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七天勇者の異世界英雄譚  作者: 黒鐘悠 
第二章 少年少女の戦場
84/112

ラストアタック

なんか、似たようなパターンになってますが、勘弁してください。

今回も急ぎ足な感じです。

今回も白刃視点です。

では!

  駆け出し(ルーキー)向けダンジョン、【修練の魔境】第四層砂漠地帯(デザートエリア)階層主(エリアボス)はデザートキングゴーレムという、ランク6魔物だった。

  この魔物は全長三メートル程の大きな上半身だけの砂で出来た巨像を本体にしている。

  砂漠の王(デザートキング)の名を冠するだけあって、巨像自体はほとんど動かない。魔法による援護攻撃と、巨腕による薙ぎ払い、鉄拳位だ。真の恐ろしさは本体が特殊能力によって作り出すその尖兵達だ。

  砂の騎士(サンドナイト)砂の魔道士(サンドウィザード)砂の傭兵(サンドマーセナリー)などの砂漠関連の魔物達が徒党を組んで襲いかかってくる。

  一体一体の強さは大したものではないが、一定時間毎にどんどん増えていく砂の尖兵達は、高火力、広域殲滅力を持たないパーティーにとってはとても倒しにくい敵だろう。

 

  だが、それにオレ達は当てはまらない。

  大盾と片手棍棒(メイス)で武装する砂の騎士(サンドナイト)を盾ごと両断し、魔法のような遠隔攻撃をする準備をしている砂の魔道士(サンドウィザード)を魔法を使う前にこちらの魔法が喰らい、二刀で激しい攻撃をしてくる砂の傭兵(サンドマーセナリー)の剣を尽く打ち返してから斬り伏せた。

  そして本体もまた、追加の魔物を出そうとする前にオレが巨腕を切り落とし、剥き出しになった核に剣を突き立てる。

  それだけで、砂漠の王はただの砂塵に還った。

  その間、僅かな五分。

  圧倒的な速度と力で、オレ達は第四層の攻略を完了させ、第五層へと足を踏み入れた。





 ☆☆☆☆☆


「寒い……」


  誰かが言ったその言葉虚しく響く。


「おいやめろよ。余計に寒くなる」


  誰かを諌める誰かの声も、やはり虚しさを孕んでいた。


  【修練の魔境】第五層。

  全五階層構成の修練の魔境で最後の層であるここは、第四層の灼けつくような熱さの砂漠とは対照的に、絶凍の氷雪地帯だ。

  身を切るを通り越し、凍りつくような寒さと重たい雪が挑戦者の行く手を阻み、その心を折に来る。

  その寒さと言えば、付与魔法で対寒冷地用の結界を張り、寒さを軽減しているのに関わらず、針で刺すような寒さを感じる程だ。

  余談だが、ダンジョンは地域や場所によって内部の環境が変わる。

  砂漠が近かったり砂漠の中にあるダンジョンはほとんどが砂漠のダンジョンであるし、氷雪地帯なら氷と雪が支配するダンジョンになる。

  例外は当然あるが、ほとんどがその規則性を持つ。

  修練の魔境はそれらほぼ全てのダンジョンの地域が詰まっており、あらゆるダンジョンに対応するための能力が磨かれる。

  それが魔物の強さ以外にこのダンジョンが駆け出し向けと言われる所以だ。


  閑話休題(それはさておき)


  とにかく寒いこの階層に長居するのは危険だが、その寒さと雪、そして吹雪が速き進行を妨げる。


「「『焔走ひばしり』」」


  積りに積もった積雪を、オレとミーシアちゃんの火属性魔法Lv6『焔走』を放つ。

  この魔法は文字通り燃え盛る炎が地面を走り、周囲を火の海に変える強力な魔法だ。

  この魔法をひたすら先へ先へと流し続け、雪を溶かすために使う。

  とはいえ、魔法のレベルがレベルであるため、やけに魔力を食う。

  勇者の魔力を持つオレと魔法職として高い魔力を持つミーシアちゃんでも、今後のことを考えれば、これ以上の魔力消費は厳しい。

  だが、さすが高位魔法と言うべきか。僅か一二分程度しか使用していないにも関わらず、ここら一キロ以上先の雪まで溶けた。


「さぁ道は開けた!この寒さから脱出するために、今は行くぞ!」


  皆一様に疲れきった顔をしているが、オレはそれに発破を掛けた。

  第五層はその厳しい環境故、魔物が普通には出てこない。

  この階層にはいくつもの洞穴が存在する。その中なら吹雪を凌げるが、その代わり同じく寒さを凌ぐために集まった魔物が沢山いるのだ。

  となると、この階層では満足に休憩出来ない。だが、逆に言えば洞穴にさえ入らなければ、魔物に襲われることはないのだ。

  寒さと吹雪にさえ耐えれば、安全にゴールに辿り着けるということになる。

  特にオレ達の様に便利な地図……【魔鳥の導きマジックガイド】を持っているなら尚更。

  そして今オレ達が向かっているのはこの階層のボス部屋、凍宮殿(フロストパレス)だ。

  その名の通り、氷で作られた宮殿である凍宮殿には安全室セーフティルームと呼ばれる休憩室がある。そこに辿り着くまでが、今のオレ達の行軍だ。

 

