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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<後編>~約束が灯す明日~
28/51

ーー第28話 「夢のような幸せな日々」ーー

 ーー” 『この子』はもう大丈夫 ”



 『色欲』は彼女の中で静かに呟いた。


 『誓いの口づけ』を終え、

彼の腕の中で安らかに眠る『彼女』を起こさないように。



 ”この子は『彼を想う心』と『我儘な愛』を持っている。

   その二つと『約束』を忘れなければ、望む明日へ辿り着けるはずよ”


   ”もう、私では辿り着けない『明日』へと”



 そしてーー。



 ”そして、

この廻る時の中で『この子』は成長してる”


 感情を知り、向き合うことで……

  私の目論見通り、順調に『この子の力』は増している。



 それは『怠惰の力』を感じ取っていたことから、分かる。


 ”それに『憤怒の雷』と『暴食の闇』も、

自分に対してだけじゃなく、『力の対象』を意識して選べるようになっていたしね”


 ”ううん、それだけじゃない。

   感情に関係なく、力を『自由』に使えるようになっていた”



 ……”覚醒の時は近い、か”



 『覚醒』の時……

その時がきたら、ようやく『私の願い』を叶える条件が揃う。


 ”そして私は、

   『罪』を犯して『願い』を叶えるの”



 ”この子には……『恨まれる』だろうな”


   ” ……でも……仕方ない、よね。 

      『私』はもう、彼を『救い上げる』って決めたのだから ”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーーーーあの光の中での『誓い』の後、

私は『幸せな日々』をお兄ちゃんと一緒に過ごしてる。


 ”本当に、夢みたいに『幸せ』で一杯なんだっ!”



 ーー『二人』でいろんなことをした。


 お兄ちゃんに『贈り物』をするために、

暖かな光で包まれた日に二人で『あの森』へ行った。


 ”いつか燃えてしまった『花冠』を、

    また……お兄ちゃんの頭にかぶせてあげられたっ!”



 『花冠』をかぶったお兄ちゃんは、

     あの時みたいに微笑みながら泣いてくれた。


  ”私を抱きしめながら、『ありがとう』って泣いてくれたんだっ……!”



 あの時の『花冠』は、

『私たちの家』に大事に飾ってる。


 ”私とお兄ちゃんの『大切な思い出』だから”




 他にもお兄ちゃんを支えられるように、

『私』は買い物やご飯づくりにも挑戦をした。


 ”今度は『一人』じゃなくて、

    お兄ちゃんに手伝ってもらいながら『少しずつ』頑張ってるんだっ!”



 ……あの時とは違って、

私はお兄ちゃんに相談してみた。


 ”私が『一人』で出来るようになりたい”って。


 そうしたらお兄ちゃんは、

少し驚いた後に嬉しそうに微笑んで、言ってくれた。



「それなら、

  僕も手伝うから少しずつ頑張っていこう!」


「……?

  でも、お兄ちゃんに手伝ってもらったら……」


「リリー。

  最初から全部『一人』で頑張らなくてもいいんだ」


「……僕たちは『独り』じゃなくて、『二人』なんだから」



 お兄ちゃんは、そう言ってくれたんだ。


 ……だから今も私は、

    お兄ちゃんに手伝ってもらいながら少しずつ頑張ってる。



 ”お買い物は、

少し遠くから見守ってもらいながらだったら、一人で出来るようになったっ!”


 ”ご飯を作ることは、

お兄ちゃんに隣で教えてもらいながら、少しずつ覚えてるっ!”



 まだ一人で『全部』は出来ないけれど、私は焦らず『笑顔』で挑戦できてる。


  ”だって、私は『独り』じゃないから。

    お兄ちゃんが『隣で一緒に』頑張ってくれるからっ……!”




 ーーそうして今日も、私は眠りにつく。


 日はすっかり落ち、

外は『夜の暗闇』に包まれていた。


 そんな暗闇の中でも、私は寒くなかった。


  ”お兄ちゃんの体温が『私』を温めてくれるから”



 私は感じる『温もり』に嬉しくなって、

隣で横になっている『お兄ちゃん』に思わず抱き着いていた。



「……お兄、ちゃんっ……!」



 お兄ちゃんの体を枕にするように、顔をうずめて擦りつける。


 ……お兄ちゃんは、

    そんな私の頭をそっと優しく撫でてくれる。



「リリー……」


「……君がいてくれるから、

    僕は『生きよう』と思えるんだよ」



 深くなっていく暗闇。

その中に『小さな囁き』が響いた。


 頭の方から聞こえてきた『囁き』に、

重くなってきた瞼を少しあげて、私は上を向く。



  ……”お兄ちゃんと目が合った”



 その『瞳』は私を見ていた。

『愛おしそう』に見つめていたんだ。


 ーー深い光が宿る『その瞳』に目を奪われる。



「……僕は、

  ずっと『独り』だった」


「人間たちの想いから生まれた僕……」


「……僕は『普通の人』じゃ、なかったんだ」



 ぼんやりしている『私』に、

お兄ちゃんの穏やかな声は響き続ける。



「……でも、

  『あの方』は教えてくれた」


「リリーも……僕と『同じ』だって」


「僕は、『独り』じゃないって」



 ……? あの、方……?



「『あの方』って……?」


「…………『女神様』、だよ」


「リリーと僕にとっての『母親』……」


「『お母さん』、

   みたいな存在……なんだ」



 ……? 

  ……おかあ、さん……?


 ……私と……お兄、ちゃんの……?



「いつか、リリーも会えるよ」


「……リリーが苦しくて苦しくて、

  どうしようもなくなった時に……」


「『女神様』は必ず、助けに来てくれるから」



 お兄ちゃんの穏やかな声が『子守歌』みたいに響いてくる。


  幼子を寝かしつけるように、

   お兄ちゃんの暖かな手が『私の頭』を優しく撫でている。



 ……私の意識が、ゆっくりと沈んでいく。


  暖かな『暗闇』に優しく包まれて、次第に瞼が落ちていく。



 ーー” 『女神様』は、

       ずっと僕たちを見守ってくれているんだ ”ーー



 落ちてゆく私にも、『その呟き』は確かに届いていた。

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