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大きい熊と小さな姫ちゃんは凸凹コンビ  作者: 藤なごみ


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第十九話 大波乱の大玉転がし

 そして、後半戦最初の競技の大玉転がしの時間となった。

 俺はスタート位置に集まっていたのだが、はっきり言ってこの大玉転がしはどうかと思っていた。

 というのも、円滑な競技運営のためにスタートゴールが分かれているのは理解できる。

 しかし、全てカーブで行われるのだ。

 絶対に、何かしらのトラブルが起きるとしか思えなかった。


「おーっと、いきなり大クラッシュだ! 派手に大玉が、転がっていったぞ!」


 実際に大玉転がしが始まると、もう大玉が制御できなくてとんでもないことになっていた。

 その代わり、実況中継をしている面々はもの凄く盛り上がっており、今も美緒が迫力のある実況をしていた。

 そんな中、遂に俺の出番になった。

 俺の作戦は「命を大事に」だ。

 無理をしては、絶対に駄目だと思った。

 そして、俺は大玉を目の前に置いてスタート位置についた。


 パン!


「「「わー!」」」


 歓声が上がる中、俺たちのレースがスタートした。

 俺は慎重にスタートしたのだが、いきなりクラッシュに巻き込まれた。


「あっ!」


 コケッ、コロコロ。

 ドッシーン!


「ぐはっ!」

「おーっと、C組が大店頭でA組に大玉が突っ込んでいったぞ! A組は巨漢だが、これは防げない!」


 いきなり隣のレーンの大玉を押していた人が転んで、制御不能になった大玉が俺目掛けて吹っ飛んできたのだ。

 しかも斜め後方から大玉が飛んできたから、全く避けようがなかった。

 俺は斜め後方から飛んできた大玉に跳ねられ、派手に転んでしまった。

 しかし、こんな時に限って不運は続いてしまった。


 ゴロゴロゴロ、ドッシーン!


「またかよー!」

「おおっと、今度はB組が転んでまたもやA組の巨漢に突っ込んでいった! A組は二回も跳ねられたぞ!」


 美緒よ、そんなに楽しそうに実況中継しなくてもいいぞ。

 俺は、地面に転がりながらそんなことを思っていた。

 結局何も巻き込まれなかった他のクラスが先着し、俺は結局三位でゴールした。


「ははは、派手にクラッシュしたなあ!」


 そして、膝下から思いっきり出血したのでそのまま救護テントに向かったら、救護担当の瀬川先生がボロボロな俺を見て大笑いしていた。

 とりあえず、土汚れを水で洗い流して簡単に消毒して絆創膏を貼って終了。

 というか、大玉転がしは他にも怪我人続出だったので殆ど俺が自分で治療していた。

 今の絆創膏は高性能だなと、別の意味で関心してしまったのだった。


「見たぞ、派手にクラッシュしたな」


 一輝が、大笑いしながら絆創膏を貼った俺のことを指差していた。

 というか、クラスの連中は殆どが一輝みたいな反応を示していた。

 なんというか、別の意味でクラスが纏まっていた。


「ちょんちょん、ちょんちょん」


 そして姫華よ、俺が怪我するのが珍しいからといって指先で俺の絆創膏を突っつかないの。

 ちなみに、このくらいの怪我なら影響ないだろうとあっさりとリレーメンバーの継続は決まった。

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