「あと少し、あと少しなんだ!吹雪で輪郭しか見えないが、もう朧気に見えているんだ!あと少しでいい、踏んばれぇ!」


  既に凍宮殿は見えている。

  足に纒わり付く重しを引きずり、意志を挫く弱音を振り払う。

  言葉も無く。ただひたすら、歩き続けること五分。

  この階層に来てから約半日。

  憩いの瞬間を前にして、オレ達に障壁が立ちふさがった。







「ォオオオオオオオオオオッッッ!!!」


  五メートル程の高さを誇る氷像……ランク6の魔物であるフロストゴーレムガーディアンだ。

  片手に片手直剣、もう一方に大型盾を装備した氷の守護者は、その巨体にそぐわない速さでオレ達を撃退しようと迫る。

 

「させるか、よぉぉぉぉぉっっっ!!!」


  風属性魔法で体を弾き、加速。

  フロストゴーレムガーディアンの剣をオレの聖剣で受け止める。


「今だっ!」


「『豪炎火球』!」


「『光爆魔砲』!」


  オレがフロストゴーレムガーディアンの動きを止めた間に、こちらの意図を汲んでくれた優秀な魔道士二人、ミーシアちゃんと双葉さんがそれぞれの攻撃魔法を放つ。

  ミーシアちゃんは火属性魔法Lv6『豪炎火球』を発動し大火の塊を、双葉さんは光属性魔法Lv5『光爆魔砲』を展開し光の砲撃を連続でフロストゴーレムにぶつける。


「ォオオオオオオオオオッッッ!!??」


  体表が削れ、目に見えるダメージを負った氷像の守護者は苦痛の咆哮を上げる。

  だが、仮にも守護者の名を冠するだけあってか、フロストゴーレムガーディアンは無駄に吼えただけではないらしい。

  奴の足元から氷柱が槍と成って飛び出し、それが猛烈な勢いでこちらに向かってきた。


「全員、避けろぉぉぉぉっ!!!」


  オレが叫び終わったのと、皆が回避行動をとったのはほぼ同時。

  逆氷柱の槍を辛くも回避したオレ達だが、続く剣の振り下ろしを直撃こそ避けたがその衝撃がオレ達の体を激しく打ちつけ、氷の地面に叩きつけた。


(やりにくいっ!)


  思わず内心愚痴を垂らしてしまう。

  伊達にランク6と定義されていないわけではないらしく、その攻撃はどれも重く、厄介だ。逆氷柱の槍も、その後の振り下ろし、薙ぎ払いの攻撃も、何もかもが厄介極まりない。

  だが、逆を言えばそれだけなのだ。

  堅牢な氷の身体にさらにそれを守る大盾。

  確かにこれらのせいで倒すのは大変だろう。

  だが、攻撃は単調で逆氷柱に気をつければどうということは無いモノばかり。堅く、体力が多くても時間をかけて確実にダメージを与えていけば簡単な倒せる相手だ。

  少なくとも、これまで戦ってきた黒騎士や黒鬼よりは確実に弱い。

  なのに何故オレ達はこんなにも苦戦しているか。

  それは吹雪の中の行軍で体力を使ったからだ。

  ただでさえ歩くのが大変な積雪地帯を、さらに吹雪の中ほぼ休み無しで移動する。

  魔法で雪を溶かしたりしたものの、そんなのは気休めに過ぎない。削られた体力の量はかなりのモノだ。

  それに加え、やっと休めるかもしれないタイミングでのボス戦。オレは兎も角、他の皆の心を折り、士気を低下させるには十分だ。

 

「このぉっ!」


  薙ぎ払われる剣を、オレの聖剣で受け止める。

  ギリギリ力負けし、オレの体は押されていくが、それを踏ん張って止めた。

 

「誰でもいい、攻撃を!」


  突然繰り出された攻撃だったからか、まだ痛みに喘いでいる者も少なくない。

  双葉さんやミーシアちゃんが魔法を撃とうにも、展開に時間が掛かるし、凛紅は距離が遠すぎる。

  このままだと押しつぶされる。そう判断したオレは一度下がろうとする……その前に、そいつはやってくれた。


「《爆焔迅》!!!」


  大輝だった。

  悠斗君を比較的安全なところに置いて、魔道具で保護しているらしい。その手には彼の得物である魔法大剣オルガノが握られている。

  彼の魔法技(アーツ)、《爆炎迅》とは比べ物にならない火力の焔が剣から放出され、氷の剣を剣を根元から叩き折る……だけに留まらず、その圧倒的な火力で氷像の剣を持っている腕の肘から下を消し飛ばした!

