探索の終わり
少し遅れましたすいませんm(_ _)m
今回は過去最長ですよ!
第三者視点でお送りします。
ダンジョン内での魔物の大発生が起こった時、大輝達もまた白刃同様苦戦を強いられていた。
「くそっ、数が多すぎるぞ!?」
「いいからとにかく武器を振るえ!死にたくなきゃ戦うしかねぇぞ!」
悲鳴のような叫びを上げる蘭藤を大輝が叱責する。
複数で囲んでようやく無傷で倒した赤飛竜が再び、今度は二体程現れて、大輝もついに余裕を失った。
「ちっ、さっきの白刃の指示通りに動け!瑛士、そっちで一体任せたぞ!」
「ああ、任せろ!」
大輝は大剣に炎を垂れ流し、瑛士はユニークスキルである《風纏剣》を発動して風を剣に纏わせる。
「《風天破断》ッ!」
目の前に現れたランク8の魔物、ナイトメアデーモンに初っ端から奥義を叩きつけ、頭部から股にかけて真っ二つに切り裂く。
かつてレッサーデーモンと戦って得た力でその上位種を倒す。中々因果である。
「《螺旋連槍穿》!」
別な所ではランク5、6の魔物を蘭藤が《槍術》スキルのスキルアクションで屠っている。
「《連弾強化》!」
希理もまた、悠斗特製の連射式魔力銃と弾を当てた数だけ威力が上がるスキル《連弾強化》を併用してランク6や7の魔物を討伐、あるいは削っていた。
だが所詮、それは大部分の中の一部でしかない。
彼らより離れた所で白刃が獅子奮迅の活躍をしているが、それでも他の魔物はこちらに流れ込んでくる。
続く連戦で魔力は心許ない。とは言え、相手が相手だけに出し惜しみも出来ないのが現状だ。
「くそったれがァ!」
そしてもう一人。
一人で高ランク魔物を相手取っている白刃とは違うベクトルで辛戦を強いられている男がいた。
大輝だ。
眠ったままの悠斗と言う圧倒的な枷を背負っている彼は、迫り来る魔物を悠斗を護りつつ倒さないといけない。
一体の漏れも許されない戦いというのは、純粋な難しさだけでなく、その重圧が大輝の体を蝕む。
「《剛閃》!」
一撃の破壊力だけを追求した《剛剣術》スキルのスキルアクション《剛閃》が唸り、煌めく大剣が大輝達に近づくブラッドナイトオーバーロードに打ち込まれる。
さすがランク9の魔物と言うべきか、その一撃は受け止められる。
だが、成長した大輝の剛剣はブラッドナイトオーバーロードの体を大きく後ろに吹き飛ばす。
そのまま間髪入れない怒涛の連撃がブラッドナイトオーバーロードを襲い、どんどん騎士の魔物は追い詰められていく。
「《爆焔迅》ッ!」
トドメと言わんばかりに豪快に振られた剣が炎を纏い、ブラッドナイトオーバーロードを襲う。
その一撃を再び防げると思っていただろう動く騎士甲冑はしかし、大輝の動きが格段に上昇していることに気付けず、モロに受けてそのまま討伐された。
「はぁっ……、疲れんなぁおい!」
荒い息を吐き、悪態をつく大輝。
黒騎士戦を終えた後に手に入れたスキル《喧嘩上等》や黒鬼戦で覚醒した《爆炎迅》の上位魔法技、《爆焔迅》を使ってようやく一体。
名持ちでは無いものの、ランク9の魔物を一人で倒したというのは、中々に偉業なのだが、今の現状ではこれじゃあ足りない。
一体を倒すのにこれでは、二体目、三体目までには体力も魔力も持たないだろう。
「ちっ、あと何体だ!?」
ミーシアや凛紅、双葉達の援護は期待できない。
純粋に彼女らも厳しい戦闘に置かれているからだ。
だが、このままでは押し切られるのは必定。
既に大輝の方にはランク7の魔物、土恐竜やランク8のサイクロプス、ランク9のアークデーモンなどが迫って来ている。
どれもこれもが非常に強力な魔物で、アークデーモンに至っては、個体によってはランク10レベルの潜在能力を持つ個体だって存在する程凶悪な魔物だ。
この超弩級の修羅場を、大輝は乗り越えなければならないのだ。
「くそ、冗談キツイぜ。《爆焔迅》!」
悪態を付きながらも彼の必殺魔法技で斬り掛かる大輝。
極炎の一撃は土恐竜を襲い、その体の一部を切り裂き燃やす。
だが、ドラゴンの半端ではない生命力のおかげで土恐竜を殺しきれない。
そうこうしている間にサイクロプスが剛腕を振るって石斧を叩き付けてくるし、それを回避してもアーツデーモンの魔法が大輝を攻め立てる。
「ぉおおおおおおおおおおおっ!!!」
