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追憶観覧車

作者: 王道茶

なろうラジオ大賞6 応募作品。

テーマは「観覧車」

 薄汚れた空気が辺りを覆い鉄屑が地を我が物にする。崩れたコンクリートのビルがただただ行手を制限する。街灯はその身折れてもその光を絶やさず、夜目すらも喰らう道を綺麗に灯してくれる。拾った情報を頼りに闇へと進むとそこには観覧車があった。


「これが追憶観覧車…スゴく大きい…!」


その背丈は僕を軽く凌駕する。周りのビルが崩れているためか、より観覧車の特別さを記憶づける。ゴンドラの中は見えないようになっており、不気味に…だが、綺麗に光り、ゆったりと円を描く。


 追憶観覧車に近づくと目が特徴的な受付がおり、こちらに気付くとその丸い足を使って寄ってくる。


「ガガ…ジョウシャリョウハ、オモチデショウカ?」

「ん……。持ってけ…」


ポケットからそこらで盗んだ握りすぎて手汗のついたスクラップを渡すとタシカニ、タシカニと、上機嫌そうだ。僕も気分良くふふん!と鼻を鳴らした。受付はスクラップを内臓容器に入れると、ちょうど周り着いた白色のゴンドラへと案内する。奇妙な光に引き込まれて僕は中へと入った。受付はゴンドラのドアを閉めると同時に—。


「ガ…イッテラッシャイ。イッテラッシャイ。ボッチャン…ガビ」


と言い残し、ゴンドラは上へと上がっていく。


 ゴンドラが上がると内部に霧のようなものがたちこみ、触れられないが、まるで液体のようにゴンドラの中を満たしていく。そこに触れると感覚が麻痺して、体が動かなくなるようだ。


「これは…う…あぁ…」


意識が朦朧とする。足が動かせない。座席に深く凭れ掛かる。似たような感覚を何処かで—。思考するには遅く次第に体が動かなくなり、意識を失った。


 気づくと見知らぬ部屋。部屋はガラクタが散らかっており、耳を澄ますと声のようなものが複数聞こえてくる。差し込んだ光がカーテンの合間から膨れ上がっている布団を照らす。


(誰かいる…!?)


咄嗟に身を隠せる…わけでもない机の下に入り込む。ここはどこだと戸惑いつつも、今ここに自分が居るというのはよくない事だと感じ取れる。なぜなら、この場所は明らかに’違う’からだ。


「ちょっとー!早く起きないと遅刻するわよー!」


急に聞こえた声に体がビクッと震える。その声の後に布団が蠢き、また体がビクッと震える。布団は数秒蠢くとピッタリと止まり、唐突にその中を露わにする。


そこには全く同じ僕がいた—。


総合評価100pt以上になれば続きを書きます。

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