 

「後は任せたぜ!」


「ああ、任せろ!」


  武器が無くなり、押さえつけるべきものが無くなったオレは、風の魔法で一気に加速する。

  フロストゴーレムガーディアンが怒りの表情で逆氷柱を放って来るが、全て躱し、或いは斬り捨て、それはオレにとってなんの障害にもならなかった。


「これで、終わりだっ!」


  奴の懐に辿り着いたオレは飛び上がり、奴の胸元を《聖剣術》スキルアクション、《聖光加速斬・連続剣》を放つ。聖剣の波動で加速された斬撃がフロストゴーレムの身体を切り刻み、外表を砕く。

  氷の鎧が砕け、剥き出しになったその中身……(コア)に向けて、オレは最後の攻撃、《聖剣術》スキルアクション《聖爆剛破断》を解き放つ。

  聖光加速斬の様に激しく加速した剣が核に食い込み、そして聖剣の波動が爆発し、核を一思いに砕いた。


「オォォォォォォォォォォォォ………」


  断末魔の叫びも虚しく、凍宮殿を守る門番はその体を氷の礫に変えて崩れ去った。

  それと同時、凍宮殿の扉が重たい音を立ててゆっくりと開き始めた。

  それは門番を倒した勇者を招き入れる様であり、未知に挑もうとする愚者を罠に誘い込むかの様でもあった。

  だがオレは、勝利の感慨と共に、皆に声をかける。


「さあ皆、この中に入れば休憩だ!行くぞ!」


 

