第1話: 父の遺志――異世界への誘い
はじめまして!
本作をご覧いただきありがとうございます。
この物語は、主人公が父の遺した謎を追い、異世界で歴史上の英雄たちと共闘する冒険譚です。
織田信長やチンギスハーン、曹操など、アジアの歴史上の英雄たちが登場し、ゲーム世界ならではのダイナミックな戦略バトルが繰り広げられます!
歴史好きの方も、冒険や異世界転移が好きな方も、ぜひ最後までお楽しみください。
応援コメントや評価が、私にとって大きな励みになります!
それでは、物語の始まりをどうぞ!
「湊、お父さん、歴史の話をしてるとき、本当に楽しそうだったよね」
親戚のおばさんが微笑みながら話しかけてくる。
今日は父の三回忌。親戚たちが集まり、故人の思い出を語り合う中で、湊は静かに遺影を見つめていた。
「ええ、そうですね。特に戦国時代の話になると、熱が入ってましたから」
湊も笑みを返すが、内心はどこか複雑だった。
父・結城宗一郎は歴史研究者で、歴史への情熱を惜しみなく注いでいた。湊もそんな父に影響を受け、歴史学と地政学を専攻する道を選んだ。
だが、突然の病で父を失った湊は、心のどこかで空白を抱えたままだった。
法事を終え、湊は父の遺品を整理していた。
ダンボールを一つ開けると、そこには埃をかぶった古いPCゲームのパッケージが入っていた。
「……『エンパイア・コンフリクトIII』」
懐かしいタイトルに、湊の心がざわつく。
父と一緒に遊んだ歴史シミュレーションゲーム。プレイヤーが歴史上の偉人を操り、帝国を築き、戦略を駆使して天下を目指すゲームだ。
「これ、まだ動くのかな……」
湊はパッケージの中から一冊のノートを取り出した。父が書いたものらしいが、そこには見覚えのない言葉が記されていた。
――「宝玉を探せ。真実はそこにある」
「宝玉……?」
湊はノートをめくるが、それ以上の手がかりは見つからない。
だが、心の奥底に眠っていた父との思い出が湧き上がる。
「もう一度、あのゲームをやってみよう。父さんが見ていた世界を知るために」
そう決意した湊は、翌日、大学の研究室に向かった。
研究室の奥に置かれた古びたPCは、父が愛用していたものだった。
性能は低いが、「エンパイア・コンフリクトIII」を動かせる唯一のマシンだ。湊はディスクをセットし、電源を入れる。
「懐かしいな……これでまた、父さんと繋がれる気がする」
ロゴが表示され、タイトル画面が現れる。湊は迷わずスタートボタンを押した。
だが、その瞬間――。
モニターが突然乱れ、不気味な音が響き始めた。
画面には、赤黒い文字でこう表示されていた。
――「宝玉を探せ」――
「なんだこれ……ゲームの演出か?」
湊が戸惑いながらキーボードを叩くと、モニターが一際明るく輝いた。
眩い光に包まれ、湊の身体が宙に浮かぶような感覚に襲われる。
「うわっ……!」
強烈な光とともに、湊の意識は遠のいていった――。
目を覚ました湊は、見知らぬ場所にいた。
広大な平原、そしてその先には巨大な城郭がそびえ立つ。風は冷たく、土の匂いがリアルに鼻を刺す。
「ここ……どこだ?」
周囲を見渡すと、数人の鎧姿の武者たちが馬に乗ってこちらに近づいてくる。
湊は慌てて立ち上がるが、彼らは鋭い目つきで湊を睨みつけた。
「お前、何者だ? ここは織田信長様の領土だぞ。無断で侵入するとは、何者の差し金だ?」
「織田……信長……?」
湊はその名に驚き、声を漏らした。
日本史上最も有名な戦国大名。その名を耳にした瞬間、湊は目の前に広がる景色に、ある可能性を思い描く。
「まさか……俺、ゲームの中にいるのか?」
だが、目の前の武者たちの存在感や冷たい風は、まるで現実そのものだった。湊は困惑しながらも、冷静に状況を把握しようと試みる。
「信長様に会わせてほしい。話したいことがあるんだ」
武者たちは一瞬驚いたような顔を見せたが、一人が馬から降りると湊を鋭く睨みつけた。
「妙な動きをすれば、その場で斬るぞ。ついて来い」
こうして湊は、目の前にそびえる城へと足を向けることになった――。
だが、この世界に待ち受けているのは、ゲームの中の「織田信長」だけではなかった。歴史を超えて集う英雄たち、そして父が遺した「宝玉」の謎が、湊をさらなる冒険へと誘っていくのだった。
続く
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
父の三回忌から始まった湊の物語は、これから大きく動き出します。
次回は、いよいよ織田信長との対面! そして「宝玉」にまつわる謎が少しずつ明らかになります。
本作では、ゲーム世界ならではの戦略や歴史の英雄たちとの交流、そして現実世界に繋がる陰謀を描いていきます。
読んでいて気になる点や感想があれば、ぜひコメント欄で教えてください!
それでは、次話でお会いしましょう!