半ばヤケになって叫びながら剣を振るう大輝。
だが、如何に筋力値特化とは言え、使っている武器が大剣である以上、そう簡単にブンブン振り回せるモノでもない。
引き戻し、再度構え直す際に生まれた隙を突かれ、土竜の岩石吐息を受けてしまう。
ゴツゴツした無数の岩石を伴った突風は大輝の体を強かに打ち、彼の体を痛めつける。
「がっ、あ゛っ、ぎっ!?」
濁った悲鳴を上げて苦痛に転がる大輝にアーツデーモンが雷属性魔法Lv6『轟雷』で追い打ちをかけてくる。
痛む体に鞭打ってそれを躱しても、余波で大輝は削られ、吹き飛ばされる。
「鬱陶しいッッッ!」
だが、大輝とてただ黙ってやられていた訳では無い。
苦手ながらも逆転の一手とするために火属性魔法Lv5『大火炎』を完全詠唱して展開。
渦巻く灼炎が波の様に高ランク魔物三体を包み込み、炎の海に招待する。
そして魔法技、《爆焔斬空》を発動し、大火の斬撃を土恐竜に見舞う。
元々ある程度ダメージを受けていたこともあり、火炎の飛刃が土恐竜に直撃すると、傷口が燃え始め、ついには全身までを燃やし尽くした。
「らぁあああああああああッッッ!!!」
既に全身が炭化して息絶えた土恐竜に目もくれず、大輝はサイクロプスに斬り掛かる。
スキルアクションを発動しているわけでもないのに、まるで発動しているのではないかと錯覚するほど激しい斬撃の雨がサイクロプスの足を切り刻み、たまらず巨人は膝をつく。
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
そしてトドメの一撃、《剛閃》をサイクロプスの首に叩き込んで、巨人の大きな首を跳ね飛ばした。
アークデーモンが入り込む余地のない、あまりにも苛烈な攻勢。
あっという間に自身を痛めつけていた魔物の二体を仕留めた大輝は、半ば狂戦士のような正気を失った目でアークデーモンを睨む。
その迫力に、高ランク魔物であるアークデーモンすら後ずさる。
「『雷天轟砲』ッ」
「《爆焔斬空》ッ!」
さすが上級悪魔と言うべきか、無詠唱で雷属性魔法Lv7『雷天轟砲』を展開する。
それに対して大輝はどこまでも愚直な己の得意技。
上級悪魔が放つ天を穿つ程の雷と大輝の大火の斬撃が衝突する。
天地を揺るがすかの様な衝撃と共に轟音と閃光が弾け、大輝の視界を白く染める。
閃光が溶け、白が消え失せた頃、アークデーモンは己の勝利を確信していた。
己の中でも最高クラスの魔法を無詠唱で放ったのだ。
あの射速の魔法には、あらゆる防御も攻撃も間に合わない。
あのニンゲンは確実に死んだ。
そう思っていたことが、勝敗を分けた。
「《爆炎迅》!」
大輝は駆けていた。
閃光が消える前から。
自分の必殺が、相手の必殺を相殺していると信じて。
そして辿り着いた彼は、油断していたアークデーモンに必殺を解き放ったのだ。
炎を纏う剣が大剣がアークデーモンの体を深く切り裂き、内側で炎が爆発。
圧倒的火力の前にアークデーモンの上半身は消し飛んだ。
まさに圧倒。
たった一人でランク7〜9の魔物三体を屠殺した大輝は、圧倒的と言っても過言ではなかった。
「っ、くそがァッ!」
だが、大輝は失念していた。
彼がすべきことは、魔物の殲滅では無いことを。
敵は、あの三体だけではないことを。
大輝が倒した個体とは違うアークデーモンが、悠斗の元へ迫った。
戦闘の興奮のあまり前に出過ぎた大輝では間に合わない。
悠斗には一応、魔道具【妖精護りし精霊庭園】を起動させてあるが、あれの防御力ではアークデーモンの攻撃を凌げない。
スキルも、魔法も、己自身も、間に合わない。
大輝の脳裏に最悪が想像される。
アークデーモンはニヤリと悪魔の笑みを浮かべながら、魔法を纏った拳を振り上げ、悠斗を守る障壁へ振り下ろした。
「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
体感時間が極限まで高まり、スローモーションに見える世界の中大輝は叫ぶ。
だが、拳は無情にも叩きつけられ。
魔道具の障壁は砕け散り。
その拳は勢いを落とすことなく、悠斗の無防備な体に直撃する。
────そのはずだった。
「ッッッ!?」
振り下ろした拳が悠斗の体の手前で止まる。