  皆の顔が、晴れた様に見えた。










 ☆☆☆☆☆


  第五層のボス部屋兼ダンジョンの最奥部である凍宮殿(フロストパレス)、その中に存在する安全室(セーフティルーム)は大体四十人位は入りそうな大きさの部屋だった。

  凍宮殿と言う名だけあって、壁や屋根は全て氷のような半透明な物質で出来ていた。よく見ればそれが氷では無く、水晶に似た鉱石の結晶体であることが分かった。

  広さが広さのため、テントを建てることも出来ず、男子と女子の間に仕切りを立てて寝ることになった。


  簡単な夕餉を済まし、体を拭き、寝袋を敷いて床に就く。

  結晶石が仄かにもたらす光で照らされた安全室の天井を眺めながら、オレは言い様のない不安、高揚、そして焦燥に駆られていた。

  明日、オレ達はこのダンジョンにおける最終攻略決戦(ラストアタック)に挑む。

  明日でついにこれまでの辛い戦いが終わる。生きて帰れれば、任務は成功し、オレ達の立場は磐石になり、比較的安全な生活が出来る。

  だが、本当に大丈夫なのだろうか。本当に成功するのか。誰も死なず、死なせず、皆無事に、このダンジョンを脱出出来るのか。

  そして、今呑気に寝ているこの瞬間にも、ダンジョンはオレ達を迎撃するための戦力を整えているかもしれない。

  せめて物資が潤沢なら兎も角、決して揃っているとは言えない現状、少しのイレギュラーで大きくコケる心配だってある。

  最悪の展開を想像してしまうのを止められない。

  良くも悪くも、明日で全てが終わってしまうのだから。

  地球にいた頃、受験前の時に感じていたモノとは比べ物にならない緊張が走り、オレの眠りを妨げていた。


「眠れないのか?」


  小声で、横から声が掛かった。大輝だ。

  大輝の方を向いたが、アイツは目を瞑っているためその表情は読み取れない。

  オレが返答する前に、大輝は言葉を重ねた。


「俺は馬鹿だからさ、気が効いたことの一つも言えねぇけどよ、まあ、その、なんだ……」


  一拍。


「信じろよ。俺を、俺達を。そして、悠斗(アイツ)を」


  オレはしばらく唖然としてしまった。

  そんな臭いセリフをよくもまあ、とかそんなんじゃなくて、今更過ぎるその言葉に、オレは大輝なりの不器用さを感じて思わず笑ってしまった。


「な、なんだよ、急に笑いやがって……」


「別に。お前らしいなぁ……ってな。そうか。信じる、かぁ……」


  中学に入ってからの三年間。

  オレと大輝の付き合いは言うほど長くない。活発で体育会系のアイツは、良くオレ達と話したりするが、基本悠斗君の傍にいた。

  だけど異世界に来て、オレは今まで話さなかった奴らと話す様になり、これまで話していた奴らのことを良く知ることが出来た。

  そのいい例が悠斗君であり、大輝だろう。

  地球での付き合いは短くとも、オレは異世界でアイツのことを良く知れた。

  だから、オレは大輝の不器用な言葉にアイツらしさを感じた。


  信じる。

  たった一言のその言葉が、実行するにはあまりにも難しい。

  でも、オレは信じてみることにした。

  この世界で必死に生きてきた、オレの仲間達を。


「あぁ、もう大丈夫そうだ」


  心が暖かくなるのを感じる。

  それがどれだけ綺麗事だと分かっていても、オレはその言葉に嬉しさを感じずにはいられなかった。


「そうかい。じゃあ、おやすみ」


  そう言って、大輝は完全に眠った。

  穏やかな寝息が微かに聞こえる。

  ふと、オレ達から少し離れたところで寝かされている悠斗君の方を見た。

  あの一戦以来目を覚まさない彼を見て、オレは密かに決意する。

 

(今度はオレが、オレ達が、君を守ってみせる)


  自分の胸に誓いを立てた後、オレは誘われる様に、微睡みの中に溶けていった。










 ☆☆☆☆☆


「これよりオレ達はこのダンジョン最後のボスと戦闘を行う。皆、覚悟は良いな!?」


『っ、おおおおおおおおおっ!!!』


  自分と皆に対して行った号令に、皆は一瞬息詰まり、すぐに大きな声で返した。

  今オレ達がいるのは凍宮殿内部、安全室の外に出てから少し歩いた先にある、巨大な扉に閉ざされたこのダンジョン内で最大の広間であるボス部屋の前だ。

  これから始まるであろう激闘を前に、皆の顔には不安が張り付いている。

  だが、いつまでもこの迷宮に閉じこもっている訳にもいかない。

  オレ達は生きるために、ダンジョンの外へと帰るのだ。

  その為にも、オレ達はここを突破する!


「総員、武器を構えろ!オレが道を切り開く。ここから生きて出たい者は、オレに続けぇ!」


『ぉおおおおおおおおおおっっっ!!!』


  聖剣ウィルトスを掲げ、一気に扉を開け放つ。

  そしてオレ達はこのダンジョン最後の戦闘に臨むため、その第一歩を踏み出した。






 ……

 ……

 ……


  最後の戦いへと第一歩を踏み出したオレ達を歓迎したのは、特大の火球だった。


「っ、全員散開!」


  一瞬の指示のもと、皆各々が出来る回避行動を取り火球を躱す。

  オレは火球が飛んできた方を見た。

  そこにいたのは一体の飛竜(ドラゴン)

  この世界に来たての頃、始まりの森で最後に戦った魔物、小飛竜(ドラゴン)の上位個体、赤飛竜(レッドドラゴン)だ。

  この世界で恐れられている有数の魔物達の一種である竜種は、成竜なら最低でもランク6はある。赤飛竜のランクは7。力強く飛び回り、鍵爪や尻尾を使った攻撃、何より大砲の如く放たれる火炎(ブレス)は余程レベルが高いか、防御系スキル、或いは付与魔法でも掛けていない限り直撃すれば致命傷は免れないといわれている。

  だが、以前とは比べ物にならない位強くなったオレ達ならば、ランク7の赤飛竜くらい造作もなく倒せる。

  意気込んでいた割りに大して強くない魔物が出てきたことに拍子抜けした……その時だった。


  ゴオッッッ!!!


  まさかの二、三体目。

  続く第二、第三の火炎弾がオレ達のもとに殺到した。

  回避は間に合わない。そう思って防御体勢になり、これから自身を襲うであろう灼熱に身構える。


「っ、『神聖結界』!!!」


  だが、オレよりも速くソレに気づいていた双葉さんが、神聖魔法『神聖結界』を展開し、炎を防いだ。


「ぅぅぅ……ぁぁぁぁぁあっ!!!」


  流石に火炎吐息(ファイアブレス)の連発はキツいのか、苦悶の声を上げる双葉さん。しかし、彼女は歯を食いしばり、それでも火炎からオレ達を守り切った。


「《聖光十字波動剣ホーリーライトグランドクロス》!」


  双葉さんが倒れ込み、結界が消えたタイミングでオレは魔法技(アーツ)、《聖光十字波動剣》を発動。神聖属性と光属性の魔力が迸る聖剣を《聖剣術》に合わせて薙ぎ払った。

  結果、それから発生した斬撃、衝撃波のような攻撃が赤飛竜達の方へ向かい、一体は直撃。残りの二体はその余波に煽られる。

  元々魔力を大して込めていないのもあり、直撃した赤飛竜もそこまで深手を負っていない。

  だが、オレ達にとってはそれで十分。今のは言わば挨拶。牽制と、仕切り直しの意味を込めた一撃だからだ。


(だけど状況はあまり良くないな……)


