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失格者の英雄譚  作者: テルアム


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平穏は当たり前ではない

舞踏会が終わり、いつもの学園生活が

始まった。


いつも通りに授業を受け、実技でボコられ、いつも通りに街を練り歩く。


そんな日々が続いた。


ずっとこんな毎日だったらいいなと思う


やはり平穏が一番なのだ。


休日には久しぶりにアイシャとアリアとお出かけに行った。


家族との時間も大事にしなきゃね。


こんな幸せな日々が続いていくのだろう、その時の僕はそう思っていた。


次の日の実技の授業中、放送が入った。


「不具合により、裏門側の結界が少し

歪んでしまっています。

現在原因を調査中ですので、

一般生徒は立ち入らないでください」


めずらしいな。


この学園には外部の人の侵入を防ぐために強力な結界がはられている。


めちゃめちゃ魔法の扱いに長けている国の人がはってくれたもので、

不具合なんて滅多に起きない。


とよそ見をしていたら相手に木剣で

頭をどつかれ、僕はその場にうずくまるのだった。


そして残すところあと1時間という

授業を受けていたら、ドアを蹴破り、

2人の男が入ってきた。


1人は銃を持っていて、もう1人の男は

剣を持っている。


すると剣を持っている方の男が怒鳴る。


「この剣は魔道具だ!痛い思いしたくなければ大人しくしろ!


魔道具だって?なんでそんなものを持っているんだ?


ややこしいが魔道具と魔法具は

全く違う。


魔法具は魔法を発動したり、自らを強化するものだが魔道具は魔、つまり神とは反対のもので神の恩恵などを弱めたり、強力なものであれば完全に封じ込めることもできてしまう危険な代物だ。


所持することはもちろん禁じられていて、見つかれば処刑対象だ。


ここは下手に動くべきじゃない。


そう思って僕はとっさに机の下に隠れた。


…..あぶねーまたちびるところだった。


言葉通り大人しくしていればなにもしてこないだろう。


そう思っていたらクラスの委員長が、


「ここは神聖なアルカナ学園ですよ!

 部外者は立ち退きなさい!


おい、なんで刺激するんだよぉぉ!!


「あぁ?なんだ嬢ちゃん。そんなに痛い目にあいてぇのか?!」


「貴方がた暴漢ごときに好き勝手させるわけにはいきませんわ!」


「威勢がいいねぇ、じゃあやってみろや!」

と男が剣を片手に突っ込んでゆく。


「くらいなさい!氷系初級魔法アイスショット!」

無数の氷の礫が暴漢を襲う。


しかし暴漢はこなれた動きでそれらを全てかわした。


「なっ..!!」


今度は男が片手を突き出し、

「光系初級魔法フラッシュアウト!」


女子生徒の眼の前で閃光がほとばしる。


「くぅ!見えませんわ!」


それは攻撃ではなく、目潰しだった。


そして男がその勢いのまま突っ込んでいき、

「残念だったな!俺は元軍人で実践経験は豊富なんだよ!」


そう言うとがら空きの女子生徒の腹に剣を突き立てた。


「うぁぁ!!!」

女子生徒が痛みに悶絶し、絶叫する。


「感謝しろよ?ちゃんと死なねぇところ狙ってやったんだからよー」


女子生徒は痛みに耐えきれず、気絶してしまった。


「お前たちもこうなりたくなければ大人しくしとけよ!」


そう言うと男は銃を持っている男に命令する。


「見張りは頼んだ、俺はゲイル様に報告に行ってくる。

 あのお方は今頃特進クラスを制圧しているだろうしな」

そう言ってその場をあとにした。


特進クラスだと?アイシャのクラスじゃないか!


アイシャは正義感が強い、絶対にクラスのみんなを助けようと動くはずだ。


アイシャは無事なのか?


アイシャのもとに一刻も早く行きたい!


こいつらは魔道具を所持している、きっと親玉は強力な魔道具を

所持しているのだろう。


だとしたらアイシャが危ない!

もしアイシャになにかあったら僕は一生後悔する。


なんでこんなにあの子の周りは物騒なのだ。

僕は平穏で幸せに過ごしていてほしいだけなのに!


そんな恨み辛みを言っていてもしょうがない。


まずは見張りの男をなんとかしなければ。


やつが持ってる銃もきっと魔道具だろう。


殺傷能力はこちらのほうが高い、それにさっきの一件でみんな

怯えてすっかり大人しくなってしまってる。


どうすればいい?どうすれば!!


そう考えていると隠れていたライルが出てきて、僕の方にバレないように

移動して囁く。


「妹さんが気になるんだろー?ここは俺に任せてくれ」

と言ってきた。


そういえば僕はこいつがどれくらいの強さなのか知らない、

前の模擬戦は寝込んでたし。


「お前に倒すことができるのか?」

と僕が問う。


「あぁ、多分大丈夫」


本当に大丈夫なのか?

これでもしライルまで殺されたら僕はどうすればいい?


なんて焦りからかネガティブな思考がでてくる。


いや、違うだろ!

ライルは僕が唯一友達と認めた男だ。

間違えた、そのうちの一人だ!


ここで信じなくてどうする!


するとライルが見張りに近づき、何かを話しかけている。


まぁまさかよくありがちな「トイレに行きたいですー」

なんてことは言っていないだろう。


すると見張りが何かを喋ろうとしたその隙をつき、


「闇系中級魔法ナイトスリープ」

と素早く詠唱した。


見張りの男が眠るようにその場に倒れる。


「よし、うまくいったな」


「死んでないよな?」


「魔法で眠らせただけだ、今頃いい夢でも見ているんだろう」


そこんところはよくわからないが、なにはともあれこれで外に出れる。


「ていうかお前闇魔法使えるのか」


前に本で読んだのだが、闇魔法は神の恩恵で一番強い力を持つ

光魔法の対局の存在なので使えるものは希少らしい。


そんなやつがまさか身近にいたとは。


「なぜか俺は闇魔法のほうがあっているんだよな」


「それはまた特異体質だな」


「俺とここで駄弁ってる場合じゃないんだろ?早く妹さんのところに

 向かってやれよ」


そうだ、ここで時間を浪費している場合ではない。


「あぁそうだな、ありがとな」


僕はそう言って教室を飛び出して特進クラスの方へ向かった。

待っててくれ!アイシャ!


飛び出していったテルアの背中を見つめ、ライルは


「やっぱあいつおもしれぇな」

と呟いた。




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