身から出た錆
目が覚めると、僕は医務室の椅子にもたれかかっていた。
一瞬戸惑い、ふと横を見るとアイシャがベットで寝ていた。
呼吸はしてる、目立った外傷もない。
「よっかったぁ......」
あいつが、あとは任せろって言ってたな。
ちゃんとアイシャを運んでくれたんだ。
「呼んだか??」
「うわぁ!!!」
頭の中で今、確かにあいつの声が聞こえた。
「あいつって呼び方やめろよな??」
「一応命の恩人だぞ???」
「悪かった.......」
「わかればいいんだ」
「そうだ、おま......あなたは一体誰なんだ?」
「どうして僕の頭の中にいるんだ??」
「ふむ、なるほどな」
「少しばかり事情があってだな、俺からは喋ることはできない」
「知りたきゃ自分で調べるんだな」
「そう...なのか」
ぶっちゃけ、こいつが誰であろうがあまり気にならない。
「こいつって言うなって言ってんだろうが」
!!!!!!
「そうだ!!もしかして僕が思ってること全部わかんのか!?」
「そりゃそうだろ、なにせお前の中にいるんだからな」
「ふざけるな!!!人権の侵害だ!!!」
「今すぐ僕の中からでてけぇ!!!!」
「おいおい忘れちゃいないだろうな??」
「誰のお陰で助かったのか」
そうだった。
よくわからないが一応この人は僕達の命の恩人なのだ。
「へへぇ」
「苦しゅうない」
「そうだ、そろそろそいつ目が覚めるぞ」
「あと、テロリスト様が盛大に暴れたせいで警察やら軍の人間たちが
わんさかきてやがる」
「たぶん、いまごろ残党の処理でもしてるんだろう」
「さっきからかすかな魔力が感じられる」
「そして、ひときわでかい魔力の持ち主もいるな」
「そいつらがこっちに向かってきてる」
「お前らの戦闘の魔力残滓をかんじとりやがったな」
「ど、どうしよう!」
「まぁ落ち着けよ」
「お前は俺のこととかどでかい魔法をぶっ放したとかは伏せて、
起きたことをそのまま伝えりゃいい」
「わ、わかった」
「んっ......」
「アイシャ!!!」
「大丈夫か?!なにか内傷とかないか??」
「えと、大丈夫です。お兄様」
「そうだ!テロリストたちは!!」
「軍の人たちや警察が来てくれたからもう大丈夫だ」
「そうなんですか.....よかったです」
「ゲイルと名乗っていた主犯の人は!」
「それも倒された」
「ほんとですか.....」
「悔しいです....わたし、手も足も出ませんでした」
そう落ち込むアイシャの頭に僕は手を置き、
「アイシャはよく頑張ったよ、アイシャが動いてなかったらもっと負傷者が出ていたはずだ」
「はい.......」
すると、医務室のドアがノックされた。
「はい、なんでしょうか」
僕がそう答える。
「われわれは軍のものです」
「この学園の生徒ですか?」
「はい、そうです。もう一人います」
「その子が怪我をしてしまったので、医務室で休ませていたんです」
「わかりました」
軍の人たちがドアを開ける。
「失礼します、私は軍部第4師団副団長のジャンヌ・セイラといいます」
「えっと、テルアといいます。こっちが妹のアイシャです」
「つかぬことをお聞きしますが、この付近で大規模な魔力残滓が検知されました」
「なにか知っていることはありませんか?」
「えっと、僕の妹が人質に取られてしまって、僕が追いかけていたらあなたがいうその場所に倒れていたんです」
「そうですか、他に誰か見ませんでした?」
「いえ、僕は見なかったです」
「わかりました」
「すみませんがもう一度お名前を教えていただいてもいいですか?」
「はい、僕がテルア・エイデスで、こっちがアイシャ・エイデスです」
「!!!エイデス家の方々でしたか」
「貴方がたのお父様とお話したことがあります」
「それはもう威厳に満ちていて素晴らしく.....」
一人語りでも始めるのかと思ったがすぐに我に返り、
「失礼しました」
「では、私達は調査に移りますので失礼いたします」
「はい、父に伝えておきますね」
「ぜひとも!!」
なぜかうきうきで彼女はでていった。
すると、頭の中で声がする。
「なぁ、なんで自分でやっつけたって言わなかったんだ?」
「目立ちたくないからだよ」
「ふーん、そうなのか。変なやつだな、お前は」
「うるせぇ」
「まぁ、んなことはどうでもいいんだよ」
「お前、多分勘付かれたぞ??」
「......え???」




