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大きい熊と小さな姫ちゃんは凸凹コンビ  作者: 藤なごみ


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第十七話 いよいよスポーツ大会当日

 スポーツ大会当日となり、俺は姫華とともに早朝から高校に向かっていた。

 今朝は珍しく姫華もやる気満々で、いつもよりも早く起きていた。


「姫華、張り切るのはいいが電池切れになるなよ」

「大丈夫、省エネモードで頑張る」


 朝食時に俺はウキウキしている姫華に思わず苦笑してしまったが、姫華自身は玉入れを頑張ればお役御免だ。

 対して、俺は一番最後のクラス対抗リレーにも出ないといけない。

 午前中で全競技が終わるとはいえ、ペース配分には気をつけないとならない。

 ということで、俺と姫華は家を出て学校に向かった。


「熊、自転車に乗せて。体力温存」

「駄目駄目。ひと種目だけなのだから、少しは頑張りなさい」

「えー」


 家の前でいつものやりとりをしつつ、俺たちは学校に到着。

 そのまま、体育館に向かって着替えてからそれぞれの係の準備を始めた。

 俺は道具係なので荷物の運搬と準備を行い、姫華は救護係なので保健室に向かった。

 姫華曰く、自分は病院の常連だから治療はお手のものらしい。

 金髪をポニーテールにして、クラス分けごとの色のハチマキを頭に巻いていた。

 ちなみに、うちのクラスは赤いハチマキだった。

 そのままクラスごとに集まって、ホームルームの開始です。


「皆さん、いよいよスポーツ大会の日になりました。怪我のないように、精一杯頑張りましょう。皆さんの頑張っている姿を、私に見せて下さい」


 如何にも伊東先生らしい挨拶だったけど、これはこれでみんなに気合いが入りました。

 そして、意外と気合の入っていたのが学級委員長の理沙だった。


「えー、私は頑張って負けたのならしかたないと思いますが、最初からやる気がないのは嫌いです。頑張りすぎるなとはいいませんが、皆さん、程々でも頑張りましょう」

「おおー」

「委員長は負けず嫌いだもんな。まあ、程々にってフォローする辺りも委員長らしいが」


 やる気を出している姫華に対して、理沙の幼馴染である健は苦笑しながら理沙のことを見ていた。

 そして、時間になったのでそれぞれが持ち場についた。

 何もなければクラスごとのテントにいていいのだが、俺は道具をたくさん使う前半戦はクラスのところに戻ってこれない。

 姫華も同様らしく、前半戦が救護テントに待機する番だという。

 そして、前半戦最後の競技が姫華が出る玉入れで、後半戦最初の競技が俺の出る大玉転がしだった。


「それでは、これよりスポーツ大会を開催します。第一種目、お玉でピンポン玉運びに参加する方は招集場所に集まって下さい」


 うちのクラスの放送担当は賑やかな美緒がやっていて、いきなりスタートのアナウンスをしていた。

 積極的な美緒らしいなと思いながら、俺は道具を運び始めた。

 そんな感じでスポーツ大会はスタートしたのだが、いきなり第二種目で波乱というかどよめきが起きていた。


「ふぐっ、ふぐ!」

「「「おーと、中々パンを咥えられない人がいるぞ」

「「「おおー」」」


 第二種目がパン食い競争で、紐から洗濯バサミでビニール袋を掴まれているパンを口で取る競技だった。

 うちのクラスからは彩が出ているのだが、中々パンを咥えられないでいたのだ。

 そして、その度に彩がジャンプしているので、偉大すぎる胸も大きく揺れていたのだ。

 男子生徒から思わず歓声が上がっていたが、パンの準備をしている俺としては早く終わって欲しいと思った。

 というか、女子生徒からも羨ましそうな視線が集まっているな。

 なので、彩が最下位になった時点でこっそりと紐を低くした。

 何とか彩は、パンを咥えてゴールに辿り着いたのだった。

 はあ、俺の目の前で彩が胸をバインバインさせるのは刺激が強すぎた。


「おーっと、大きな道具係の顔が真っ赤ですが、何かあったのですかねー」

「ええ、きっと何かあったのでしょう」

「「「あはは!」」」


 おい、美緒に一輝よ、余計なことを言わないように。

 全校生徒が俺のことを見て笑ったから、益々顔が赤くなったじゃないか。

 チラリと彩に視線を向けると、俺にごめんねと手を合わせていた。

 いやいや、謝るのなら俺の方だから。

 そして、救護テントに目を向けると、瀬川先生がニヤニヤと意味ありげな表情を俺に向けていて、姫華がむっとほっぺを膨らませながら思わず自分の胸に手を当てていた。

 俺の周りにいる奴は、本当にどうしようもない奴ばっかりです……

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