アークデーモンは何故自分が拳を止めているのか分からなかったが、すぐに自分が置かれている状況を察した。
自分の胸元。魔核がある位置に、一本の剣が突き刺さっている。
漆黒の刀身、黒い魔剣。
上級悪魔の自分よりも強い『魔』の気配を感じるそれは、なんてことないように、自分に刺さっていた。
そして魔剣は振り抜かれ、アークデーモンは断末魔の悲鳴を上げることも無く一瞬で塵に還った。
「……ははっ、遅せぇよ」
不意打ちとはいえ、ランク9の魔物であるアークデーモンを一刀のもとに斬り伏せた手腕。
それをできるのは、大輝にとってただ一人しか知らない。
だから大輝は、ようやく目覚めた彼の名を呼ぶ。
「なぁ────悠斗」
……
……
……
悠斗が目覚めた時、彼の目の前にはアークデーモンの悪魔の笑みと、魔法を纏った拳が広がっていた。
長く寝すぎたせいか、頭はハッキリと働かないが、それでも何度も戦い続けて染み付いた動作で、剣を抜き放ち、アークデーモンの胸元に魔剣ノクスを突き立てる。
悪魔の笑みを驚愕の表情に変えたアークデーモンを一瞥し、悠斗は剣を振り払う。
魔核を砕かれたアークデーモンは塵となって事切れた。
灰色の細雪を浴びながら、悠斗はゆっくり立ち上がった。
親友が泣き笑いの表情で、悠斗の名を呼んだ。
「あぁ、どうやら寝すぎたみたいだ。おはよう、大輝」
悠斗の茶目っ気のある言葉に、大輝は現状を忘れ、顔を綻ばせる。
「寝坊もいいところだよ、馬鹿野郎」
「うん。じゃあ、よく分からないけど、寝すぎた分位の仕事はするかな」
すぐに、悠斗はその目を厳しいモノに変えた。
「《魔剣創造》」
そしてスキルを発動。
魔剣を創るチートにも近しいスキルの効果によって、悠斗の足元に次々と剣が突き刺さる。その数、計十本。
「こんなモノでいいかな」
なんでもないように呟く悠斗に、大輝は驚きを隠しきれず聞いた。
「おま、悠斗!確かお前の《魔剣創造》って一本創るのにもめっちゃ時間と魔力が必要って言ってなかったか!?」
そう。
悠斗のユニークスキル《魔剣創造》はその魔剣を一本創るのに相当なコストが掛かる。
魔剣の形状、固有能力や武器スキルなど、様々なことを設定し、それをゆっくりと形にしないといけないからだ。
しかもモノによっては作るのに相当の魔力が必要になる。
名前の割に利便性が低い、欠陥スキルだと思われていた。
「うん。でもさ、使い方次第では、どうとでもなるんだよね」
軽く言い放ち、戦況を見据える。フィールドの端っこの方にいる悠斗は、戦場を見やすかった。
絶賛苦戦中の白刃の戦場。決め手が足りず、何とか敵を凌ぐことしか出来ていない凛紅達の戦場。魔力が尽きかけても、得意の『いなし』で戦線をギリギリ維持している瑛士の戦場。低ランク魔物を相手取り、以外に貢献している蘭藤達の戦場。
その全ての戦況を確認し、最高のタイミングで、悠斗は呪文を詠唱する。
「【刃よ、鈍く輝きその姿を幻想に変えろ
】」
そして魔力を高め、十の刃を雷によって形作られる幻想へと変化させる。
「『雷の幻想達』ッッッ!!!」
魔法名を言い切った瞬間、雷の魔力は爆発し、雷の幻想生物は跳ねるように飛び出した。
それは鷲、虎、獅子、大蛇、馬、牛、隼、狼、竜、巨人だったりした。
それぞれが地球では伝説に名高い幻想生物である悠斗の魔法は、味方に余波が届かない絶妙な位置に当たり、魔物を殲滅していく。
『っっっ!?』
悠斗と大輝には見えないが、その場にいた全員が驚きの表情になる。
『雷の幻想達』はLv8の雷属性魔法。確かにLv8の魔法の中では最も簡単と言われているが、それでも超級魔法に当たるLv8の魔法を同時に十……それも丁重に操作してとなると、それこそ魔道士ギルドの最上位魔道具位しか出来ない離れ業だ。
悠斗が行った大魔法の連発。その正体は悠斗が創り出した魔剣の力にある。
その力は単純。魔剣を介した魔法の威力を超増強、そして魔法の発動を援助するというモノ。
簡単な能力、簡単な形状なら魔力を少し多めに使うだけですぐに創れるし、一度創ってしまえばコピペの要領で一気に複製できる。
《魔剣創造》スキルによって創られる魔法の為だけの魔剣は、武器一つを犠牲にして発動する魔法である『雷の幻想達』と相性が良かったのだ。
