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失格者の英雄譚  作者: テルアム


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15/24

わざとじゃないんです!!

舞踏会もそろそろ終わりに差し掛かり、ついにダンスの時間となった。


僕が最初に踊る相手はアイシャだ。


「よろしくお願いします、お兄様」

とアイシャが一礼してきた。


あらためてみると本当に美人である。


「そのドレス、よく似合っているよ」

と僕が言うと


「あ、ありがとうございます...」

と少し恥ずかしそうにして目を伏せた。


当たり前のことを言っただけなんだがな。


アイシャはこういう褒め言葉は普段散々言われてるし、てっきり慣れてると

思っていたが実はそうでもないらしい。


しかし、恥ずかしがっている姿もめっちゃかわいいな。


そして曲が流れ、ダンスが始まった。


僕はアリアに教わったとおりに相手に合わせながらステップを踏む。


よしよし、今のところは順調だな。


まあ一週間毎日2.3時間かけて練習したんだ。


うぅ...思い出すだけでお腹が痛くなる.....


そんなこんなで一曲目が終わった。


ふぅ、なんとかミスをせずに終えることができた。


アイシャの足でも踏もうもんなら兄として失格だ。


流石に家族にまで失格者と言われたくはない。


というかアイシャが完璧過ぎただけなんですけどね....


そして、まもなく二曲目が始まる。


次の相手はアリアだ。


彼女は僕の前に来ると、


「先程のアイシャ様とのダンス、お見事でした」

と褒めてくれた。


おぉ!僕は今生まれて始めてアリアに褒められたかもしれない。


なんか涙がでてきそうだ。


「なので私とのダンスはレベルを少し上げさせてもらいます」


なにを言っているんだこの人は。


するとアリアが


「ですので、しっかりリードしてくださいね?」

と少しイタズラっぽい顔で微笑んだ。


!?これには僕もかなりびっくりした。


なぜなら僕は今まで一度もアリアが笑っているところを

見たことがなかったからだ。


そして、めちゃくちゃ可愛かった。


アリアはとても顔が整っているので、無愛想じゃなければもっと人気とかでそうだなと思ったことが何度もある。


不覚にも僕はドキッとしてしまった。


「テルア様?少し顔がお赤いようですがお熱でもございますか?」

とキョトンとした顔で聞いてくる。


お前のせいじゃボケ......


そして、二曲目が始まった。


するとアリアは急にステップを加速させ、縦横無尽に僕の周りを

駆け回る。


「ちょっとアリアさん!?いくらなんでもレベルを

 上げすぎではないですかい!?」


「これくらいについてこられなくてどうするんですか」

と無表情で返されてしまった。


あれ?さっきのデレはどこにいったのかな?


なんて思いながら僕は必死にアリアに合わせてステップを踏む。


そして、二曲目が終わった。


「はぁはぁ....疲れた...」

なんて僕が小言を零すと、


「あのペースにもついてこれたとは、少し見直しました」


どうやら見直されたらしい。


「そりゃどうも...」

と僕が返すと、


「それでは失礼します」

と言って去っていった。


なんなんだほんとうに。


そして、舞踏会も最後の曲となった。


最後の曲の相手はネリアだ。


僕は眼の前にいるあからさまにド緊張してそうなネリアに話しかける。



「よろしくな、ネリア」


「は、はい!よろしくお願いします!!」


おぉなんか気合入ってるな。


そうして最後の曲が始まった。


ちなみにネリアは動きがとてもカチコチである。


......少し面白い。


なんて思っていると、ネリアが僕の足を踏んでしまった。


ネリアはその勢いのまま僕に向かって倒れかかってくる。


「おっと」


僕は倒れてきたネリアを抱きかかえた。


すると彼女は顔を真っ赤にして、


「あ、あのすみません!!」

と勢いよく離れた。


何かとは言わないが僕の手には柔らかな感触が残っている。


初めて触ったけどマシュマロみたいだなぁ。

と頭の中で思いつつ、


「このくらい大丈夫だよ」

と返しておいた。


そう、これが紳士の対応である。


その後は特に何もなく、無事に終わった。


ダンスが終わるとネリアはこちらを見向きもせずに走って逃げていってしまった


最後に、ハーデス家の当主が御礼の言葉を述べ、舞踏会は閉幕した。


ふぅ、やっと終わった。


よし、帰るか。

とアリアとアイシャを探しに行こうとした時、僕の眼の前に人が現れた。


認識阻害のかかった魔法具の仮面を身に着けており、

顔が全く見えない。


「あの、僕に何か用ですか?」

と問いかけると


「君は神を信じるかい?」

と言われた。


声は男なのか女なのかわからない。


名前も知らない怪しげな人と会話をするのは少し抵抗があったが、


「信じるか信じないだったら僕はあまり信じてはいないですね」

と答える。


「ふふっ、君はやはり面白いな。再び会えるときが楽しみだ」

と言うとその男は去って行ってしまった。


なんだったんだ一体。


そうして、舞踏会は終わった。






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