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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<前編>~二人の約束~
24/51

ーー第24話 「我儘な愛の告白」ーー

 ーーお兄ちゃんは言った。

”私の『想い』を……教えて欲しいって”


 でも私はーー。



「……っ」



 ーー私は、

    『私自身の想い』が少し怖いの。



「リリー、

 怖がらないで」


「……でもっ」


「でも私はっ……想いのままに、

 お兄ちゃんを『人形』に、しちゃったんだよっ……」



 そう。さっきまでの私は……

『溢れる想い』に呑まれて、私自身の『大切な願い』を忘れていた。



「……うん、わかってる」


「だからこそ、

 『暗い想い』も含めて、今のリリーの『全て』を教えて欲しいんだ」


「……っ。

 ……なんでっ……」



 ”そんなことしたら……

   また私は、お兄ちゃんを……縛ってしまうかも、しれないっ……”



「今日までの『悲しみ』を、ここで終わらせるために」


「……っ! 

 終わらせる……」


「そうだよ。

 ここで終わらせて、明日を『二人で笑って』過ごそうっ……!」


「……!

 ……お兄、ちゃんっ……」


「そのために、

 リリーの『想い』を教えて欲しいんだ」


「……だめ、かな」



 暖かい言葉が、私の心に『灯り』をともしてくれる。


 ”お兄ちゃんは優しいな。

だって……悪いことをして落ち込んでる『私』を慰めようとしてくれてる”



 ” ……うん。

    すべて吐き出そう、それで終わらせよう ”


  ” …………終わらせるんだ。

     『灯り』につられて、また燻り始めている『私の独占欲』も ”



「……。

 ……お兄ちゃん、分かったよ」


「……! リリー!」


「『私の想い』を受け止めて、お兄ちゃん」


「うん。

 教えて、リリー」



 そして……私は『告白』する。



「……愛してるよ、お兄ちゃん」



 ーーそして私は、

お兄ちゃんに『口づけ』を、する。



「っ! 

 ……り、りぃ……?」



 唇じゃなくて、

暗闇の中で冷たくなってた『頬』に……した。


 唇から頬へと、お兄ちゃんに『私の温もり』を分けていく。


  勘違いされないように、私の『我儘な愛』を全て込めて。



 ” ……『お兄ちゃん』としてじゃなくて、

   『一人の人』として『愛しているんだよ』って、ちゃんと伝えるために ”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー私は一線を越えた。


  ” ……これで、終わり ”


   暖かくなった『頬』から、唇を離す。



「……リリー」



 お兄ちゃんはそう小さく呟いて、

私の温もりが残る『頬』に、自分の右手をそっと添えた。


 ……目を閉じて、

『温もり』を感じ取るように。


 その『熱』を逃がさないように。


 『自分の中』に溶け込ませるように……。




 ーー暗闇に『静寂』が訪れる。




 誰の声も聞こえない。


 ……響いてくるのは、

  お兄ちゃんと私の『静かな吐息』だけ。


 ”…………

  あの時とは違って、『二人の吐息』は離れていたけれど”




 ……そして『静寂』にも終わりが来る。


  閉じていた『瞳』を静かに開き、

私の目を真っ直ぐ見て『お兄ちゃん』は答えてくれた。



「……僕も、愛しているよ。リリー」



 暗闇の中に『灯り』がともった。

”お兄ちゃんの『想い』が、私の中に灯ったんだ”


 ……その灯りの熱で、私の『頬』が暖かくなる。



「二人で支えあって『明日』を生きていこう」


「……そのために、

 まずは『この闇』を晴らさないと」



 そしてお兄ちゃんは、

  私に『右手』を差し出してくる。


 ……私の温もりを確かめてた、

  その『右手』を差し出しながら、優しく囁く。



「リリー、手伝ってくれるかい?」



 私は『その手』に、

『自分の右手』をそっと添えて、応える。



「うんっ……!」



 ”いつの間にか頬を伝っていた、

   暖かな『涙』を拭って……笑顔で、応えたんだっ”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー添えた私の手を取って、お兄ちゃんは『私』を抱き寄せる。


 片腕で抱きかかえられた私は『温もり』を感じながら、

お兄ちゃんの首に手を回して身体を寄せる。


 ”暖かいっ……”



「いくよ、リリー」


「……しっかりつかまってて」



 その言葉と共に、

お兄ちゃんは白い翼を羽ばたかせて、真上に飛んでいく。


 もう片方の手に『大剣』を握りながら、天を翔けてゆく。



 ーーそして、

  日の光を遮る『土で作られた天井』へと辿り着く。


 私は街を見下ろした。

……『街の中心』にできた『土の盛り上がり』を見下ろして、伝える。



「お兄ちゃんっ! 

 『怠惰』はあそこにいるよっ!」



 お兄ちゃんは、

暗闇の中で迷いなく叫ぶ『私』に驚いてた。



「リリー……?」


「……! 

 もしかして、見えているのっ?」



 ーーそう、『私』には見えていた。

暗闇に慣れてる『私の瞳』は、この程度の『闇』では曇らない。


  ”それに……

    今、私の心には『確かな灯り』があるから”



「うんっ! 

 見えてるよっ!」


「だから信じて、お兄ちゃんっ!」


「……! リリー?」


「『私』を信じて、

  真っ直ぐ『指さす方』へ突っ込んでっ!」


「『私』が叫んだら、

  進む先にある『私たちを包む暗闇』を『その大剣』で切り開いてっ!」


「……わかった。

 信じてるよ、リリー」


「っ……!

 ……ありがとう、お兄ちゃんっ……!」



 お兄ちゃんに気付かれないように、

  私は静かに涙を流す。


   ……また溢れてくる『嬉し涙』の暖かさを感じながら、考える。



 ”分かるんだっ!

   自分の気持ちと向き合えた『今の私』には分かる、『怠惰の力』がっ!”


 ” ……あの『土の壁』は、壊してもすぐに『再生』しちゃうっ!

    だから直っちゃう前に『一瞬』で終わらせないとっ……”



 ーー私は『憤怒の雷』を身に纏う。


 『光』が私を包みこむ。

……私だけじゃない。『お兄ちゃん』も一緒に。


 『確かな灯り』から生まれる『黄色い光』は、

  私を伝って『お兄ちゃん』まで届いていく。


  淡い光が『穏やかな熱』をもって、『私たち』を包んでくーー。



 『黄色い光の熱』を感じながら、

私は『お兄ちゃん』の顔をそっと見る。


 ……お兄ちゃんは『目』を閉じていた。


 ”さっきみたいに、

『私の温もり』を感じるように微笑みながら『目』を閉じていたんだ”



 ーー私は涙で滲む視界の中、

『その微笑み』を胸に刻みながら震える声で呼びかける。



「……お兄ちゃんっ」


「一緒に行こっ……!」



 私の呼びかけが届く。


  お兄ちゃんの閉じた『瞳』がゆっくりと開いていく。



「うん。

  二人で行こう、リリー」



 そして『私』は指をさす。


  そして『私たち』は『光』となって落ちていく。


   ……『暗闇の底』へ、真っ直ぐに落ちていくんだ。



 ーー”明日を照らすために。

    『明るい明日』を二人で一緒に掴むために”ーー

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