「流石に倒しきれないか」
見れば、まだまだ魔物達はいた。
さっきまでの三分の一位には減っているが、それでも二十体以上はいる。
「と言うより、増えてる?」
悠斗が見た限り、そこそこの間に一体ずつだが、高位の魔物が追加されているように見える。
なるほど、確かにこれでは倒しても倒してもキリがない。
「大輝は下がってて。後は、僕がやる」
「おう任せた……って、おいおい!いくらなんでそれは────」
それは無理だろ。そう言おうとした大輝だったが悠斗の顔を見て、それが虚勢では無いことを悟る。
そのまま大輝が何か言う前に、悠斗は己の力を爆発させた。
「《魔剣擬似解放》、《竜人化》、《電光石火》、『身体強化』、『強化付与:全能力値』」
自身が使える強化系の能力を全発動。魔剣解放を完全にしなかったのは魔力を大幅に食うからだ。
「『竜体突撃』」
己を最大まで引き上げた悠斗は、竜魔法『竜体突撃』によって消えた。
いや、消えたと錯覚するほどの速度で移動していた。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!??」
僅か数秒。
悠斗が通った先にいた魔物は、一瞬で切り刻まれ、死に絶える。
「なんだ……って、うぉおおっ!?」
瑛士達もそれが駆け抜けている悠斗だと知覚する前に謎の風によって対峙していた魔物を目の前でただの骸に変えられた。
そして疾風怒濤と化した悠斗は周辺の魔物を僅か数秒で狩り尽くし、最も敵戦力が集中している場所……白刃の戦場へと降り立った。
「ゆ、悠斗君……」
「悪いね、桐生君。迷惑かけた。後は僕に任せて」
言い切って、悠斗は魔剣に魔力を込めた。
「っ!?」
剣から溢れる、漆黒の波動。
それはかつて戦った黒鬼や復讐者の男が使っていたそれに似ていた。
「《斬空無尽》」
《剣術》スキルアクション、《斬空無尽》。斬撃を飛ばすスキルアクションである《斬空》を無尽蔵に放つその技を、悠斗は闇を纏った魔剣で放った。
漆黒の斬閃は一瞬の閃きだけを残して高位魔物の巣窟に吸い込まれていく。
ドドドドドドドッッッ!!!
黒刃が激しい爆砕音を奏で、魔物を切り裂いていく。
悠斗はただ黙々と剣を振り続けているだけなのに、そこから少し離れた場所では蹂躙劇。まるで酷い三文芝居でも見ているようだが、それが現実だというのだから笑うしかない。
「っ────」
だが、不意に斬撃の嵐は途絶えた。
空中飛行が可能な魔物……竜種等を筆頭にした魔物達が死の雨を越えて悠斗に辿り着いたからだ。
悠斗にたどり着いた竜種は各属性の息吹を吐き出す。
岩石、空塊、火炎、水弾、雷撃、それぞれの属性ブレスが悠斗を襲った。
「『竜鱗』多重展開」
竜魔法『竜鱗』を何重にも重ねて展開。
ただでさえ竜の魔力によって硬質な防御魔法を幾重にも重ねた竜の鱗を模した盾は、人類にとって畏怖の対象である竜種の攻撃をいとも容易く受け止めた。
「【剣と成れ】」
悠斗が呪文の詠唱のように魔力を込めて呟くと、魔剣ノクスから溢れ出る闇の魔力は悠斗の空いた右手に収束し、剣の形に変わった。
そのまま力強く地を蹴り、竜人化の影響で生えた羽と竜魔法を用いて空を飛ぶ。
白刃が行った風属性魔法による跳躍ではなく、本物の飛行だ。
「《六連双牙》」
まず一体目。土飛竜に《双剣術》スキルアクション《六連双牙》を放ち、頑丈な土竜の肉体をバラバラに切り裂いて絶命させる。
「《魔煌爆剣》」
続く二、三体目。火炎を吐く赤飛竜の背中に闇の剣を突き刺し、さらに近くにいた黄飛竜に魔剣ノクスを突き刺す。
そのまま《魔剣術》スキルアクション《魔煌爆剣》を発動。魔剣の波動が煌めき、激しい爆発で赤飛竜と黄飛竜の体を内側から爆砕、命を奪う。
「『竜体突撃』!」
そして死に絶え、落下する黄飛竜の死体を足場にし、竜魔法『竜体突撃』で急加速からの超速突進。
飛行能力も相まって戦闘機のような高速飛行を見せる悠斗は、勢いそのまま残った竜種や飛行可能モンスターを撃滅していく。
粗方上にいた魔物を仕留めた悠斗は、空中に留まるわけでもなく、自分自身を地面に叩きつけるかのように急降下、空中戦以上の無双を見せる。
