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エンビースターズ ~そのアイドルは残り火でヤニを吸う~  作者: 白沼 雄作
第二章 その偽善者は歩み続ける。聖者の行進を。
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終話 青が残したもの

 街外れにある、廃墟の建物。


「この度は、任務の失敗に限らず、数多くの仲間を犠牲にしてしまったこと、深くお詫び申し上げます」


 【トラオム・ワーレン】の第二幹部――タウルスが、赤髪の女性に頭を下げていた。


「全ての責任は、私にあります……何なりと、罰を与えてください……ボス」


 その赤髪の女性こそ、トラオムのボスである人物だ。


「そう重く考えるな、昌己まさき。〔ロストファルベ〕――いや、今は〔ブラオ〕と呼んだ方がいいのか……何がともあれ、奴と戦って生還できただけで充分だ。私も勝てなかった相手だ……仕方のないことさ。強いて罰を与えるとすれば……そうだな…………」


 女性は少し考えた後、こう提案を出した。


「私と二人きりの時は、名前で呼んでくれ」

「は、はぁ……それだけで、よろしいのでしょうか? と言うより、罰とは思えませんが」

「なんだ、物足りないか? 特別にカズミンって呼ばせてやっても――」

「いえ! 結構でございます! ()()()様!」

「キッパリ断られると、それはそれでショックだなぁ…………」


 カズミと呼ばれた、トラオムのボスは意外にもお茶目な性格の女性であった。


「まぁいい。お前も動けない体を引き摺ってここまで来たんだろ? もう帰って寝てくれ」

「その前に、一つだけ……聞いてもよろしいでしょうか?」

「どうした急に? 私のスリーサイズなら、上から――」

「その情報は不要でございます!」

「しょぼ~ん…………」

「ファルベ・プロダクションに入ったばかりの護衛についてです。その人物――赤沼和人という名前なのですが…………」


 タウルス――昌己は躊躇うも、息を呑んで聞くことに。





「カズミ様と苗字が一緒なのは…………偶然なのでしょうか?」





   ※



 聖也との戦闘から、早三日。

 和人はマンションの管理人である楓と一緒に、ある一室を訪れていた。


「申し訳ございません、和人様。聖也さんが――聖也様が養弟おとうとだと知っていれば、入居時に教えることが出来たのですが…………」

「気にしないでください。住民のプライバシーを守るのは、当然のことですから」


 二人は、聖也が住んでいた部屋に来ていたのだ。

 場所は三○三号室。偶然なのか、聖也が意図的に選んだのか、花子の部屋の真下にあった。

 しかし、部屋の中は既に蛻の空になっていた。

 ――和人宛の置き手紙があることを除いて。


「あの野郎……俺が此処に来ることは想定済みってか?」


 和人は土足のまま部屋の中に入り、置き手紙の内容を確認する。


『和人なら、一週間以内に此処に辿り着くと考えたので、この手紙を残しておく。

 花子さんには申し訳ないと思っているけど、僕はヘアクラーズを辞めるつもりはない。引き続き、銀鼠壱の暗殺を目標に活動を続ける。勝手なのはわかっているが、花子さんを和人に任せたい』


「……ほんと、勝手な野郎だ」


 そう呟いた和人。

 手紙にはまだ続きがある。


『和人がアイドルの護衛を続けていく上で注意してほしいことが二つある』

「?」

『一つ目、トラオムに深入りするな。奴らも我々ヘアクラーズと同様、和人を勧誘したがっている』

「は? トラオムが?」


(ヘアクラーズと違って、完全に対立している組織が? アイドル護衛をしている俺を?)


『二つ目、花子さんの護衛である湊零に気をつけろ』

「!?」


 この文字に、和人の息が止まる。

 聖也が、瑛土と同じ警告をしてきたからだ。

 さらに瑛土の時と異なり、零の正体についても書かれていた。


『改心して善人になったのかもしれないが、油断はできない。湊零の正体は※※※※。※※※の※※だ』


「…………冗談だろ?」




第二章 完



※予め、長文の後書きになりますが、『重要な告知』もあります。見苦しい表明もあって申し訳御座いませんが、最後まで目を通していただけると幸いです※


 ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。

 第二章を書き終えることが出来た! ……と素直に喜べないのが本心です。

 快調なスタートを切った第一章に対し、第二章は評価が全く付かず、落ち込む日々が続いていました。

 第二章は第一章と比較して反省点が多かったです。

 第一章の時と比べて更新ペースが落ちたのはもちろん、第二章が読者の需要に合わないものに仕上がってしまったのが伸びなかった原因と考えています。(あくまで推測ですが、読者的には男同士のガチガチバトルより、涼香が他アイドルを巻き込んでアホやる方を望んでいるんじゃないかと考えています。今更路線変更するわけにもいきませんが……)

 また、第二章でピックアップした人物である、青住聖也についての情報が少ない――というより説得力がなかったのも原因と考えています。実際、キャラに彼の過去を話させるだけが多かったので……


 そこで、予定を大きく早めて、聖也を主人公にした外伝の連載を始めます!

 本当は本編の折り返し時点で始めるつもりでしたが、聖也という人物を早めに理解した方が読みやすいと思い、今月から始めます!! 

 もちろん、こちらをメインに書くことには変わりありません。


 本編は第三章に突入しますが、外伝を書く関係と、地元へ帰省する大切な用事があるため、7/19頃に再開する予定です。

 今後もめげずに書き続けたいと思うので、よろしくお願い致します!!

 また、少しでも面白いと感じたら、ブクマ、感想、いいねをしていただけると、励みになります!!

 

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