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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<間章>~ある女神の独り言~
26/51

ーー第26話 「乙女が語る甘い夢」ーー

 ーー”ずっと隣にいる”


 悪夢の始まりに交わされた『二人の約束』は、

長い葛藤と戦いの果てに、『誓いの口づけ』によって新たに結ばれました。



 木漏れ日のような光の中で、

彼は……『彼女』の小さな誓いに応えたのです。


 『救世主』ではなく、『ただの人』としてーー。




 ーー”私は願った通りに、

     お兄ちゃんを『人』へと堕とした”


  ……”そして『私たち』は、

      いつまでも仲良く『二人』で生きていくのっ!”



 ………… ”この『世界』は、これで終わりっ!” …………




 ……かつての『彼女』は言いました。

光が満ちる『洞窟』の中で。……『色欲』と呼ばれる女性に向かって。


 夢見る乙女のような『愛らしい笑顔』で語っていたのです。


 そんな『彼女の笑顔』に、

『色欲』は微笑みながら、尋ねます。



「どうして『傲慢』と『色欲』は現れないの?」



 その問いに、

『彼女』はさらに笑顔を輝かせます。



「……ふふっ! 

  ……知りたい?」


「うん、知りたいな」


「……それはね~」


「『色欲さん』と『傲慢さん』は生きてるからだよっ!」


「二人だけが……

  ……『人形』じゃない、からだよっ!」


「……っ!」



 『彼女』の答えに、

微笑みを浮かべていた『色欲』が固まりました。



「だからーー」


「ーー気付いて、いたのっ……?」


「……!

  ……あっ……えっ、と……」



 思わぬ『色欲』の反応に、

『彼女』は”何か悪いことを言ってしまった”と、自覚します。



「……ごめん、なさいっ……」


「……!

  ……あなたが、謝ることはないのよ」


「……でも……」


「私の方こそ、

  驚かせてしまってごめんなさい」


「……大丈夫だから」


「だから、

  どうしてそう思ったのか……教えて」


「…………うん」



 すこし不安になりながらも『彼女』は、

求められるままに、ぽつりぽつりと語ります。



「なんとなく、だけど……」


「『色欲さん』と『傲慢さん』以外の人は、暖かく……ないんだ」



 そして、

『彼女』は感じたことを素直に『言葉』にしました。



「まるで『人形』みたいに、

  『生きてる温もり』を感じないんだ」


「……なんでなのかは、分からないけれど」



 その言葉の後、『一瞬の沈黙』が二人を包みます。


 そうして静かになった光の中で『彼女』は囁きました。

『色欲』の様子を窺うように、上目遣いで相手を見ながら。



「……だから、ね」


「私にとって、

  二人は『特別』……なんだよ」


「……っ!」



 彼女の言葉に、

『色欲』の瞳が微かに揺れます。



「『傲慢さん』は、

   この『暗い洞窟』を光で満たしてくれる」


「『色欲さん』は、

   今みたいに『私』の話し相手になって……くれる」



 彼女は『瞳』を潤ませながら言いました。



「……だから、

  いつか出会う『大切なお兄ちゃん』のためとはいえ……」


「私に優しくしてくれる『二人』を、

  倒さなくちゃいけない『敵』には……出来ないよ」


「……『私の世界』では、したくない」



 上目遣いをしていた彼女は、

少し頬を染め、はにかみながら呟きます。



「…………

   『大事』、なんだもん」



 その小さな呟きは、

『色欲』へと確かに届きました。



「……ありがとう……」



 はにかむ『彼女の頬』に、

そっと右手を添えながら『色欲』は言います。



「……だから、

  『救世主』に埋め込む『大罪』の中で……」


「『傲慢』と『色欲』だけは、

   戦いじゃなくて『行動』で埋め込む、のね」


「……うんっ! 

  そう、だよっ!」



 添えられた手の温もりを感じるように、

自分の両手を重ねながら『彼女』は言葉を紡ぎます。



「……最後は『私の告白』に、

    お兄ちゃんの『我儘な想い』で応えてもらうの」


「それでね……

  私たちは『約束』するんだ」


「……ずっと隣にいるよ、って」



 そして『彼女』は、

目を閉じながら小さく吐息を漏らして、ゆっくりと呟く。



「……『誓いの口づけ』をしながら、約束……するの」


「その『口づけ』で『私の愛』を伝えて……」


「お兄ちゃんは『堕ちる』……」



 ーーうっとりとした響きを持った『その呟き』は、

     暗い洞窟を満たす『光の中』に、静かに溶けていきましたーー



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーーかつての『彼女』が語った通りに、

『七つの大罪』を全て埋め込まれた『救世主』は『人』へと堕ちました。



 …………しかし、『世界』は終わりません…………



 だって『この世界』は、

  始まりから『狂って』いるから。


 もう、乙女が見る『夢』は……

  『良い夢』ではなく『悪い夢』になってしまったから。


 ……だから、

    『この世界』は続いていく。


   ……『悪夢』となって、続いていくーー。



 ーーしかし、

『悪夢』が続くからこそ、『色欲の願い』は叶うのです。



 『色欲』は願います。

”彼を、『傲慢』を救い上げたい”と。


 『七つの大罪』。

……その名の通り『罪』に塗れて願います。



 …………私が与えてしまった『想いの力』を使って…………


 …………私が彼女に『罪』を背負わせてしまった…………


 …………『七つの大罪』、

        かつて私が『人』に与えた『想いの力』…………




 ーー今はもう、私しか知らない『お話』があります。

すでに忘れられてしまった『人々が犯した罪』が、あるのです。


 彼女と彼、そして『魔族』の……『力』に関係するお話。



 ”力を持たない『人だけの世界』で、

何故『力を持った存在』が生まれたのか……”



 ……それを、これから語ります。


 物語の後半で語られる『彼女ら』の……

『色欲』や『傲慢』、『救世主』の『想い』を感じて欲しいから。



  あなたに憶えていて、ほしいからーー。

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