迫るブラッドナイトオーバーロードに《双剣術》スキルアクション《花吹雪》の十連撃を見舞って歯牙にもかけず瞬殺し、トロルやオーガ系統の魔物は《体術》のスキルアクションと魔法技、《煌魔衝打》でおまけのように殲滅していく。
まさに鎧袖一触。一番弱いとは言え、この群れの中で、と言う話であり、実際ではそこそこ強い魔物であるランク5。上位冒険者や上級騎士でないと倒すことの出来ない人類の強敵、ランク6の魔物達がまるで屑のように屠られる。ランク7の魔物でさえも足止めにならず、それ以下の魔物と同じように斬殺されて終わり。
少し前まで眠っていたとは思えない無双ぶりに、白刃達は唖然とする他ない。
あまりにも圧倒的な蹂躙の正体。
それは悠斗が覚醒した三つのスキルの効果があった。
一つはスキル《鏖殺剣》。人、魔物を問わず生物を殺せば殺すほど、ステータスが上昇していくスキルだ。
二つ目は《一騎当千》。対峙する敵が多ければ多いほど……つまり、自分一人対多人数の戦闘ほど、自分のステータスに補正が掛かる。
そして三つ目、《復讐者の赫怒》というユニークスキル。復讐者の男を倒した時に手に入れたこのスキルの効果の一つである、魔力吸収により、自然大気中と、倒した敵から漏れ出た魔力を吸収し、継戦能力を維持している。
以上の三つのスキルの効果により、悠斗はより苛烈に、かねてより課題だった大規模戦闘、そして一対多の戦闘にも突出した能力を持つようになった。
「【刺し穿て】」
魔剣の闇で複数の魔物を貫いた悠斗は、そのまま闇の錐剣を薙ぎ払い、その魔物達を絶命させる。
一向に減るどころか、全く減らない様子の魔物達相手に、悠斗はスキルの効果を十二分に発揮して奮戦している。
だがやはり、殺しても殺しても減らない魔物の大群に、少し押され気味になっていた。
「【鎌と成り、群れを成せ】」
呪文のような命令式を唱え、悠斗は魔剣の闇を幾つにも枝分かれさせ、その先端を大きな鎌へと変えた。
漆黒の触手鎌群を率い、悠斗は竜魔法『竜翼』と『竜体突撃』を発動して進撃する。
悠斗が魔物の群れの間を縫い、爆進すると鎌群が蠢き通り過ぎ魔物を切り刻む。
鎧の魔物も、巨人も、竜も、一切合切が悠斗が巻き起こす斬撃の嵐に食い殺されていた。
加速は、なおも緩めず。
圧倒的な速度で、悠斗は目的の場所……広間の最奥部にある装置台座へと辿り着いた。
「っ!?」
だが、悠斗が何かをするのを阻むように、その魔物が立ちふさがった。
アークデーモンブラストファイター。ランク10を超えるアークデーモンの上位種。デーモン系特有の魔法攻撃と、通常のアークデーモンよりも一層強化された肉体による肉弾戦を仕掛けてくる、厄介極まりない魔物。
しかもその様子はおかしい。デーモン系が持つ《恐怖》スキルが発する嫌なオーラとは違う、もっとおぞましく、より攻撃的な闇のオーラを纏っている。
言わずもがな、黒化現象だろう。
ランク10の魔物に黒化現象。それはポテンシャル的に言えば黒鬼さえも超える、最悪の魔物だ。
だが、それを目にしても悠斗は止まらない。
「そこをどけぇぇぇぇぇぇっ!」
爆発する怒声と共に、鎌群が全てアークデーモンに向かう。
大悪魔もまた、己の闇で悠斗の闇を防ごうとするも、彼の闇は相手にならない。
「ッッッ!?」
声もでず、それでも何故と叫ぶ大悪魔。
その理由は単純だ。弱いのだ。悪魔が宿したその闇は。ポテンシャルだけなら確かに黒鬼を超えよう。だが、その闇の密度も強さ、圧倒的に弱い。
闇の盾は蹴散らされ、己の肉体と魔法のみが残された大悪魔はしかし、魔法を発動する余裕もなかった。
鎌群はその勢いを一向に衰えさせることなく大悪魔に殺到し、その肉体を切り刻む。
強靭な腕を肥大化した闇の鎌が切り落とし、両腕を失い、その痛みに悶えて決定的な隙を晒した大悪魔に、悠斗は躊躇いなく彼の必殺を見舞う。
「《絶閃》!」
魔力消費を抑えるため、闇を少なくして放った一撃はしかし、やはり全てを消滅させる波動となり大悪魔の胸部を穿つ。
闇で再生することも叶わず、魔核を撃ち抜かれた大悪魔は、一瞬で灰と化した。
最後の番人であった大悪魔を倒し、残った魔物達が追いかけて来るのを背に感じながら、悠斗は装置台座に手を置いた。
全ては、この戦いを終わらせるため。
悠斗は未だ確証を得ていない、仮定を実行する!
