突発的な感情
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僕にはその女が自分が知らない”性という世界の裏口”のように感じたのだろうか、電車の事など忘れ、
彼女の後をつけて行った。次第に周りは酒飲みたちの笑い声、ネオンの明かりに包まれ、
これもまた僕には大きな大人の色気というか、”大人の世界の象徴”のように見えた。
ただここからは”性の匂い”がすることはなく、それが僕には不思議だった。
女はある喫茶店に入って行った。当然僕も後を追う。
中は狭く、おじいちゃんが細々とやっている喫茶店を連想させた。
「君、ここで何してるの❓」
突然後ろから肩を突かれ、声をかけられた。あまりにも突然だったので、喋れないでいると向こうから一方的に
話を続け始めた。
「てか君私のことつけてたでしょ、怖いなー、てかキモ❗️同じ学校の子じゃなかったら警察読んでたかも」
一人で色々物物呟きはじめるこの女。その大半が僕を馬鹿にしてくるような内容だったので思わず口が開いた。
「君こそどうなんだよ、変な服きてさ、知らないおっさんと腕組んで歩いてさ、それってなんて言うか知ってる❓
援交だよ、援交。恥を知れよ、恥を❗️……」
何を考え、何のために怒鳴っているのかわからない。馬鹿にされたから言い返そうと思ったのに。
援交してるのでは、と彼女を見たとき少し思った。ただそれだけなのに僕は訳もわからず、
彼女が涙を浮かばせるまで罵声を浴びせさせた。
声を張りすぎて喉が痛いと感じ始めた頃には彼女は店から出ていき、中年おじさんも後を追いかけ、
僕も居られなくなって店を出た。