  少し生まれた余裕の中、オレは僅かに思考した。

  ランク7が三体同時。

  一体だけなら大した事ないそれはしかし、数が増えると途端に厄介さをます。

  特にそれが竜種の場合、ランク9の黒騎士達とはまた違ったキツさがあるのだ。


「一体はオレが押さえる!大輝達と神川さんで一体、瑛士を中心に残ったメンバーでもう一体を頼む!」


『了解!』


  素早く指示を出し、オレは赤飛竜の一体に向き直る。

  グリセント王国での訓練、そしてこのダンジョンで得た力と経験のお陰で、オレは単騎でランク7を余裕で相手取ることが出来る。以前戦った亀もどき(タートルモック)程度なら、瞬殺とは言わなくても、五分もあれば倒せるだろう。

  だが、竜種は別だ。単騎で戦えても、倒しきれるか分からない。

  空を飛び回り、遠距離攻撃をし、鋼鉄の如き鱗を持つあの生物相手には、ランク以上の苦戦を強いられるだろう。

  だが、今はオレが一人で抑えて、他をみんなに倒してもらった方が良い。オレの役割は時間稼ぎ、行けそうなら討伐だ。


「取り敢えず、『ブレイズミサイル』!」


  突き出した手から魔法陣が展開され、そこより十発の炎が打ち出される。

  見た目こそ『炎弾』に似ているが、この魔法は火属性魔法Lv5。一発一発に自動追尾機能が付与されており、内包されている威力も段違いだ。

  魔法の自動追尾爆弾(ミサイル)は全て赤飛竜の顔面に直撃した。


「GRAAAAAAAAAAAA!!!」


  だが赤飛竜は咆哮を上げ、煙を振り払う。顔面には全く傷は無く、ダメージも無いように見える。

  当然だろう。

  竜種には属性がある。

  その属性は大体色で表される。

  水属性なら青竜、風属性なら緑竜、土属性なら土竜、雷属性なら黄竜、そして火属性なら……赤竜。

  属性竜にはそれぞれ自分の属性に耐性を持っている。

  赤竜は火属性。つまり、オレが放った火属性魔法が効くわけがない。

  だからこれは、ダメージを与えるための魔法じゃない。

  これはただの煙幕。本命(オレ)は────


「《聖爆剛破断》!」


  上。

  煙幕で赤飛竜の視界を塞ぎ、風属性魔法Lv4『エアロショック』を展開。風の魔力が炸裂した衝撃で赤飛竜のもとまで飛び上がり、《聖剣術》スキルアクション《聖爆剛破断》を放つ。

  唐竹割りの一撃は赤飛竜の頭部に直撃……する前に火炎吐息(ブレス)によって邪魔された。

  振り払うと同時に炸裂した聖剣の波動で炎を散らし、空中で『エアロショック』を発動して再び赤飛竜に近づく。


「《聖光加速斬・連続剣》!」


  続いて《聖剣術》スキルアクション《聖光加速斬・連続剣》を放つ。

  オレの意思次第で、魔力が続く限り超速で聖剣を振るい続ける聖剣の連撃はしかし、一撃単位ではその鱗を傷つけるのが限度でその中までダメージを通すことは出来ない。

  だが、それが十、二十と重なれば話は別。一撃毎に確実に削られていった鱗がついに決壊し、斬撃が通ることを許した。

 

