ミッション ブリーフィング
俺は一軒の平屋の前に立っている。
やらなければならないことは分かっていた。
今回のターゲットは、この建物内に潜んでいる金髪の豚野郎だ。こいつは最近、俺たちの組織を裏切った。
ブツの仕入れを値切り、それを通常よりも高い価格で売りさばいている。ボスの許可なしで、だ。余分な利益は当然ちょろまかして私腹を肥やす――とまあ、ここまではよくいる裏切り者の一人でしかなかったのだが……。
ところが、ヤツの顧客の大半が貧乏人のジャンキーだったもんで、それが事態をややこしくしてしまった。
想像してほしい。文無しのヤク中から無理に金を巻き上げたら、いったい何が起こるのかを――答えは明白だった。恐喝、空き巣、強盗、殺人……。ジャンキーどもは手段を問わずに金をかき集めてまわった。
その結果、街の治安は著しく悪化した。警察や政治家どもはカンカンになって怒った。まとわりつくハイエナを黙らせるのに余計な金がかかってしょうがない、とボスが嘆いている始末だ。
そこで満を持して――俺様の登場ってわけだ。
俺の仕事は何を隠そう、組織の暗殺者だ。ボスは俺に命令を下した。「あの薄汚い豚野郎をいますぐ料理してやれ」――俺はその言葉を聞くと同時に、即、愛車をかっ飛ばしてヤツの邸宅へと向かった。
そして今、俺は一軒の平屋の前に立っている。
やらなければならないことは分かっていた。