく彼の心に映るのは、

『黒い炎の巨人』……その内に籠っている『大切な彼女の姿』だけ。


 ただひたすらに『白い光』は彼女のもとへと向かっていく。



 落ちてくる白い光に向かって巨人が叫ぶ。

……存在を拒絶するように、怨みを込めて叫ぶ。



「消えろっ!! 我の前から消えろっっ!!!」



 その叫びと共に『彼』の進む道を阻むように、

巨人の身体から『黒い獄炎の渦』が生まれ、迫っていく。


 ……それでも白い軌跡は止まらない。

白く淡い輝きを放つ『彼の想い』は止められない。


 白い翼をはためかせ、

迫りくる獄炎の渦を避けていく。


 『白く淡い雷』は変わらぬ速さで落ちていく。


  ……『黒く濁った雷』は変わらずに白い光を追っていく。



「クソっ! クソ、がっっ!!」



 彼の瞳に映り続ける『巨人』がまた叫ぶ。

……巨人の瞳に映る『憎悪の炎』が激しく燃えて溢れていく。


 そして……内から溢れる『黒い炎』は巨人をも呑み込んだ。


  巨人の形は一瞬で崩れ、纏う炎は舞い散っていく。


   舞い散る黒い炎の中心で『傲慢』は叫ぶ。



    「クソがっっーーーーー!!!」



    彼の耳に『憎悪の雄叫び』が届く。


 ……彼の瞳に、ようやく『大切な彼女の姿』が映る。



 しかし……

瞬きの間に、彼の視界は『憎悪の黒い炎』によって満たされたーー。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー形を成していた『黒い炎』は散っていく。

しかし散る焔は消えることなく舞い踊り、彼へと向かっていった。


 彼の進む道が、前を見据える瞳が……黒に満たされた。


 『白く淡い雷』の進みは止まり、その軌跡は薄く消えていく。

薄く溶けていく白い軌跡を『黒く濁った雷』が塗りつぶしていく。


 残された軌跡を辿り、『白い光』をも黒く染め上げていく。


 ……白い光の瞬きが弱くなった。

黒い怒りに打たれ動きを止める彼を『炎から生まれた憎悪の渦』が包んでいく。


 逃げ場をなくすように丸く、囲んでいくーー。



  ーーそうして『黒い太陽』が生まれた。



 目の前に浮かぶ太陽に向かって、傲慢は叫ぶ。



「救世主、お前は惨めだなっ!」


「守ろうとする女が、

  お前の身体を心を……傷つけていくっ!!」



 涙の跡で目元を赤くしながら、叫ぶ。



「この女はお前を守らないっ!

  我の奥底に沈んで目覚めることはないっ!!」


「もう遅いんだよ……!

  ……どこまで行ってもお前は独りきり……」



 憎悪を顔に滲ませながら、笑う。



「フハハハハっっ!!!

  惨めすぎて笑ってしまうわっっ!!!」



 怨念に囚われた『傲慢』に雨は届かない。

……黒く照らす太陽が、降り続く雨を届かせない。


 それでも、笑い叫ぶ『傲慢の頬』に雫は伝っていく。

死闘の中で雨に濡れていた煌めく銀色の長髪から、雨粒が落ちていく。


 まるで泣いているかのように……一粒の雫がその頬を伝っていく。



 ……『傲慢』の嘆きのような叫びは、太陽に溶けていった。


    黒々と燃え盛る表面で渦巻く『激しい炎』に溶かされていく……。



 応える声は無い、はずだった。


  しかしーー。



「……独りじゃ、ないっ……」



 太陽の内から、応える声が響く。



「……りりぃ、との……

  『約束』が……あるっ……!」


「……約束が……僕の中に、灯ってるっ!」


「まだ、生きてるんだっ!!」



 応える叫びが『彼』を包む炎を震わせた。


 ……震える太陽がその形を変えていく。

『傲慢の瞳の中』で、丸から楕円へと変えられていく。



「僕は生きたいんだっ!!」


「リリーの隣で、生きるんだっっ!!!」 



 『彼の想い』が激しく渦巻いていく。

黒い太陽の内から、『白い炎の嵐』が渦巻いていく。



「黙れっ! 

  いいかげん消えろっっ!!!」



 形作られていく嵐を前にして『傲慢』が叫び返す。

触れる大地を瞬時に黒い光で染め上げ『破壊の細剣』を生み出し『彼』に放つ。


 放たれた『黒い雷を纏った細剣』がうねり狂う炎の嵐を貫いて、


  彼へと届く、瞬間ーー


           横薙ぎの『白い軌跡』が瞬いた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ……『破壊の細剣』は砕かれる。

左手に握った『大剣』で彼が薙ぎ払っていく。



 砕け散る黒い光を前に……

薙ぎ払った大剣を両手で握り、後ろに構える彼。


 そして構え終わると同時に、

渦巻いていた『白い炎の嵐』が形作られる。


 天から地へと『彼女』を囲むように、嵐が生まれた。


  ……彼の想いのままに。『もう離さない』と言うように。



 それは一瞬の出来事だった。

瞬き輝く『白い軌跡』が消えるまでの一瞬。


 ーーそして、



     「うぉぉぉーーーーー!!!」



        彼は『彼女のもと』へ……落ちていく。



 落ちゆく『彼の瞳の中』で、

怒りに震えていた彼女が『右手』を上げる。


 迫りくる彼を見つめて、掴むように右手を突き出した。



「……はははっ!

  もう遅いのだ、救世主っ!!」



 瞳の奥に『変わらぬ憎悪』を宿しながら、薄く笑う。



「もう、最後にしてやろうっ!

  ……『色欲の力』で、終わらせてやるっ……!」



 薄く笑いながら、突き出した『右手』を握りしめた。

……『光』を潰すように強く、強く……握りしめて、呟く。



「死ね」

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