「GRAAAAAAAAAAA!!??」


  苦痛の悲鳴を上げる赤飛竜に対して、オレはなんの躊躇いもなく鱗の下にある肉を切り裂く。

  切り裂かれた傷口から鮮血が飛び出し、宙を舞う。その光景を後目に、再び斬撃を見舞おうとしたタイミングで、鮮血にそれは写った。

  迫り来る、巨大な、塊。

  それは────尻尾。


「っ!!!」


  死角からの攻撃。

  たまたま偶然、ソレに気づけたオレは咄嗟に繰り出そうとした剣を防御に回す。

  巨塊にも似た尻尾が鞭の如く迫り、それがオレにガード越しでぶつかった時、トラックにでも跳ねられたのかと錯覚する程の衝撃がオレを襲った。

  体がバラバラになるかと思う程の勢いで地面に叩きつけられる。

  肺から空気が抜け、息が詰まる。

  痛みを感じる間もなく、目の前に火炎が現れた。

  追い討ち火炎吐息(ブレス)だ。

  だが、これは良くない。悪手だ。


「《反射リフレクト》!」


  静止した状態のオレに遠距離攻撃。

  それはオレの反射スキルの格好の的だ。

  静止した状態のみ、相手の飛び道具、魔法攻撃、遠距離攻撃を威力倍にして返すスキル、《反射リフレクト》が猛威を振るう。

  元々直径五メートル程の火炎球が、直径十メートル位の大きさまで巨大化して赤飛竜に直撃した。

  とは言え、炎に対する耐性が強い赤竜の類だ。大したダメージはないだろう。

  だが、その際に生まれる隙だけで十分だ。


「『神聖白竜砲』!」


  神聖魔法『神聖白竜砲』。神聖魔法で数少ない攻撃魔法で、高い攻撃力を誇る。

  聖なる魔力が小さめの竜が形成され、そいつから白光吐息(ブレス)が放たれる。

  それをオレは、自分の剣に当て、攻撃魔法が剣に纏わせる。

  そして再び『エアロショック』を発動。

  空気を爆ぜさせ、そのノックバックで赤飛竜の元まで跳ぶ。

  『神聖白竜砲』を纏わせた聖剣で、オレは《剣術》スキルアクション《天衝撃》を併発、魔法技(アーツ)、《白竜天衝》に変えて赤飛竜へ解き放つ!


「これで、終いだ!」


  苦し紛れに放射された赤飛竜の火炎がオレに迫る。

  だが、そんなこと知ったことじゃない!


「《白竜天衝》ッ!!!」


  迫り来る火炎ごと、オレの一撃は打ち砕く!


「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


  白光の斬撃が火炎の切り裂き、赤飛竜の元へ殺到する。

  斬撃は頭部を爆砕し、その勢いを落とさぬまま首から股先に掛けて両断した。

  剣を振り落とした状態でオレは地に落ちる。

  地面に叩きつけられる前に風属性魔法『エアクッション』を発動し、位置エネルギーを殺していき、最後には軽い衝撃と共に地に足を着いた。


「っ、みんなは!?」


  勝利の感慨に耽る間もなく、オレは他の皆の様子を伺う。彼らが負けるとは思っていないが、万が一もありえる。

  その心配は杞憂だったようで、みんな既に戦闘を終わらせていた。

  魔法で消し炭になった赤飛竜が地に倒れ伏し、別な所では額に大剣が突き刺さり、体が穴だらけになった状態で事切れている。

  見た感じ死傷者はゼロ。まさに快勝だ。

  以前は悪戦苦闘を強いられたランク7の魔物を一蹴出来たことに、オレ達は少なからず喜びを覚える。確かな成長を感じ、その興奮をみんなと分かち合おうと駆け寄った、その時────


『っっっ!!!???』


  物理的な重圧さえ与える程の、魔力反応。

  オレはの視線は、ある所へ収束される。

  視線の先、そこには夥しい程の量の魔法陣。

  大小問わず、多くの魔法陣がそこには展開されていた。


「お、おい。何が起こるって言うんだ?」


「分からない……ただ、良くないことなのは確かな様だ」


  戦く様に呟く大輝に、オレも冷や汗を垂らしながら言葉を返すことしか出来なかった。

  そしてすぐに、魔法陣からソイツらは現れた。

  それは魔物の群れだった。小さい魔法陣からはランク5や6などの比較的弱い魔物が現れ、大きめの魔法陣からはオレ達が倒した赤飛竜を初めとするランク7以上の魔物達が湧き出す。その中にはランク8、9の魔物……サイクロプスやブラッドナイトオーバーロードなど、かつて倒した強敵達が個体こそ違えど混ざっている。


『……っ!?』


  息を飲む音。

  目の前に起こっている最悪の光景に口が糊付けされたように動かない。


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!』


「っ、全員構えろ!魔法とスキルで遠隔範囲攻撃、急げ!」


  魔物達の咆哮を受けてようやく、オレは弾かれる様に声を出すことに成功した。

  オレの指示で、さっきまでのオレ同様固まっていた皆が一斉に動き出す。

  自身が持つ遠距離の範囲攻撃魔法やスキルを発動、最大火力で魔物の大群を吹き飛ばそうと試みる。


「《風天破断》!」


「《殲滅極光魔弾フェアティルゲン》!」


「《白竜天衝》ッッッ!」


  数多の攻撃の中に、オレ達の奥義が交じる。

  瑛士の《風天破断》は広範囲攻撃では無いものの、風を拡散させず、押しとどめることで巨大な風の刃を大群に向けて放っていた。神川さんの《殲滅極光魔弾》は時間の関係か大砲が一門しかないが、ソレに込められた魔力は絶大で、彼女の奥義スキルの強力さを物語っている。

