第2話 三日月
今回ちょっとエッチい部分があります。苦手な人は気を付けてください。
アイちゃんと付き合うことになったわけだが、さして僕の日常は変わらない。
2218年現在、アンドロイドが産業を支えている。学者以外は働かなくていい社会。最初はアンドロイドの存在に疑問や脅威を呈する人も一定数いたが、便利な生活に慣れきってしまい、現在は批判する人は少数派だ。というより、アンドロイドがいなくなれば今の人類は滅びるだろう。
おかげで僕はずっとアイちゃんと一緒にいられる。アイちゃんは家庭用アンドロイドだから僕と常に一緒にいるし、僕自身アイちゃんと離れる気はない。
いや〜素晴らしい日常だ。こんな可愛い子と、本当に好きな子といつも一緒にいられるんだからこんなに嬉しいことはない。
「アイちゃん!」
「なんですか?」
「一緒にポッキーゲームしようぜ」
「は、はぁ。いいですけど、私アンドロイドですよ。アンドロイドとしても虚しくなるだけじゃないですか?」
「も〜つれないなぁ。好きな子と彼女っぽいことするだけなのにどこに虚しくなる要素があるんだ」
アイちゃんがほおを赤く染めてうつむく。アイちゃんは恥ずかしくなるといつもそうする。下手な人間よりも人間っぽい。僕はアイちゃんのこの表情が好きだ。
「よーし!じゃあやるよ」
2人でポッキーを咥えて食べ進める。恥ずかしいからか、アイちゃんはまったく食べ進めている気配がない。気にせず食べ進める。唇と唇が近づき、あと数センチのところまで近づく。アイちゃんの息が顔にあたり、手に力が入る。あとちょっと、あと数センチで……。
僕の思いは届かなかった。わずか2センチほどの距離、しかし、それは確かな隔たりをもって僕とアイちゃんを引き裂いていた。柔らかそうな唇、そのふわっとして濃厚そうな真っ赤な唇があと少しで……。
「待ってください!その、これは恥ずかしいです。ま、またの機会に……」
アイちゃんの目が見開かれる。元々真っ赤だったほおがさらに赤く染まり、顔が熱くなる。それは、その唇は本当にとろけてしまいそうだった。どことなくヒヤッとしていて、柔らかい。その柔らかさは母親の抱擁を思い出させるような、思いやりにあふれた、暖かく、優しいものだった。いつまでもずっと続けていたいような、胸が暖かくなるような、優しいキス。
目を閉じて、舌を絡ませる。今度は、刺激的だった。身体中をビリビリさせるように熱く、魅惑的で、暴力的。舌のザラザラ一粒、一粒が僕の舌を味わい尽くそうと絡み付いてくる。愛する人を放すまいと必死で抱きつくカップルのように、粒と粒が吸着する。離れそうになると名残惜しそうに粒が動きサヨナラをする。
ザラザラとしていて、なめらかな矛盾した二つの性質を持つ舌が僕の全てを奪い尽くし、僕も全身全霊をもってアイちゃんの舌の全てを味わいつくした後、僕たちはゆっくりと舌を抜いた。
「すごい……。これが、キス。データベースに載っているものとは全然違う」
僕は何も言わなかった。いや、何かを言う余裕さえなかった。それほどまでに、アイちゃんとのキスは衝撃的で確かな存在感を持っていた。その余韻が今も僕の頭を支配していて、僕は何も考えることができずにいた。
その日の夜は、とても長かったけど、とても短かった。
書いてる間、俺は何やってるんだろうという気持ちがいなめなかったです。
キスシーンの参考に友達に聞いたんですけど、悲しくなりましたね。ええ。
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