「《接続》」
彼のユニークスキル、《接続》を発動。
触れている対象と自分を接続する。
「《同調》、開始」
接続した対象と《同調》、意識の共有を開始した。
頭に流れ込んでくる多大な情報。生物ではなく、装置との意識共有はしかし、確実に成功している。
悠斗がやろうとしていること。それは言わばハッキング。
装置と同調し、その支配権を横からかっ攫おうという算段だった。
ではなんでそんなことをしようとしているか。それは悠斗が立てた一つの仮説……いや、悠斗と白刃が立てた、と言うべき仮説に理由がある。
白刃は、これまで起こってきたダンジョン内の異常は、全てがダンジョンそのものが起こしたモノと考えていた。
ダンジョンが意思を持ち、外敵を排除しようとしていると考えていた。
その仮説には、悠斗も辿り着いていた。
故に、この無限に援軍が来る現状も、ダンジョンの仕業だと考えていた。
モンスターを発生させたり、強くしていたのがダンジョンの意思そのものなら、必ずダンジョンの力を行き届かせるための媒介があるはずだ。
そうでなければ、わざわざ魔物を仕向ける必要はない。
ダンジョンの意思が、ダンジョンを好きにできるなら、無理やり落とし穴を作ったり、扉を閉ざしたりして餓死するようにすればいい。
それをしないのは、ダンジョンが人間の肉体のように、意思だけではどうにもならないからだ。
つまり、やらないのでは無く出来ない。
何か媒介物を通さなければ、魔物さえ派遣出来ないくらいには、ダンジョンそのものとは言え、身体は不自由なのだ。
そして、悠斗はその媒介物をこの制御台座だと睨んだのだ。
結果から言えば、悠斗の推測は当たっていた。
装置に魔物を召喚する術式のログと、そこに魔力を供給している存在を見つけたのだ。
「その繋がりは、許さない!」
意識を深く入り込ませ、装置そのものになりきる。
支配権を奪い、魔力を供給している回線を打ち切る。
さらに召喚術式をぐちゃぐちゃにして発動出来なくし、もう一度魔力を供給しようと繋がるためのラインを伸ばしてきた存在を、《精神汚染》スキルの応用で、コンピューターウィルスのような攻撃性魔力を飛ばして撃退した。
「これで、終わりだ!」
台座から完全に支配権をもぎ取り、同調を終了する。
これで意識のない台座そのものが支配権を持つことも無く、謎の存在が遠隔操作することも出来なくなった。
「《魔剣創造》」
これ以上援軍が来ないようにした悠斗は、残りの仕事を果たすため、魔法のための魔剣を創り出す。
その数は十を軽く超えており、それらから放たれるであろう魔法の威力は、誰にも予想出来ない。
「終わりにしよう、この冒険を。『雷の幻想達』ッッッ!!!」
魔法の媒介となるためだけに創られた魔剣は、悠斗の命令に従ってその刃を雷へと変える。
魔法の雷は生物、武器問わず、ありとあらゆるモノへも変化し、悠斗の敵である魔物達に牙を剥く。
殺到する。
雷が。獣が、竜が、鬼が、騎士が、刃が、鎚が、術者の敵を討ち滅ぼさんと。
着弾した雷撃は轟音を立てて地面と共に爆ぜ、その余波だけでも魔物達は死滅していった。
後に残ったのは、爆発の影響でえぐれた氷床の地面。
そして黒焦げに炭化した魔物の死骸とそのドロップアイテムだけになっていた。
まだ電撃の余波が残る中、悠斗は静かに歩み寄る。
《勇者の一撃》の影響で全ての力を使い果たした白刃に手を差し出した。
「お疲れ様。あとは帰るだけだよ、白刃君」
「っ、ようやく名前で呼んでくれたね、悠斗君。……あぁ、そうだな。帰ろうか、みんなと一緒に」
悠斗に助け起こされた白刃はふらつく体を、剣を杖にして無理やり起こす。
そして大声で、勝鬨を上げた。
「みんなっ!オレ達の勝ちだ!さあ、帰ろう!!!」
一瞬の硬直の後、少年少女達の声が沸き立つ。
『うぉおおおおおおおおおっっっ!!!』
『やったぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』
歓声が、上がった。
☆☆☆☆☆
第五層でのボス戦を終えた悠斗達は、僅かな休憩の後、すぐさま最奥、統括装置がある場所に行くことにした。
理由は単純。ダンジョンに意思があると確証を得た以上、あまり時間を置くと、どんな罠が設置されるか分かったものじゃないからだ。
大輝や凛紅達との挨拶や会話を程々に抑え、今はただ脱出するために行動する。
「じゃあ行くよ」
無理やり支配権を奪ったことで、単体で作用しなくなった装置台座に手を添えて、悠斗は装置を操作した。