  そしてオレも魔法技(アーツ)では無く、聖剣の固有能力を利用した擬似奥義《白竜天衝》で攻撃。

  一度使ったらしばらく戦闘不能になる《勇者の一撃ブレイブストライク》と違い、擬似奥義《白竜天衝》なら一撃では魔力や力が尽きることは無い。考えたくはないが、出てくる敵があれだけである確証がない以上、ここで全てを出し切る訳には行かない。

  それでも強力な奥義スキルが魔物の大群に直撃し、魔物達は断末魔の悲鳴を上げる。激しい爆発音と突風がオレ達を襲った。

  残心。注意深く煙が立つ方を見据える。

  そして────


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!』


  それでも倒しきれなかった、魔物の大群達が押し寄せる。

  ランク5、6なら余波でも十分だが、7くらいの魔物に当たるとそれだけで魔法や奥義の威力は減っていく。

  当たれば一撃でもランク8、9の魔物ともなれば直接当たらなければ倒しきれなかったのだ。


「大輝、悠斗君を守れ!後はさっきまでのチームで迎撃!臨機応変に対応してくれ!」


  言い切った後、自分の拙い指示を恥じる様にオレは飛び出した。

  『エアロショック』で加速し、真っ先に斬りかかったのはランク9の魔物、ブラッドナイトオーバーロード。

  かつて倒した黒騎士と同じ魔物であるソイツは、力比べをしてみても、黒騎士とは比べ物にならないほど弱い。

  聖剣の力があれば、オレ一人でも倒せるだろう。

  だが、それは相手が一体だけの話だ。


「っ、くそ!」


  横から振るわれる猛剣。

  一体を追い詰めるともう一体のブラッドナイトオーバーロードがこちらに攻めてくる。さらにソイツを倒そうとすると三体目が。

  計三体のブラッドナイトオーバーロードの相手は例え一体一体が黒騎士より弱かろうと、あまりにも過酷。

  しかも微妙とは言え連携まで取ってくるので厄介極まりなかった。


「《聖光────いや、『光砲』!」


  ある程度自分の意思で動きを変えられるとは言え、基本的に固定された動きを行い、しかもその直後に微妙な技後硬直を強いられるスキルアクションは下手に使えず、詠唱破棄で唱えられる魔法で牽制することしか出来ない。

  魔法職のミーシアちゃんや、双葉さんなら兎も角、オレではまだLv3程度の光魔法しか詠唱破棄出来ない。それでは牽制にはなってもダメージには程遠かった。


「ぐっ!?」


  避けきれない三体の連撃が体を掠め一撃は背中に軽く入った。

  焼けるような背中の痛みを堪え、オレは最早温存は出来ないことを悟り、全力を尽くす。


「《制限解除リミットブレイク》、《勇者降臨》!!!」


  それはオレが勇者である事の証明であり、勇者だけの特権。

  闇を祓い、敵を討ち滅ぼす為にその身を何倍にも引き上げるスキル。そして人間という器の限界を超え、この身とオレが持つあらゆるモノのしがらみを吹き飛ばす力。


「ぉおおおおおおおおおおっっっ!!!」


  身を低くし、そのまま起き上がるバネを利用して飛び跳ねるように起きながら体をコマの様に回す。

  綺麗に回転斬りが決まったことで全方位斬撃がオレを取り囲んでいた ブラッドナイトオーバーロードに直撃し、ヤツらは腹部の鎧を切り裂かれ、大きく後ろに仰け反る。

  その隙を、オレは逃さない。


「《聖光十字波動剣ホーリーライトグランドクロス》!」


  自身にかけられる最大強化状態のオレが放った《聖光十字波動剣》は一体目のブラッドナイトオーバーロードの胸部鎧を穿ち、被弾部に大きな風穴を空ける。

  そのまま光線を薙ぎ払い、二体目を今度は両腕ごと真っ二つに両断し、その生命活動を止めさせた。

 

