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自分で自創作のカフェ&バーイベントやった話~企業が自創作のコラボカフェやってくれないなら自分でやったら良いじゃない~

全ては友人のこの一言に始まる。


「一日店長出来るお店で、マーティの作品のカフェとかやれば良いじゃん」


友人はアイドル活動をしている子である。

聞けば地下アイドルの子などは、一日店長が出来るお店で「生誕祭」を行う事が多いのだとか。

そしてそのお店は、私でも借りることが出来るのだと言う。


私はその瞬間、絶対に自創作のコラボカフェ(コラボじゃない)をやろうと心に決めた。一気に構想が沸き上がり、あれをやろうこれをやろうと妄想が膨らんだ。

私には俳優の友人がいる。彼に自創作のキャラになって接客してもらうよう頼もう。オリジナルカクテルやオリジナルのスイーツ、オリジナルグッズも作ろう。そして、そして―――



そして、約三年が経った。



やる気ねえのかよ。

自分で自分の体たらくっぷりに頭を抱えた。まずオリジナルのメニューを考え終わってから、友人にキャラをやってくれと頼もうと思っていたのだが、オリジナルのメニュー作りが一向に進まない。この計画も一向に進まない。

駄目人間のお手本である。


そんな折、たまたまその友人と話す機会が巡って来た。

私はメニューを完成させてから話そうという思いと、もう話しちゃおうかなという思いの板挟みにあい、結局、思い切って後者の手を取る事にした。


「あのー……ドリームホテルのコラボカフェみたいなイベントをやりたいと思ってましてー……かくかくしかじかでー……是非オーナーで接客して欲しいんですけどー……」

彼は私の無謀な申し出を

「ああ、いいよ、やりますよ」

と考える間もなく快諾してくれた。

正直、キャラが現実で接客してくれるという目玉がないならこの企画やめようと思っていたので心底嬉しかった。


話した瞬間、じゃあ彼の都合のいい日はいついつだから開催はこの日で……と一気に話が進み、あれよあれよとお店に連絡を取っていた。

三年も動かなかった企画なのに、動き出す時は一瞬だ。

その後お店に打ち合わせに行き、現実的なお金の話し合いを経て、お店を借りる事が確定。話してから一か月経たずで開催が決定した。凄いスピードである。

インフルエンサーでも何でもないので売り上げには貢献出来ないのは目に見えているのに、誰でもお店を貸すと言ってくださった店長さんには頭が上がらない。


その後は怒涛の日々だった。


最初に、自創作について簡単に説明しておく。

ドリームホテルという不思議なホテルに泊まった客が、先住の客達にちょっかいを出されながら、自分の夢を物凄く裏目に出て嫌な感じで叶え、死ぬか発狂する胸糞ホラー作品である。

この作品は現在小説で書いているが、元々は声劇の台本というていで書いていた作品だ。


まず作ったのは告知動画だった。

昔台本で遊んでくださっていた方々が反応してくださってとても嬉しかった。


それからオリジナルメニューの試作でキッチンを占拠つつ、友人にやってもらうオーナーというキャラクターの宣伝写真及びブロマイドを撮りに撮影スタジオへ。

同時に、オーナーからのメッセージビデオも。



特設サイトで予約を募りつつ、特典や販売用のオリジナルグッズの制作も並行。

やる事が多すぎるし、この時期は何を見ても「これはイベントに使えるか」しか考えていなかった。

また、元が声劇台本という事もあり、お友達にお願いしてボイスドラマも作成した。



それに、ホテルという舞台というの活かし、オリジナルブレンドティを用意した。テシエさんというオリジナルブレンドティを作ってくれる紅茶屋さんがあり、お友達に同伴をお願いして「ドリームホテルの紅茶」を作りに行ったのだ。

ソムリエの方が色々な茶葉を出し、作品のイメージを聞いてくださりながらブレンドをしていく。一生分の茶葉嗅いだってくらい嗅ぎに嗅ぎ、そしてとうとう、世界に一つだけの「ドリームホテルで出してるオリジナルブレンド紅茶」を現実世界に召喚する事に成功した。


どんどん三次元に引きずり出される自創作。喜びが止まらない。


そして数々のカフェ系業務用通販食品サイトを漁り、良さそうなものをピックアップして注文しては試食の日々。行ける範囲の店も車でひたすら回り、飲食関係の買い物には終わりがない。

