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大きい熊と小さな姫ちゃんは凸凹コンビ  作者: 藤なごみ


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第十六話 玉入れ練習

 ゴールデンウイークも部活などで過ごし、五月に入ると大きなイベントが二つ続くことになる。

 一つがスポーツ大会で、全校生徒が必ず何らかの競技に参加しないとならない。

 もう一つが中間テストで、高校に入って初めての定期テストだ。

 授業の進捗も早いし、教科数も中学の頃よりも増えた。

 なので、勉強も頑張ってやらないとならない。


「それでは、うちのクラスの出場予定が決定しました。皆さん、怪我のないように頑張って下さい」


 ゴールデンウィーク明けの朝のホームルームで、理沙の声でスポーツ大会の出場競技が決定した。

 大掛かりな種目はなく、玉入れなどのスポーツが苦手な生徒用の競技もあった。

 俺の場合は大玉転がしとリレーで、リレーに関しては単純に体力測定の五十メートル走のタイムで決まった。


「ふふふ、玉入れのチャンピオンになる」


 そして、姫華はというとほぼ玉入れ一択だった。

 というか、本当に運動能力が皆無なので、クラスでも優先して姫華を玉入れにすると決めていた。

 姫華の場合は、怪我なくスポーツ大会を終えることが何よりの優先事項だった。

 ちなみに、何かしらの役割も割り当てられたが、俺は大道具係で姫華は保健係だった。

 姫華が一番保健係にお世話になりそうだとは、クラスの誰もが言えなかった。


「熊、家に帰ったら玉入れの練習する」


 姫華は俺にやる気を見せていたが、実は祖父母の家にお手玉があったので借りていたのだ。

 玉入れの籠の代わりに虫取り網を使えばいいし、簡単な練習なら家でも出来る。

 逆を言うと、俺の場合はほぼ走る系なので当日一発勝負なところもあった。

 ということで、今度の日曜日の午後に姫華の玉入れの練習に付き合うことになった。


「よーし、頑張るぞ!」

「姫ちゃん、頑張って!」


 日曜日の午後、部活も終えた俺は家の庭で虫取り網を構えていた。

 大道具係の打ち合わせで籠の高さも判明したので、大体の位置に構えた。

 俺の側ではやる気満々な姫華の姿があり、麻衣も近くから応援していた。


「じゃあ麻衣、三分間計ってくれ」

「お兄ちゃん、任せて!」


 本番と同じタイムで練習するので、麻衣にスマホを準備してもらった。

 あと、お手玉も地面に置いてあり、本番に近いシチュエーションにした。


「それでは始めるよ。よーい、スタート!」

「よいしょ、えいえい!」


 ヘロヘロヘロ、ポス。

 ヘロヘロヘロ、ポス。


 あかん、これはあかん。

 姫華の投げたお手玉が、虫取り網の遥か前方で落ちていたのだ。

 というか、俺の身長を超える高さまでお手玉を投げられていなかった。


 ピピピピ。


「姫ちゃん、終了だよ。うーん、ちょっと遠くから投げているかも……」


 姫華の近くにいた麻衣も、思わず苦笑するほどの大惨敗だった。

 麻衣は、俺の近くに落ちたお手玉を拾ってひょいひょいと投げた。


「無理にジャンプして投げなくても、お手玉なら届くよ。姫ちゃんでも、きっと大丈夫だよ」

「リベンジする!」


 姫華は、麻衣の横でお手玉を投げていた。

 要は籠に入れば良いのだから、無理して高く投げる必要はない。

 なので、姫華は麻衣の言ったギリギリ入れる作戦に出た。


「えーっとね、こんな感じだよ」


 麻衣は姫華にお手本を見せていたが、Tシャツで投げているので普通に胸が揺れていた。

 とはいえ、俺は妹の胸に欲情する男ではない。

 姫華は、揺れる要素などないから全く平気だ。


「えい」


 ヘロヘロヘロ、カコン。


「姫ちゃん、いい感じだよ。網の縁に当たっているから、もう少しで入るよ」

「何となく分かってきた」


 ここで、姫華は元来の頭の良さを発揮した。

 微妙に修正を加えていて、力をあまり入れないでお手玉を投げる方法を編み出していた。

 その結果、半々の確率でお手玉を投げることに成功した。


「すげーな。その修正力は正直羨ましい」

「ふふふ、後は本番で微調整すれば完璧」


 正直姫華はクラスのお荷物になるのではと思っていたが、予想以上に頑張っていた。

 後は、当日まで無理をしないことを祈るだけだった。


「じゃあ姫ちゃん、休憩したら勉強教えて」

「任せて、バッチリ教える」


 無事に玉入れの練習も終わったので、姫華と麻衣は中間テストに向けての勉強をすると言ってきた。

 俺も勉強をやらないといけないので、部屋に戻って休憩してから勉強することにした。


「それで、なんでお前らは俺の部屋で勉強しているんだ?」

「「えっ?」」


 姫華と麻衣は、休憩を終えたら当たり前の様に俺の部屋で勉強を始めていた。

 俺がツッコミを入れても、何か問題あるのって表情をしていた。

 まあ、俺の勉強の邪魔をしていないし、俺も教科書を見ながら勉強を始めたのだった。

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