  ブラッドナイトオーバーロードの固有スキル、《狂騎士化》を使わせる間も与えず二体を倒す。

  黒騎士戦や黒鬼戦を乗り越えたオレは、随分成長出来たらしい。


「◼◼◼◼◼◼◼ッッッ!!!」


  残った一体が吼えた。

  どうやら回転斬りの傷で《狂騎士化》を発動させたらしい。

  体から黒騎士のそれとは違った漆黒のオーラを滲ませ、バイザーの奥から覗く瞳は深紅を宿している。

  だが、その程度なら問題ない。

  今度は少し時間がかかるだろうが堅実に行けば必ず勝てる。

  そう思考を締めくくり、ブラッドナイトオーバーロードへ斬りかかったが、オレの頭上を黒い影が覆った。


「っ!?」


  『エアロショック』を発動し急いで影からの緊急離脱を行う。

  ギリギリで離脱成功。その直後にさっきまでのオレがいた場所に巨石で出来た棍棒が叩きつけられた。

  衝撃と風圧に煽られたオレは、咄嗟に足を止めて踏ん張る。だが、それは悪手だった。


「◼◼◼◼◼◼◼◼ッッッ!!!」


  濁っていて聞き取れない叫びを上げ、ブラッドナイトオーバーロードがこちらに突貫してきた。

  斬撃の直撃は避けたものの、続く第二撃、鉄の脚の蹴りを腹部に受けて、オレは大きく飛ばされた。


「がッ!?」


  地面に叩きつけられ、腹部を襲う痛みと呼吸が困難になったことに喘ぎながら、!オレは決定的な隙を晒していた。

  それでも、ヤツらの猛襲は止まらない。


「っ、ご、『光砲』!」


  今度はオレの視界に紅が飛び込んで来た。

  赤飛竜の(ブレス)だ。

  回避はままならず、《反射》スキルを発動させるには遅すぎるタイミング。

  仕方なく『光砲』を発動して迎撃するも、当然ながら威力が足りない。

  直撃はしないものの、付近に落ち、その爆風と赤熱でオレは踊らされた。


「っ、ぁああああああああっ!」


  我武者羅に聖剣を振り、《聖剣術》スキルアクション《聖波動飛刃》を発動。

  聖剣の波動が斬撃と成って飛来し、サイクロプスの片足を切り飛ばす。


「《聖光加速斬》!」


  苦悶の声を上げ、倒れるサイクロプスに飛び掛り、スキルアクションで加速された聖剣でサイクロプスの首を切断する。

  だが、その隙を縫う様に激しい雷撃がオレを襲った。


「『神聖円盾』!」


  防御魔法で雷撃を防ぎ、攻撃が飛んできた方向を睨む。

  そこにいたのは雷属性の竜種、黄竜だ。

  ただし飛竜では無いため翼は無く移動式固定砲台の様に攻撃してくるタイプだろう。

  それでも竜種。倒すのは簡単では無い。

 

「っ、《反射リフレクト》!」


  再び射出される雷撃(ブレス)をスキルで跳ね返し、オレは駆ける。

  赤飛竜戦同様、一瞬の隙に倒す算段だ。

  だが、あと少しの所で赤飛竜の火炎(ブレス)が行く手を拒む。

  ならばと思い赤飛竜の元へ跳ぼうと思えばブラッドナイトオーバーロードが邪魔をする。

  そうしている間にもどんどんこちらへ来る高ランク魔物達。

  完全に悪循環。このままではジリ貧。


「《聖剣解放》!」


  このままやられるくらいなら、いっそ。

  全部まとめて薙ぎ払ってやる。


「《勇者の一撃ブレイブストライク》ッッッ!!!」


  オレが放てる最大最強の攻撃、《勇者の一撃》を聖剣ウィルトスの固有能力、昇華の力で力を引き上げ、オレの周りの敵を撃滅する。


「まとめて消しとべぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


  膨大なエネルギーを纏った剣で薙ぎ払い。

  黒騎士戦の様にビームを放射するのではなく薙ぎ払うことで、オレの周囲を一掃する!


「かはっ……」


  そして、オレの中から力が抜け、《勇者の一撃》の波動は消え失せた。

  たまらず、膝をつく。

  そして眼前には。


「畜生、まだいるのかよ」


  まだまだ残っている、魔物達。

  オレを襲っていた黄竜や赤飛竜、ブラッドナイトオーバーロードは倒したが、皆を襲っている敵や入りきれずにうろついている魔物はまだまだ残っていた。

  視界が歪む。

  魔力切れの影響だけじゃない。

  絶望に苛まれる感覚。

  だけど、まだ倒れてはいけない。

  約束した。

  信じて貰った。

  だから、折れない。折れてはいけない。


「く、ぉおおおおおおおおおおお!」


  剣を杖にして、ふらつく足で立つ。

  まだ残っている魔物に突撃しようとした、その時。


「『雷の幻想達ライトニングファンタジア』ッッッ!!!」


  もう一人の英雄ヒーローは、間に合った。


 

 

 



 

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