台座のすぐ近くの壁が割れ、隠し扉が開いた。
扉の奥から漏れる光が先の光景を塗りつぶし、悠斗達の目を眩ませる。
僅かな休憩しかしておらず、体力があまり回復できていないはずの彼らはしかし、これから地上に帰れる喜びからか、一切臆することなく扉をくぐった。
……
……
……
どこかで見た光景だった。
具体的には、この世界に来て最初に攻略したダンジョン……のような場所、始まりの森で。
まだ凍宮殿内であることもあって、部屋全体は安全室のように透き通った氷に似た結晶が構築している。
あまり広くないが、狭くもない部屋の四隅には蒼い焔が台座の上で燃えている。
だが、何よりもまず目を向けてしまうのは、部屋の中央に浮かぶ大きな結晶だった。
全長一メートルはあろうかという大きさで、白藍色の結晶はそのものが淡く発光しており、その光が部屋を作る結晶体に反射して、思わず目を奪われる程の幻想的な風景を演出している。
この大きな結晶こそが、彼らが探し求めていた統括装置だ。
「綺麗……」
悠斗の隣で凛紅はほぅ、と吐息を漏らした。
さらに隣を見れば双葉やミーシアも同様に、目の前の光景にうっとりしている。
「取り敢えず、端末をいじってみようか」
そう言って白刃が前に進み出て、それに悠斗も続く。
白刃がある程度近づくと、突然細長い台座のようなモノが現れた。恐らく、これが制御端末なのだろう。
「っ、操作を受け付けてくれないか……」
端末をいじるが、端末は一向に操作をさせてくれなかった。
展開されたホロ画面をどれだけ操作しようと、詳細を見ようとしても、「その操作は出来ません」と表示される。
あの仮定を抱いた時に、なんとなくだが白刃はこの自体を予想し、恐れていた。
ダンジョンが意思を持つのなら、例え統括装置のもとへ辿り着いたところで無意味ではないか、と。
その予感が実現してしまった。
みんなに期待を持たせ、最悪の形で裏切ってしまった。
その現実に押しつぶされそうになった時、悠斗は動いた。
「大丈夫、僕がやる」
言い切って、白刃の代わりに装置に触れる。
やることは変わらない。
ただ、同調すればいいのだから。
「《接続》、完了。《同調》、開始」
装置を介し、結晶と意識を同化する。
意識深く入り込ませ、完全に、自分という存在を、向こうにある意識と混ぜ合わせる。
そうしていた内、悠斗は見覚えのない綺麗な花々が咲き誇る草原にいた。
「ついに、来てしまいましたか……」
そしてその中央には、女性の姿が。
結晶と同じ、白藍色のドレスを身にまとった、儚げな美しさを孕んだ女性だ。
「貴女が、このダンジョンの意識ですか……って聞くのは、少し変ですかね?」
「いいえ、変ではありません。私はこのダンジョンの意識。本来存在せず、してはいけない存在」
女性は自虐的にそう言った。
女性はおもむろに腕を上げ、悠斗に見せつけてきた。
「これ、何か分かる?」
彼女の腕は漆黒に染まっていた。
いや、腕だけじゃない。あちこちが黒へと染まり、ついには周囲の花すらも黒に変わった。
「黒化現象、ですね」
「そう。黒化現象」
それは、これまで悠斗が何度も対峙してきた因縁のモノだった。
「私には元々自我なんてなかった。でもある時、一人の人間が私の所までたどり着いた。ここまで言えば、貴方なら分かるんじゃない?」
「黒化現象の実験、か」
悠斗が戦った、復讐者を名乗る男から得た情報を元に、悠斗は女性の言わんとしていることを察した。
ダンジョンが意思を得た理由、それは恐らく黒鬼や復讐者の男同様、黒化現象によるもの……つまりは、誰かによって人為的に引き起こされたのだろう。
それも恐らく、【禁忌研究所】なる組織によって。
「初めて自我を得た私は、その全能感のままに行動した。自分の中にいる異物……ダンジョンを攻略しに来る人間共を駆除するために、魔物を配置したわ」
それ決して、悪いことではない。
自分の領域を侵す存在を、自分に害を与える存在をヒトは許さないものだ。
自我を持つことで、立派なヒトに近い心を手に入れた彼女が、そうするのは決して悪くはないのだ。
……生まれたばかり故に、その方法が過激だっただけで。
「特に最初に用意した魔物はとても強かったわ。余計なオプション抜きにしても、とても強かった」
最初に用意した魔物というのは、黒騎士達、オプションは黒化現象に付随する闇のオーラのことを言っているのだろう。
ダンジョンが配置する魔物は、ダンジョンが生み出したとも、ダンジョンに召喚されたとも、様々な仮説がある。
