表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<後編>~約束が灯す明日~
36/51

ーー第36話 「黒い怨念の叫び」ーー

 ーー黒く染まった世界が、その輪郭を取り戻していく。


 本来の色を取り戻した『雨降る荒野』に立つ二人。


 二人は瞳に光を宿している。

『傲慢』は黒い光を。……『彼』は白い光を。



 白く淡い光に包まれた『彼』は、

荒々しい光を大剣で薙ぎ払い、『黒い光』に向かっていく。


 ……『彼女』のもとへと、向かっていくーー。




 ーー静かにゆっくりと、

雨に濡れながら向かってくる『白い光』。


 その光を瞳に映しながら『傲慢』は呟く。



「……逃がす、ものかっ……」



 その黒い呟きと共に『嫉妬の炎』が現れる。

現れた『天まで届く炎の柱』が彼女を囲み、包み込んでいく。


 炎はどんどん大きくなり、

人の形をとっていく。……雨降る荒野に『赤い炎の巨人』が降り立った。


 生まれ落ちた『巨人』は叫ぶ。



「どうだ、『救世主』」


「これで『我』を傷つけることは出来まい」


「……今度はちゃんと、殺してやるっ……!」



 憎しみがこもった叫びの後に、

巨人の右手が『彼』を捕らえるために動いていく。


 ……『燃え盛る手』から逃れようと、

彼が姿勢を低くして前に走り出した瞬間ーー



  ーー『強風』が吹き荒れ、白い光を呑み込んだ。



 ”突如として……雨降る荒野に『竜巻』ができていったのです”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー激しくうねる『風の牢獄』が彼を呑み込んでいく。


 走り出した彼の瞳には『風の壁』が映り込んでいた。

瞬く間に映り込んだ荒々しくうねり上げる『風の勢い』に、走る足が一瞬止まる。


 その一瞬の隙に……

    『燃え盛る巨人の右手』が牢獄を突き破り、彼を捕らえた。



「捕まえたぞ、救世主っ……!」



 巨大な手の中で彼は指一つ動かせない。


 捕らえられた彼を『黒い炎』が焼いていく。

……罪人を握って離さない右手から『赤い炎の巨人』が黒く染まっていく。 


 突き破られても壊れることなく、

この瞬間も罪人を囲み続ける『風の牢獄』さえも、黒く染めて。


 ……『黒い炎の嵐』へと染め上げて。


 渦巻く嵐の炎が雨を消していく。

苦しみ叫ぶ彼のもとに慈雨は届かない。



「うぐぅぅぁぁぁぁーーーー!!!」



 荒野に叫びが響く。

……黒い炎に包まれた『彼』の痛々しい叫びが響き渡る。


 その叫びは終わらない。

彼から生まれる『白く淡い光』が、終わらせない。


 ……黒く染め上げさせない。



「救世主、お前は何を手に入れたっ!」


「……その大きすぎる力で、何を掴むことができたっ!!」


「お前には何もない……

  その顔を見たら分かるぞっ!!」


「ーーその苦悩に満ちた『お前の顔』を見たらなっっ!!!」



 癒しの力と黒い炎が……

    彼に『終わらない罰』を与え続ける。



「フハハハハッッーーー!!!」


「死ねっ! 死ねっ!! 死んでしまえっっ!!!」


「我の手の中で死んでいけっっ!!」



 『黒い炎の巨人』が咆哮を上げる。


 咆哮を上げる巨人の……

……『傲慢の瞳』はただ一点を見ていた。


 その瞳は、罰を受け苦しむ罪人の姿を映し続ける。


  ……その姿を『己の心』に確かに刻み付けるように……


   己の内に輝く『空虚な黒い光』を満たすように、瞳の中に刻み続ける。



「……喰らってやるっ……

  ……喰らってやるぞっ……!」


「お前も、

  お前の大切な『この女』も……」


「……お前の全てを、喰らい尽くしてやるっ……!!」



 空虚な黒い光が『囚われた彼の頭上』に現れる。

……空いた穴を満たすために『白い光』を喰らおうと、現れる。


 その黒い光は……巨大な『大剣』の形をしていた。


 荒々しい光を放つ『断罪の大剣』が、

全てを喰らう『暴食の闇』を纏って『牢獄に囚われた罪人』を照らし出す。



「お前に『明日』は来ない……

  ……『望む明日』なぞ、掴ませてやるものかっ……!」


「我と同じ苦しみを与えて、与えて、与えて……」


「……与え尽くして、思い知らせてやるぞっ!!」



 黒く濁った『断罪の大剣』が落ちていく。

罪人を裁き、喰らうために……『彼』へと向かって、落ちていく。



「奪われる痛みを……

  ……大切な存在を失う、絶望の苦痛をっ……」


「お前に味わわせてやるっっ!!!」



 『傲慢の怨念』が、彼を呑み込む。

『白く淡い光』を黒く染めるために、呑み込んでいく。


 ……彼を捕らえる『炎の腕』ごと、

    『黒い炎の嵐』ごと……全てを呑み込んでいくーー。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー白い光は、闇に呑まれた。


  白く淡い輝きは『傲慢の瞳』から消え去った。



 その事実を目にした時……

目の前を満たす、真っ黒に染まった『濁った闇』を見た時……


 ……『黒い炎の巨人』は雄叫びを上げる。



「やった、ぞっ……」


「ついに……

  我はっ、我はっっーーーーー!!!」



 一筋の涙を流しながら叫ぶ『傲慢』。


 ”その視界は……

湧き上がる雫と降り続く雨により、滲んでいました”



 ”だから、気付かない。

……滲んだ視界の先にある『黒い闇』の異変に”


 ”真っ黒に染まったはずの闇の中に浮かぶ、

   小さな、小さな……一点の『白い闇』にーー”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