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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<間章>~ある女神の独り言~
27/51

ーー第27話 「忘れられない罪と痛み」ーー

 ーーかつての世界。

そこには『特別な力』はありませんでした。


 力を持たない『人だけの世界』。


 ……長く続く『その世界』に、

    ある時『災い』が降りかかります。



 それは『地震』でした。

大地の震えが人々に襲いかかります。


 ……何度も何度も、襲いかかりました。



 その『震え』は大地を割り、

底の見えない『黒い裂け目』が現れます。



 人々は恐怖しました。

『自然の力』に。……いえ、『神の力』に。


 終わらない『災いの中』で、

特別な力を持たない人々は『恐れ』に囚われます。


 ……人知の及ばない『災い』を、

    いつしか『神の怒り』と思い込むようになっていたのです。



 だからこそ、

『神の怒り』を鎮めるための『儀式』を考えた。


 ……黒い裂け目を『地獄へ続く穴』と呼び、

    『七つの大罪』という偽りの罪を作り出した。


 そうして最後に免罪符を用意する。

  ” 『大罪を犯した罪人』を裁く ”という名目を、用意した。



 …………そして『贄』を、『地獄』へと落とし続けたのです…………




 『贄』は『力の弱い者』から選ばれました。


 ……老人、女、子供、立場の低い人……

彼ら彼女らは、次々と『地獄』へ落ちていきます。



 ……何の罪も犯していないのに、

    『力が弱い』、ただそれだけで『地獄』へと落とされていくのです……。



 そうして『儀式』が続く中、

『力の弱い者たち』が抱く『想い』は、強く一つにまとまっていきました。


 ーー”生きるために『力』が欲しい ”


  ……そんな『強い願い』に、なっていったのです。



 そして……

『強い願い』が『奇跡』を起こします。



 ーー『女神の誕生』という奇跡を。



 ”力が欲しい”……

……その願いを叶える存在として、『女神』は生まれました。


 だからこそ『想いの力』を『弱い者』へと与えます。



  ……『女神自身の意志』には関係なく、

『贄』となり『地獄』へ向かう、『最も弱い者』へ『力』を与えるのです。



 そうして、

『地獄の底』で『力を持った存在』は生まれました。


 ……『七つの大罪』という『角を持つ人』が。



 しかし慣れない『力』をすぐには扱えず、

『儀式』を止めることは、出来ませんでした。


 ……それでも、

かろうじて『地獄』へ落ちてくる人の『命』を救うことは出来た。



 ーーこうして人は、『地上』と『地下』に別たれていったのです。




 …………それから数年の時が立ち、

       いつしか『災い』は終わっていました…………



 『地獄へ続く穴』はいつの間にか閉じられ、

その『存在』と、そこで行われた『儀式』は忘れられていきます。



 『儀式』が実を結んだのか、

『災い』が自然に終わっていったのか……それは誰にも分かりません。



 ーー”しかし『私』は思うのです。


     その『忌々しい罪』を、忘れてほしくはなかったと”ーー



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーーそして、

さらに数十年、数百年の時が経ち……


 ……『彼ら』は地上へと現れます。



 『忌々しい儀式』を終わらせるために。

……その行い自体を、『無かった』ことにするために。



 先頭に立っていたのは『傲慢』。


 かつて犯した『罪』を忘れ、

日の光の中で、のどかに暮らす『地上の人々』に彼は告げました。



 ーー” 『七つの大罪』を忘れるな。


      忘れているなら思い出させてやろう。


       そのために、僕らは『地獄』から舞い戻った ”ーー



 そんな彼らのことを、

人間は『魔の者たち』……『魔族』と呼びました。


 『七つの大罪』ではなく、『魔族』と呼んだのです。


 ……人間たちは『犯した罪』と共に忘れていました。

『七つの大罪』という、贄を裁くために作り出した『偽りの言葉』さえも。



 だから、

馴染みのある言葉を組み合わせて『名』をつけた。


 角が生え、人知を超えた力を持つ『未知の彼ら』を、

自分達が『理解できる存在』にまで堕とすために。……安心、するために。



 ーー”それは……力を持たない人間たちにとっての、

       せめてもの『抵抗』だったのかもしれません”ーー




 ーーそうして『七人の魔族』は『人間たち』を襲っていく。

罪を犯した者が負うべき『痛み』を……罪人の身体へ刻み付けるように。


 それでも……

   魔族の先頭に立つ『彼の願い』は、あくまで『救い』でした。



 しかし、

その願いを望む『彼』の中には『邪魔な感情』がありました。


 ……それは、『憎悪』です。



 『偽りの罪』を背負わせ、

自分達を地獄に落とした『地上の人間』。


 人間達へ向ける『憎悪の感情』は、

長い時が経つ中でも、確かに語り継がれていたのです。



 ……それほどまでに『強い想い』、だったのです。



 『強い想い』が『七つの大罪の力』を強大にしていった。

……だから彼らは『地上への壁』を壊すことができた。


 ……だからこそ彼らは、

     その『想い』に吞み込まれていきます。



 赤黒く燃え上がる『憎悪』をどうにか消すために、

『救いを願う彼』は地上の『人間たち』を襲っていくのです。


 全てを無かったことにするために。

もう一度、人々が『一つ』になって歩み始めるために。


 ……同じ『痛み』を抱えた者同士で『明るい明日』を掴むために……




 ーーそんな『魔族』の中にも、

人間に対して『憎悪』を抱いていない者がいました。


 先頭に立っていた『傲慢』の背中を、

一歩後ろから、ずっと見つめていた『彼女』……


 ……『色欲』と呼ばれた彼女です。



 彼女が抱く『強い想い』は、

”大切な『彼』……『傲慢』を支えたい!”


 ……ただ、それだけだったのです。



 だからこそ、

彼女自身が『人間』を襲ったことは『一度』しかありません。


 『魔族』が人間を襲っている間、

地上で『彼女』がやっていたことは『花』を育てることです。


 ……自身の『水の力』を使って、

     慈しむ様に大切に育てていたのです。



 彼女が地上で一番長く居た場所は……


 ……暖かい木漏れ日が差す、

緑豊かな『深い森の中』に在る『暗い地下洞窟』の入り口でしたーー。




 ーー”彼女が『洞窟の入り口』で『花』を育てていたのは、

おそらく……疲れて帰ってくる『大切な彼』を想っての行動だったのでしょう”


   ”そして『優しい彼女』だからこそ、

廻る世界でも『自身の願い』を優先しながら、気にかけてしまうのでしょう。


  ……自分によく似た『リリー』という存在を”



 見守ることしかできない『私』は、そう感じていましたーー。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ……少し長くなりましたが、

『私の独り言』を聞いてくださって、ありがとうございます。



 さて、ここからは『物語の後半』です。

引き続き『リリー』の目を借りて、語っていきます。


  あなたが良ければ、最後までお付き合いください。


   ーーそれでは、

       彼女と彼の『約束が灯す明日』を紡いでいきますねーー

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