その中でようやくこれをメニューにしようと思うのもと出会い、ドリンクも一つずつスパイスや現役の調合の比率を書き出していって、完成させることが出来た。

私の手元に画像がないのだが、一つすごくよく出来たメニューがある。

作中に傲慢な作家志望の女がこてんぱんにされ、自分の本をビリビリに破かれてシチューの上にトッピングされる、通称「ゴミ本シチュー」という料理が出てくるのだが、どうしてもこれを再現したくて方々調べた。

すると食べられる紙(可食シート、エディブルペーパー。少し甘い)というのを見つけ、更にここにプリントしてくれる会社も見つかり、食べられる紙に件のキャラの本の一節を印刷したうえでビリビリに破ってシチューの上にパラパラ散らした「ゴミ本シチュー」を完成させる事が出来たのだ。

正直滅茶苦茶完成度が高かった。完全に破いた本が載っているようにしか見えないシチュー。持っていったら客席から悲鳴が聞こえたのは私の誇りである。

実物は、後述する#ドリホCBでXを検索するとお客さんが撮ってくれた写真が見られるので是非見て欲しい。


メニュー開発が終わり、持ち帰り可能なメニューの印刷。

これは来てくださった皆様に、記念でお持ち帰り頂けるものでした。


また、当日販売するグッズ及び装飾の十周年記念皿。

本当に偶然なのだが、イベントの数日前がこの作品の十周年だったのだ。本当にホテルの食堂に記念で掲げてあるようなアニバーサリー感を作れて気に入っている。

他にも諸々装飾、グッズ、来店特典を作っていく。

来てくれた人には

・台本

・コースター

・ウェルカムアイシングクッキー(本当はチョコレートにしたかったのだが高すぎた)

・缶バッジ

等など、気が狂ったようにプレゼントを押し付けました。




そうこうしているうちに当日。

数日前から食材の買い出しに次ぐ買い出しをし、持っていくものを検め、いくら準備しても準備したりないくらいの中鬼のような荷物を抱えて車で会場へ。

数時間前に入り、簡易な装飾と料理を二人がかりで手分けしていたら、いつの間にか開店時間。まだ色々やる事はあったが、とにかく強硬開店。後は裏方の私がやるしかない。


そこからはほぼ覚えてない。

というのも、表の接客は友人オーナーに任せ、私は見習いシェフとしてキッチンでひたすら料理をしていたのだ。

表に出ていく暇もないほど忙しくさせてもらったのは有難いのだが、マジでなんもできねえ。次々頂くオーダー、荷物も広げ切れていない中食材をかきわけ調理調理調理……。しかし表では友人オーナーがカクテル作りと接客を一人でしてくれているので、むしろそちらの方が忙しいはず。

お店のバイトの方がヘルプで入ってくれていなかったらどうなっていたことか……。

飲食でのバイト経験はあるのだが、これほど目まぐるしかった事はない。それでも隙を見つけてはそろそろと表に出て、来てくださったお客さんと交流し、オーナーと小芝居をし、本当に楽しい一日を過ごさせてもらいました。


お客さんは声劇時代に遊んでくださった方々ばかりで懐かしく(私は喋れないキャラだったので会話は出来なかったのだが)、友人のお友達やファンの方も来てくださり、大変ありがたい事に予想以上の賑わいとなりました。


終わってみればあっという間。

お客さんからも好評を頂け、全てが報われました。

ほんの一瞬も暇な時はなく、全ては矢のように過ぎて行ってしまった。

それこそ、何か夢でも見ていたのではと思うような、そんな一日だった。



というわけで、一日店長をさせてくれるお店で、ある程度の集客と洒落にならない赤字を覚悟すれば、素人でも自創作のカフェ&バーイベントが出来るという結果であった。

体験としてはあり得ないほど楽しく、お財布としてはあり得ないほどやせ細る。また、恐らく一人では厳しい気がする。

自創作に心底狂っている人にならおすすめする、素晴らしいイベントです。


尚、X(旧Twitter)にて

#ドリホCB

で検索してもらえれば、私のリアルタイムの制作している軌跡であったり、当日のお客さんの投稿が出てくるので是非見て欲しい。


協力してくださった方々、来てくださった方々、本当に何から何まで有難う御座いました。







第二弾やります。


鬼村という作家リアルイベント

鬼村組企画

怪談居酒屋 黄泉平坂四丁目

開催決定


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