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私と一緒に地獄に堕ちて  作者: しーぶる
<前編>~二人の約束~
18/51

ーー第18話 「狂いの先にあるものは」ーー

 ーー暗闇の中で『色欲』は、怯えを遠ざけるために思考する。


 膝を抱えて、自らを抱くように体を丸めながら考える。


 今回の『狂い』について、考える。



 ……『狂い』。


 明らかにあの二人が……『少女』と『救世主』が中心だ。


 あの二人の想いが、この世界を侵食し狂わせ始めている。




 『少女』は……まだ大丈夫。

この子の想いは、この世界を加速させているだけ。


 それは『私の願い』が早く叶うことに繋がるから。



 ……少し焦ったけれど、

私の力を……『色欲の力』を使う時さえ間違えなければ、問題ないはず。



 それに……

今の『この子』がどれだけ狂おうと、『この世界を壊す』ことだけはしないから。


 ーーそれは『大切な人を諦める』……ということだから。



 だから、

この子は『私の願い』の障害にはならない。


 ……どこまでいっても、

『狂いの根元』にあるのは『純粋な想い』でしかないのだから。




 ーー問題は『救世主』の方ね。


 彼の『狂い』は不安定で、はっきりとした原因も分からない。



 分かっているのは、

『癒しの力』を使えない時があること。


 そして憶えているはずのない記憶を……

……『時を戻す前の光景』を一部分だけでも思い出す可能性があること。



 ……『癒しの力』については、二回ともタイミングが同じだった。


 時を戻した世界で、

一度『大罪』を倒した直後に使えなくなっていた。



 ”もしかしたら、

その周回で『大罪』を埋め込まれることが切っ掛け……?”



 ーー分からない。


 ”昔、『この子』と話した世界の仕組みでは、

救世主が力を失うのは『七つの大罪』全てが埋め込まれ、『人に堕ちた』後のはず……”



 そして、『記憶』についても分からない。


 世界の中心である『少女』と、

少女の中に在る『私』、そして彼……『傲慢』以外は、廻る世界で記憶を保てない。



 ……そのはず、なのに。


 ”救世主は憶えてた。

一部分だけでも……。そして、思い出した切っ掛けは『この子への想い』、か……”




 でも……大丈夫なはず。


 これまでは順調だから。

狂う救世主にも、ちゃんと『大罪』は埋め込まれてる。



 ”埋め込まれた『憤怒』に苦しんでいた彼が、

時を戻した後に『元気な姿』でご飯を作っていたのは気になるけれど……”



 ……それでも、大丈夫。


 ”大罪との戦いの中で、私は見たから。

ちゃんと彼は……『この子』だけを守ろうとする『ただの人』へと堕ち始めていた”



 それに救世主は、私たちについて疑問を抱いていないから。


 ”かつて自身が殺したはずの私たちが……

……『七つの大罪』が生き返っていることを、自然に受け入れている”



 ……だから大丈夫。


 まだこの世界は『あの時の少女』が夢を見るように明るく話してくれた、

『人へと堕とす仕組み』で廻っている。



 ” ーー最悪の時は『私の力』で全てを操ればいい。


  そうなってほしくは……ないけれど ”



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ーー思考する中で『色欲』は気付く。


 自分の体が震えていることに。


 ……震えをごまかすように、自身を抱く力を強くする。




 ーー私は怯えていたんだ。

今私を包んでいる『死の暗闇』に対してだけじゃない。


 人が抱く『想いの強さ』に。


 人を救い、狂わせる『想いの力』に。




 『少女』と『救世主』の想いが怖い……

……二人が互いを想い、救われつつも狂っていく姿が怖いの……。



 その想いの先にあるのは、『破滅』だから。


 ーーかつて『私』が通った、そしてこれから歩もうとしている『道』だから。



 その破滅は……

普通の人には理解されないもの。


 狂いの先にあるのは『二人だけの幸せ』。裏を返せば『独善的な我儘』。


 ……二人の想いが重ならなければ『一方的な支配』へと形を変える、危ういもの。




 その『不安』を常に私は抱えている。


 もう私の『大切な人』に……

『傲慢』に、私の声は届かないから。


 ” 『私の願い』を、彼はどう思うだろう ”……って、いつも考えてる。



 彼を苦しめたくない。

……彼が喜ぶ顔が見たい。


 ……叶うならば、彼とずっと一緒にいたかった。


 私はそれだけで良かったのに。


 ”彼の……『光』の傍にいられるのなら、それだけでーー”

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