ゲイルの過去
「ぐっ....!」
油断した!
私ともあろうものが。
体中が痛い、切り裂かれて場所がズキズキと痛む。
こんなところで負けるのか?
やっぱり私には才能がなかったのか?
終わるのか.....なんの役にもたてずに....
救ってもらったくせに....
いや...こんなところで終わるわけには行かない!!
彼女の受けた痛みはもっと痛い!
彼女のためにも、この腐った世界に一矢報いなければならない!!
私には幼馴染がいた。
もともと親同士の仲良く、小さい頃は頻繁に遊ぶことが多かった。
いつも元気な子で、落ちこぼれだった当時の私の唯一の宝だった。
私が学園でいじめられていたときも、彼女はすぐに助けに来てくれた。
でも....相手が悪かった。
相手は有名で名のある商会の一人息子で、その取り巻きも商会の幹部の
子どもたちであった。
そして....あの事件が起こった....
いつも通りに私がいじめられていて、また彼女が助けに来てくれた。
すると、大将のやつが口を開いた。
「お前の親、今度うちの商会と取引するらしいじゃん」
「俺が親に告げ口をしてとりひきをやめさせたらどうなるかなぁ?」
すると彼女の顔が強張った。
「取引を中止にさせたくなかったら、放課後に体育倉庫前集合な?」
そういって、そいつらは去っていった。
彼女はいつも通りなら僕に笑いかけながら手を貸してくれるのだが、
ただただ怯えていた。
「あんな奴等に言われたことなんて気にしちゃだめだよ!!」
「う、うん。ありがとね....」
とぎこちない笑顔を作って僕に返してきた。
そして放課後になり、一緒に帰ろうと思って教室を覗いたら彼女は
すでにいなかった。
いつもは迎えに来てくれるというのに。
そう考えていると、先程の会話を思い出した。
「そういえばあいつが体育倉庫前集合とか言ってたよな....」
もしかしてそこにむかったのだろうか。
あいつらの言うことなんて気にしなきゃいいのに、
そう思いつつ私は心配になってその場所に向かった。
倉庫には鍵がかかっており、開けることはできなかった。
ただ、中から少しだけ声が聞こえてくる。
「っ!やめて!!」
「おら!抵抗すんな!!」
「いっちゃってください!」
と声が聞こえてくる。
聞こえてきたのは間違いなく彼女とあいつらの声。
なんだ?
言った田舎で何をしているんだろうか。
一刻も早く彼女の元に向かいたかったが、鍵が開けれないので
私はそこに立ち尽くすしかなかった。
十分くらい経った頃だろう、鍵が開き、中からあいつらが出てくる。
すると扉の前にいた僕に気づき、話しかけてきた。
「おー!お前いたんだ!」
「ありがとな!お前の幼馴染最高だったわ!!」
そう言ってくる。
なんだ?何が最高だったんだ??
とてつもなく嫌な予感がする。
僕は急いで中にはいり、彼女を探す。
「.....え?」
彼女はいた。
でもなぜか着衣がとても乱れていた。
「あ....あ」
その光景を見て、私は何が起こったのか理解してしまった。
「大丈夫か!」
そう言って私は彼女に駆け寄る。
ただ彼女はそんな僕を近づかせまいと声を荒げる。
「...みないで!!」
そういって私から逃げるようにして走り出し、倉庫にしまってある
試合用の鉄剣を手にする。
「ごめんなさい....お父さん....お母さん」
そう言って彼女は手にしていた剣を自分の首に突き刺した。
「....え?」
鮮血が飛び散り、彼女は力なく倒れた。
「あ...あ....あ」
なんでだ?なんでこうなった??
「うわ、死にやがったこいつ」
「まだ遊びたりないのによー」
こいつらはなにをいってるんだ??
人が死んだんだぞ?
頭が真っ白になる。
だた湧き上がってくる感情は憎悪だ。
「殺してやるー!!」
そう言って私は飛びかかった。
だが、私が勝てるはずもなかった....
地に伏し、殴られ、蹴られる。
「おら!お前も死ねよ!」
痛みで意識が遠くなってきた。
それでも、私の心は折れなかった。
権力があれば何をしても許されるのか....力があれば他人から奪っていいのか....
だったら、強くなりたい!強くなって、こんな奴等を消したい!!
そう思えど、現実はそんなに甘くない。
段々と意識が遠ざかっていく。
あぁ.....もうだめかな....
そう思って目を閉じようとしたとき、
「お前、いい負のエネルギーをもってんじゃん」
その言葉と同時に、取り巻きの奴等の首が飛んだ。
それは一瞬の出来事だった。
あいつ....いや、あのお方が現れたのは。
あのお方が振り向き、私に問う。
「お前はいいものを持ってる、俺にところに来いよ」
そう言って手を差し伸べてきた。
「あなたのところに行けば、強くなれますか...」
「あぁ、こんなふうにな」
そう言って、何が起きたかわからずに立ち尽くしている大将に、
手をかざして一振する。
すると、大将の体が面白いくらいに真っ二つになった。
「な?この力があればお前はもう失うことはない」
「いまからお前が奪う側だ」
私は自然と笑みがこぼれた。
この力があれば、私は何も恐れることはない!
勢いのまま、あのお方の手を取った。