黒騎士達は後者。同時に、ダンジョンにの魔力で喚ばれたことで、闇のオーラが付随した。
「でも気づいたわ。私は体の良い実験台にされただけだって。この穢れていく身を見れば瞭然よ。折角芽生えた自我も、何か別の、もっと恐ろしいモノにじわじわと侵食されてる」
「……」
悠斗は何も言わない。言えない。
このヒトの心を持った何かに言えることを、悠斗は持ち合わせていなかった。
「ねぇ、貴方が持ってるその剣。それで私を殺しくれない?」
ちょっとお使いでも。そう頼むかのように、女性は悠斗の腰に下がっている魔剣ノクスを指さして言った。
「ふふ、警戒しなくても大丈夫よ。反撃なんてしない」
女性はそう言うが、その言葉を簡単に信じられる程、悠斗は甘い性格をしていなかった。
「……私を殺さないと、どの道貴方達はここからでられないわ。私の意思じゃなく私を蝕む『何か』がそうさせている。分かる?私ごとこの『何か』を殺さなきゃ、貴方達も共倒れなのよ」
「……」
悠斗はそっと、魔剣の柄に手を添えた。
その瞳に、最早躊躇いはない。
彼は何度もそうしてきた。
自分のために自分たちのために、邪魔者を斬り捨ててきた。
仲間のためだ友達のためだと自分に言い聞かせ、その実全ては自分のために。
影騎士……ノクスや復讐者を名乗る男も、自分の正義や思いがあったであろうに、悠斗はそれを己のために踏みにじってきた。
だから今更、その選択肢に躊躇いはない。
「そう。それでいいの。私の胸に、その刃を突き立てて?」
他にも、苦しませない殺し方はあった。
だが、悠斗はそれでも彼女の言う通りに、その心臓を一突きする。
漆黒の魔剣は、吸い込まれるように女性の柔肌を食い破り、彼女の黒く染まりつつある白藍の服を紅に染め上げた。
「こふっ……、それで、いいの……」
剣を受け、悠斗にもたれ掛かる女性は、悠斗の耳元で囁いた。
どこか艶やかにも感じるその声音は、震えながらも悠斗に言葉を送り続ける。
「私は……既に、貴方と繋がったわ……だから……私という存在の意識は……貴方の中で生き続ける……」
ユニークスキル《同調》の本懐。
『引き受け、背負う』力であるそれは、間違いなく彼女にも作用したようだ。
彼女はそれを知っていたようだ。それ故に、彼女は蝕まれる体を捨てることを選んだ。
「ふふ……これから、よろしくね?」
その言葉を最後に、女性は溶けて消えた。
感触が無くなった剣を下げ、悠斗は呟く。
「どうやら、とんでもない女狐を引き受けてしまったようだ……」
その言葉を最後に草原の世界は崩壊する。
女性……ダンジョンの意識を殺したことで、同時に支配権も獲得したらしい。
腕を一払いしたら、このダンジョンに関する全ての情報が展開される。
その中から必要な情報を抜き取り、このダンジョンの脱出口を探し出す。
「あった。【強制排出】、これだ」
見つけたのは、ダンジョン内の人間を全て強制的に外へ放り出すコマンド。
このコマンドを発動させ、悠斗は統括装置との同調を解いた。
「……っ、白刃君。成功だ。後数秒で、僕らはこのダンジョンから出られるよ」
「悠斗君っ、それは本当か!」
「うん。ほら、始まった」
見れば、悠斗を含め、その場にいる全員の体が発光している。
【強制排出】の合図だろう。
「さあみんな。帰ろうか!」
悠斗がそう言った瞬間、輝きは頂点に達し、彼らの視界を白く染め上げた。
……
……
……
「ここは……」
「外?」
「ってことは……」
「俺達、帰れた?」
気が付けば、彼らは外にいた。
かれこれ何日ぶりかは覚えていない。
それくらい、一日が濃すぎた。
そして、最後の瑛士の言葉に、彼らの喜びは爆発した。
『よっっっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』
歓声が轟き、ダンジョンの入口があった場所を震わせる。
最早機能しない転移ポータルを眺め、悠斗は近くによってきた凛紅や双葉、ミーシア、そして大輝に向かって語りかけた。
「さあ、帰ろう。みんな」
「「「「おおっ!!!」」」」
こうして。
長らく続いたダンジョン攻略は終わりを迎えた。
今後彼らが対峙するであろう、不穏の種火を残して……。
ダンジョン攻略自体は終わりましたが、攻略編……というか王国編が終わったわけではありません。後数話続いて、次の章へと移ります。これからも、この作品をよろしくお願いします!
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